武器を買う
まったくの0から始めて2週間も経っていないですが、昨日1日のアクセスが300PVを突破しました。嬉しいです。
あの女は危険だ。
いつベットに戻ってくるのか考えると一睡もすることが出来なかった。
しかし結局、朝日が昇り始める時間になってもあの女が戻ってくることは無かった。
ということは、一晩中あの気味の悪い部屋で儀式のようなものを行っていたのだろうか?
考えるだけでゾッとする。
とりあえず早くこの家を出ていきたいが、昨日脱いだ服がどこにあるのか分からない。流石に幼稚園児の恰好で外に出るわけにはいかない。
それに昨日作ってもらった冒険者カードも貰わなければいけない。怪しまれないためにもとりあえず普通に接しよう。
そう決心してからしばらくして、俺はベットから出ることにした。
リビングに行くとあの女は朝食を作っていた。いい匂いにお腹が刺激されグゥっと鳴る。
「おはようツバサ君、今、朝食作ってるからもう少し待っててね!」
ニッコリと微笑んできた。その表情からは夜中の出来事などまるで無かったかのようである。そこにいたのはあの女ではなくクレアさんだった。
「・・・おはようございます。はい、ありがとうございます。」
「そうだ、昨日の服そこにあるから着替えておいでよ?」
「あぁそうですね、じゃあちょっと着替えてきますね。」
「終わりました。洗ってくださってありがとうございました!」
「いえいえ、じゃあ次は、ここに寝転がって!」
「え、クレアさんの太ももの上にですか?」
「うん、私が歯磨きしてあげる!はい、口開けて!!早く早く!」
「え?」
結局断ることもできず歯磨きをしてもらった。昨日の夜中、目が覚めなければ今の時間がどれだけ至福の時間であっただろうか。俺は歯ブラシで喉の奥を刺されるのではないかとヒヤヒヤしていた。
その後今度は、朝食に何か混ぜられているのではないかと疑心暗鬼になっていた。しかしこちらもただの美味しいご飯だった。
昨日の光景は夢だったのだろうか?俺は少し罪悪感が芽生えてきた。
・・・しかし、確かに・・・
「あの、昨日の夜中って・・・」
「あぁそうだわ!冒険者カード渡さなきゃね、はい、どうぞ。これでツバサ君も晴れて冒険者の仲間入りよ。」
「あ、ありがとうございます。」
・・・遮られた?
これ以上聞く自信が無い。
「軽く説明するわね。これは受付嬢の義務なの。まず冒険者という職業は基本的に自己責任なの。依頼を受けて怪我を負ったり死亡してしまっても冒険者ギルドは一切の責任を負わないわ。また冒険者同士の争いに介入したりすることも基本的にしないわ。するとしたら片一方が冒険者の名誉や品位を著しく損なう犯罪を犯している時などね。よくあるケンカ程度ならノータッチってことよ。」
「・・なるほど。」
いつの間にか話が始まってしまった。
「ただ昨日の時点でツバサ君はまだ冒険者になっていなかったから、君を殴ってきた傷の男は、一般人に対する暴行ということでペナルティーが科されたわ。」
ふむふむ。ざまあミソカツだな。
「それと冒険者がギルド以外から個人的な依頼を受けることはギルドとしては喜ばしくはないけど禁止まではしていないわ。ここまで大丈夫かしら??」
「はい。」
「あと冒険者のランクについてだけど、下からF、E、D、C、B、A、Sランクとなっているわ。ツバサ君は新人だからFランクからスタートよ。依頼については自分より上のランクに設定されている依頼は受けることが出来ないけど、自分と同じか下のランクならもちろん受けることができるわ。」
ふむふむ。説明が長いな。
色っぽい女教師じゃなくてまるで夏休み前の校長先生だな笑笑
「例外としては、パーティーを組んでいる場合なんだけど、簡単に言うと、パーティーっていうのは個人的な冒険者ランク以外にパーティーランクがあって、ツバサ君がFランクだとしても、パーティーランクがDランクだったらDランクの依頼を受けることが出来るわ。それから依頼者のいるクエスト以外にもう1つ、常時依頼があって、これはいつでも受けることが出来るの。例えばゴブリンの討伐とかね。私のおすすめでもあるわ。」
椅子に座ってるけど足痺れてきた。話が長すぎて体が拒否反応を示している。
「最後に盗賊、山賊、闇ギルドなどの犯罪者集団についてね。もし彼らを倒した場合は彼らの持ち物は倒した人の物になるわ。だけど彼らと関わるのは当分やめておいた方が良いわ。本当に危険だから。説明は以上になるけど何か質問あるかしら??」
「いえ、無いです。」
ふう~。
「今日からもう依頼を受けることが出来るから頑張ってね。私はあと少ししたら出勤するけどツバサ君はどうする??」
「えーと、そうですね。武器屋に行ってからとりあえず依頼を1つ受けてみようかなと思います。」
「そっか、じゃあ途中まで一緒に行きましょうか。」
そうして俺達は一緒に家を出た。まだ高校2年生だがまるで恋人の家から出勤する大人みたいだなと思ってしまった。何人かにその様子を見られたような気もしたが大丈夫だろうか?
「ところでツバサ君?今日の夜ご飯は何が食べたい??」
「え?・・・えーと今日は宿屋に泊りますよ。」
「え?」
今日もクレアさん家に泊まること前提の質問に驚いたが、宿に泊まると言うと今度は逆にクレアさんが驚いた顔をしている。だが俺としては、正直クレアさんが怖いのでここで折れるわけにはいかない。
「その、流石にこれ以上クレアさんに迷惑をかけるわけにはいかないので、はい、、」
「・・・・そっか。」
一言だけそういうとクレアさんは何も喋らなくなってしまった。顔は無表情で前方の一点を見つめている。ううっ罪悪感が半端ない。何かフォローしなければ・・・・
「失った記憶のためにもいろいろ世の中の事を知らないといけないですし、いつまでもクレアさんに甘えているわけにはいきませんから、ただまた今度ご飯とか食べに行ってもいいですか?」
俺がそう言うとクレアさんも理解してくれたようだ。それにご飯を食べに行くというワードが効いたのだろうか、笑顔が戻っている。
「あそこが武器屋よ!1人で大丈夫かしら?」
「はい、どうせいつ壊れてもいい安物しか買いませんから。」
「そっか、じゃあ私は先にギルドに行くわね。また後でね。」
「いろいろとありがとうございました。」
武器屋の前でクレアさんと分かれ1人で店の中へ入った。店内は小奇麗に整理整頓されており、なにやら工房のような匂いが充満していた。
カウンターの奥ではお爺さんが座りながら剣のメンテナンスをしている。俺が入店するといらっしゃいと声をかけてきたが、俺の返事を聞く前にすぐに作業に戻っていた。
職人っぽくて逆に好感が持てる。指が8本ずつぐらいあるが何という種族なのだろうか?
まあ何でもいいかそんなこと。
とりあえず武器を何にするか?初心者だしいきなり扱いにくい武器を選んでも意味が無い。やはりここは剣にしておこう。
そう思い剣が置いてあるブースを見ていたのだが、高いものは大金貨5枚もする。日本円で500万ぐらいだろうか。パッと見ただけでは何がそんなに変わるのかいまいちよく分からないが、何らかの魔法が施されていたりするのだろう。
知らんけど。
俺の所持金は小金貨1枚、つまり10万円程しかないから必然的に安い物の中から選ぶことになる。1番安いので大銀貨5枚なので5万円ほどだった。いきなり所持金が半分になるのは痛手だが、まあ依頼を受ければお金も多少入ってくるだろうし、このぐらいは必要経費だろう。
俺は何の変哲もない大銀貨5枚の剣を持ってカウンターまで行った。
「すいません、これください。」
「おーいお客さんだぞ。」
お爺さんが奥の部屋に向かって大きな声を出した。すると若い男性が出てきてニコニコしながらお会計をしてくれた。この男性も指が8本ずつぐらいあるのでおそらく孫か何かだろう。丁寧にお礼を言われながら店を後にした。
いよいよ初めての依頼を受けに行こう!
結局今日はこの時間になりました。更新時間についてはもう少し考えてみますね。
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