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チートカードで異世界最強 ~成り上がりほのぼの冒険物語~  作者: ちゅん
第一章 始まりの国篇
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覗いてはいけない

 クンクン。


 どうやらクレアさんは、お風呂に入りながら扉越しにお金についてレクチャーしてくれるようだ。


「えっとあの小金貨の価値についてだっけ?うんと、そうね、お金には大きく分けると4種類あるの。下から銭貨、銅貨、銀貨、金貨ね。」


 もふもふ。


「このうち庶民がよく使うのが銀貨なの。だからさらに銀貨を細かく分類して小銀貨、中銀貨、大銀貨の3つに分けてるの。小銀貨1枚でパンが1つ買えたりするわ。中銀貨ならパン10個。大銀貨ならパン100個ね。他で考えると例えば安い宿なんかは一泊、中銀貨3枚ぐらいで泊まれたりするわ。


 スリスリ。


「それで次に金貨に関してだけど、これは主にお金持ちの商人や貴族なんかが事業のために使ったりするの。これも小金貨、大金貨、白金貨に分けられて大銀貨から価値は10倍ずつ上がっていくわ。。つまり、そうね、ご飯の事を考えないならツバサ君は、あの小金貨1枚で安い宿に一ヶ月くらいは宿泊出来るわ。」


 なるほど、だいたい小銀貨1枚でパン1個なら、小銀貨が100円、中銀貨が1000円、大銀貨が1万円、小金貨が10万円てとこか。分かりやすくていいな。


 スリスリ。


「今の説明で分かってくれたかしら?」

「はい、もちろんです。」


 クンクン。


「ねえ?ツバサ君、ところで、私が脱いだ服の匂いなんて嗅いだりしてないわよね?ふふふ。」


 ギクっ!


「いや~なんのことだか、、、僕にはワカリマセン。それじゃあ僕はこれでリビングに戻りますね。」


 ふうぅ~もう少しでバレるところだった。いやバレているかもしれないがお互い様だ。まったく油断も隙もないけしからん女だ。いい匂いさせやがってけしからん。


 ふと、絶対に入ってはダメだと言われた部屋が気になったが、流石にこれだけしてもらったのだから入るのは止めておいた。


 しばらくすると、クレアさんがホクホク顔でお風呂から出てきた。


 膝下まである黒のタイトスカートに、白のカッターシャツをラフに着こなしている、しかも赤の伊達メガネのようなものをかけていた。・・・・完全に教師だ。


 そもそもそれじゃあ寝にくいだろ。何で寝るのにピチピチのタイトスカート??そして俺が幼稚園児の恰好って、、、、


「は~いじゃあツバサ君?もうお外暗いから良い子は寝る時間ですよ~。絵本を読んであげるから一緒にベットに行きましょうね~。」


「え、あ、うん。」

 なんだこれは、ペースを握られている。てかこの世界にメガネってあるのか?ギャグなのか?絵本なんて頼んでないし、、、一緒のベットなんて、、、


 ツッコミどころが満載だったが、もちろん受け入れた。ふふっ。


 そしてとうとう高校2年生にもなって、絵本を読んでもらった。今から何十年も前に神様や英雄達がどうとかこうとかいう話だった。


 正直横からいい匂いがして、頭がクラクラしていたのでどういう話だったのかよく覚えていない。鼻にかかった女性特有の甘い声が俺の思考回路を破壊してゆく。


 日本にいた頃、退屈な授業を聞きながら妄想していた願望が満たされていく。理想の美人教師だ、、、



「はい、おしまい。どう?今の話楽しかった?」

「はい、そりゃあもう面白かったです。ドキドキしました。」

「そう?良かった。じゃあもう遅いから今日はこのへんにして寝ましょうか?」

「え?もう寝るんですか?僕まだ元気です。まだ何もしていません。」

「うふふふ、ダメよ。子供は寝ないと。私ももう寝るわ。」


 なんだなんだ?寝るのか??生殺しじゃないか。

 押して押して引かれると逆に気になってしまう。


 ぐむむむ。


 

 俺が1人でモンモンしていると、クレアさんは脇の間に潜り込んできた。


 う、うむ。 



 細いのに柔らかい・・・ミステリーみたいだ。


 添い寝でこんなにも心が温まるとは。


 なんだか安心する。

 

 これだけでも悪くない。


 うむ、うむ・・・・・


 ・・・・・Zzz


 

 そしていつの間にか眠りについた。






 それからどれくらい経っただろうか?


 夜中にふと目が覚めた。


 俺はベットに1人で寝ていた。横にいたはずのクレアさんがいない。一瞬あれは夢だったのではないかと思ったが、自分の恰好を見て現実だったと確信した。


 一体どこに行ったのだろうか??あたりは真っ暗だったので少しばかり不安になる。かっての知らない家だと心細い。


 ゆっくりと体を起こしベットから降りた。自分でもなぜかは分からないが一歩ずつ慎重に、音をたてないように歩いた。


 リビングも真っ暗だったが、ある部屋のドアの隙間から明かりが漏れている。クレアさんに絶対に入ってはいけないと言われた部屋だ。こんな時間に1人で何をしているのか?秘密の部屋か??。


 一段階心臓が早くなるのを感じた。


 何やら本能が危険信号を鳴らしている。覗かない方が良いと分かっているが、俺は体をコントロールすることが出来なかった。


 息を殺して一歩一歩近づいた。


 そしてドアの隙間から中の様子を窺った。


 部屋は紫色の明かりがともされていた。


 なぜ一部屋だけ明かりの色が違うのだろう?

 そんな疑問も一瞬にして吹き飛ぶ光景が目の前に広がっていた。


 モンスターの物と思われる骨が所狭しと飾られ、よく分からない液体が、透明な容器に入れられ泡をポコポコさせている。


 極めつけに部屋の奥に作られている祭壇に向かってクレアさんがなにやら祈りを捧げている。その表情を窺い知ることはできないが、間違いなくおぞましいだろう。


 悪魔教の信者なのだろうか?そんな名前の宗教があるのかどうか知らないが、、、やはり覗いてはいけなかったのだ。背中がゾクゾクする。


「ああぁ、罪深き私をお許しください、ああああ」


 尋常ではないその様子に腰が引ける。



 罪ってなんだ!?何かしたのか?それとも企んでいるのか?

 

 悪事を働こうとしているなら止めなければいけないが、いくらオリジナルスキルを持っているとはいえ、今の俺ではまだ何も解決する力など持っていない。


 これ以上リスクをおかして、覗き続けると危険だ。とりあえず、ベットに戻らなければ。クレアさんも俺が覗いていたと知らなければ今まで通り優しく接してくれるだろう。


 心臓のドクドクする音が、聞こえてしまうのではないか不安に思いつつ、来た時よりも慎重に、慎重に足を運んだ。


 しかしここまでくれば大丈夫だろうと思ったところで足が椅子にぶつかってしまった。俺はその場に凍りついた。呪文のように聞こえていたあの女の声が一瞬止んだ。


 やばい、気が付かれたか。


 硬直して動かない体を必死に動かして、なんとかベットに潜り込んだ。心臓が口から出るかと思った。全身の毛穴から湯気が出そうなほど熱くなり、体が混乱しているのが分かる。


 必死に布団にくるまった。


 ・・・どうやらギリギリ気が付かれなかったようだが、、それから一睡もすることが出来なかった。目はギンギンになり眠気など全く感じなかった。あの女がいつ戻ってくるのかと思ったら、不安で不安でたまらなかった。


 しかし玄関から出ていけば完全にバレてしまうし窓も開閉できないタイプなので出ていくこともできない。そもそも今ここで出て行ったら後で何をされるか分かったもんじゃない。


 俺は結局ベットの中で布団にくるまる事しか出来なかった。


昨日ブックマークしてくださった方ありがとうございます!


更新時間なんですがもう少し夜の方がいいですかね?う~ん悩みどころです。次回からもしかしたら夜の8時ぐらいにするかもしれません。

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