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チートカードで異世界最強 ~成り上がりほのぼの冒険物語~  作者: ちゅん
第一章 始まりの国篇
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間一髪

昨日1日のアクセスが500PVを達成しました!ありがとうございます!

「ところでツバサ君、娘のバニラのことだが・・・」


 ギク!


「・・・はい、傷つけてしまったみたいで申し訳ありません。」


「いやいや、ツバサ君が謝ることじゃないよ。どうせバニラが無理なお願いでもしたのだろう?」


「・・・俺は冒険者として世界を見て回ろうと思っているのですが、その旅に連れていってほしいと言われまして・・・危険ですし、まだバニラちゃんは幼いので断りました。」


「そうか、バニラがそこまで言ったのか・・う~ん、確かに親としてもなかなか許可できるものではないな。」


「俺もまさか両目がボンボンになるまで泣くとは思っていませんでした。申し訳ありません。」


「いいさ。あの子がそうやって少しずつ成長して大人になっていけば。なんだかツバサ君に逆に申し訳なかったね。ついでで悪いが、ここにいる間だけでも今まで通りあの子の相手をしてあげて欲しい。」


「いえいえ。はい、もちろんですよ。バニラちゃんは俺にとっても妹みたいにかわいいですからね。」


「そうか。そう言ってくれると親としても嬉しいよ。・・・ふふっバニラもなかなか男を見る目があるかもしれんな。」


「え?」


「いやいやなんでもない。そろそろお昼休憩にしようか。妻にも言ってあるからもちろんツバサ君も食べてくれよ。」


「はい、いただきます!」




 それから午後は湯ぶねの作業を手伝った。大きめの石を並べていく。


 石と石の隙間に砂を流し込み、その上を樹脂から作った透明な液体でコーティングする。こうすることで水が染み込まないだけでなく、強度も増すらしい。


 何度かやるうちにコツも掴めてきた。


「なかなか筋が良いな。こっちでも飯が食えるかもしれないぞ。」

「またまた~それは無理ですよ。」

「はははっ」


 パパさんとすっかり打ち解け談笑していると、ヘロヘロになったロビンが歩いてきた。服はドロドロに汚れている。


「お、ロビン!疲れただろ?その辺で休んでていいぞ。」

「うん。」


 かなり高くまで積んだ資材の前でロビンが腰を下ろした。


 10歳でこれだけ肉体労働をして、その上宿のお手伝いをしているなんて驚きだ。


 ただの生意気でバニラちゃん一筋の子では無かった。


 


 と、その時だった。


 ゴトゴトゴト!!


 高く積んだ木材がバランスを崩し始めた。


「ロビン!危ない!逃げろ!!」


 しかし突然のことに目を見開いて固まっている。俺が走っても間に合わない。


 とっさに数枚のカードを落ちてくる木材に投げつけた。間一髪だった。トス、トスっと刺ささる度にひび割れ、光を発しながらカードに収納される。


 資材が置いてあった場所は不自然にも空白地帯となってしまった。


 大ケガを負いそうになったロビンは、目をギュッとつぶり動かない。


 しかし、いつまでたっても何の衝撃もないことに気が付き、恐る恐る目を開け呆然としていた。パパさんも口が開いたままだ。何が起こったのか理解出来ていないのだろう。


 誰も何も言わない。しばらくその状態が続いた。


「だ、大丈夫なのかロビン!?」


「父さん、一体何が・・・?」


「・・よく分からないがツバサ君が助けてくれたみたいだ。」


「ツバサ君今のは魔法なのか?」


「えーとまあそんな感じです。」


「あんなの見たことがないが・・君は一体何者なん・・・だ・・まさか・・・」



 う~む・・・カードを見られてしまったので隠しても意味が無い。むしろ下手な誤魔化し方をすると噂になってしまうかもしれない。


 ・・・仕方ない。


「俺はただの新人冒険者です。ただ少しだけオリジナルスキルが使えるというだけです。」


「オリジナルスキルだと!?本当なのか??そんなものこの国の歴史上数える程しかいないレアスキルじゃないか!!まさか生きてるうちにそんな人物と接点が持てるとは!」


「そんな、大げさですよ。落ち着いてください。・・・・えっとさっきの木材ですけど、無くなったわけではないので安心してください。元の場所に戻しておきますね。」


 そう言ってカードからゆっくりと木材を取り出すと、パパさんとロビンから驚きの声が上がった。


「そんな、バカな。なんて能力だ。これは落ち着いている場合じゃない!このことが公になれば君は間違いなく国王の側近になれるよ。」


「いやいや俺はやりたいことがあるので1つの国に留まるわけにはいきません。どうかこのことは内密にお願いします。」


 どうやら思っていた以上にオリジナルスキル持ちは重宝されるみたいだ。あまり騒がれると困ったことになってしまうが・・・。


「・・・そうか、とりあえず落ち着かなければな。下手をすれば戦争の火種にもなりかねないし、この情報が悪人にでも流れたらツバサ君の命が脅かされる事態となってもおかしくない。うむ、そうだな、冷静になろう。・・・・・ロビン、ケガは無いか?」


「父さん、無いです。」


「そうか、なら良かった。ツバサ君息子を助けてくれてどうもありがとう。ほら、お前も礼を言いなさい。」


「うん。ツバサ、助かったよ。ありがとう。」


「ふふっ弟君が素直になるとなんだか調子が狂うな。助けたのは当然のことだから気にしなくていいさ。それよりケガが無くて良かった。」



「そうだ、もうパパさん達に隠しても意味が無いので、このスキルを使って資材の運搬を出来るだけやっちゃいますよ。」


「それは・・ありがたいが・・いいのか??」


「はい、俺も人の役に立てて嬉しいですから。」



 パパさんとロビンを連れて宿の裏手の資材置き場にやってきた。まだまだ運ばなければならない物がたくさんある。


 そんなにもジロジロ見られるとやりにくいんだが、、、


 とりあえず真っ白のカードを20枚ほど浮遊させ、1人では運べそうにない大きな物からカード化していった。まるで軍隊のように一糸乱れぬ動きで対象に刺さっていく。


 そのたびに資材が消えていくので、パパさんとロビンから感嘆の声が上がる。


 恰好よく20枚をカード化し終えると、今度は手裏剣のように投げてみたり、複数枚を同時に投げてみたりした。


 決して褒められたから調子に乗ったわけではない。うん。


 あとは、作業場でカード化を解除すれば一瞬で重い物を大量に運ぶことが出来る。本当に一瞬で終わる。


 汗を流しながら一生懸命運搬していた弟君に黙っていて逆に申し訳ない。


 それから夕方になるまで出来るだけ運搬作業を手伝った。


 軽く見積もっても俺の1回の往復が、他の人たちの1日の往復分と同じぐらいだ。いやカードの枚数を増やせばもっと運搬出来るが、作業場の置き場が無くなってきたのでそのぐらいで抑えていた。何事も限度が大事だ。


 夕方になる頃にはパパさんの作業も一段落つき、その日は早めに終わることになった。


「ありがとう、ツバサ君。君がいれば百人力だな。おかげで完成にグっと近づいたよ。どうだろう?今日の夜ご飯は私たち家族と一緒に食べないかね?一般の宿泊客にご飯を出した後になってしまうから遅くなってしまうんだが、、、」


「本当ですか!ぜひご一緒させてください。あ、それと今日バニラちゃんにニンジンを買ってあげる約束をしていたんですが、今から一緒に行ってきてもいいですか?すぐ戻りますんで。」


「おお、ニンジンデートか。もちろんいいとも。なんならそのまま恋に、、、落ちて、、、ゴニョゴニョゴニョ、、」


「え?」


「いやいや、何でもない、こちらの話だ。もちろんいいとも、バニラも喜ぶだろう。」


「はあ、、、じゃあ今から行ってきますね!」


 急いで宿のフロントに戻るとバニラちゃんがカウンターに座っていた。目の腫れは少し引いてきたみたいだがまだ腫れぼったい。


本日も最後まで読んでくださってありがとうございます!


今日で1月も終わりですが寒いのが辛いですね。ただ春は花粉症の季節なので早く秋になって欲しい今日この頃です。みなさんも体調に気を付けてください!

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