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その瞳に映るもの  作者: ハーベスト
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1話 落ち着いた転移

突然だが、今日はミキとデートである。

同棲はしていないが、近々結婚を考えている。

まだまだ若いと言いたいが、お互いもう30歳となると、自然とそのつもりでこれからの事を考えていることもある。


5年前、終電で寝過ごして到着した駅で取り敢えず降りた(自宅最寄り駅から軽く1時間は離れた場所)が、駅前はただの住宅街。

人影が見えてそちらへ目を向けると、改札前で呆然としている同類が居たので、ソコソコの下心と何より心細さから話しかけたのが始まりだ。



さて、現実逃避はここまでにしよう。


「ミキ、あえて言わせてもらう。・・・すげぇ若返ってんじゃん!」

「えっ、ホントに?!そういうシンもだよ!」

「んで、ここはどこ?」

「私たち旅館に泊まりに来たよねぇ?・・・どう見ても森の中ですけども」


そう。某観光地の旅館にチェックインをして、部屋についた露天風呂で夕陽を眺めながら肩を寄せ合っていたが、海に夕陽が沈んだ直後に浮遊感とともに景色が一変した。

しかも服装まで変わり、焚き火に串に刺さった肉がいい匂いをさせている場所に、2人で座っているのだ。


「意外と俺こういう時に慌てないんだなぁ・・・」

「露天風呂でゆったりしてた延長だからかな?私も不思議と自然体な感じ」

「まぁミキいなきゃオロオロしてそうではあるけどね」

「それは私も。で、シンが20歳くらいに見えるということは、私もそんな感じ?」

「はい。もはやJKですと言われたら納得しそうな程に」

「よしっ!」


そんな会話をしつつ、焚き火の向こうにある湖らしき場所をみているのだが、視界にどう見てもゲームの様な表示がある。

ラノベもソコソコ読むオレとしては、試したいこともあるので話を変えることにする。


「ミキ、前に薦めたラノベ覚えてる?」

「ええ。目が覚めたら違う世界にいて、開始早々やらかしてレベルがスゴイ上がっちゃうところから始まるやつでしょ?」

「そうそう。あの系統と似た状況にあると予想できるものが視界にある訳ですが」

「声に出せばアレが見られるかも?」

「たぶん。やってみようかね」


「「ステータス」」

言葉とともに視界にガラス板のようなものがでて、お互いに見せ合うことが出来た。


シン・エッソ 21歳

レベル1

スキル

【大陸共通語】 【体力回復上昇3】

【魔力回復上昇3】


ユニーク

【太陽の瞳】 【インベントリ】


加護

海洋神の加護



ミキ・エッソ 21歳

レベル1

スキル

【大陸共通語】 【体力回復上昇3】

【魔力回復上昇3】


ユニーク

【大地の瞳】 【インベントリ】


加護

大地母神の加護



「ユニークと加護が違うのと・・・苗字が同じになってるね」

「プロポーズは今夜の予定だったわけですが・・・

ミキ、結婚しよう。これからどうなるかわからなくても、一緒に居てくれないか。一生大切にするから」

「え、この流れで?・・・・・・はい。あなたの嫁としていつまでも」

「ありがとう!今言っとかないとこれからの話もしづらいし、雰囲気が無いのは申し訳ないないけど決意みたいなものだと思って欲しいかな?」

「んもぅ、嬉しいからいいけど、なんかこう、ねぇ・・・」


『そろそろお邪魔してもいいかしら?』


?!


『あぁ、ごめんなさいね、脅かしてしまって。私はシルトース。この世界の創造神をしています。現状の説明をさせて貰ってもいいかしら?』



羽衣を着たいかにも女神な女性、シルトースさんが焚き火の横にフワッと現れる。

焚き火にあった肉を勧められて食べながら聴いた話をまとめると、


・ここは地球ではなく、シスラと言う別世界で、剣と魔法の世界という認識で良いらしい。


・この場に居た男女が駆け落ちの末、女性の病気が悪化して息を引き取る寸前に男性が自らの魔力全てを使って助けようとした。


・結局2人の命は尽きてしまったが、2人の次は2人で幸せにと言う気持ちがたまたまコチラの世界の冥界神に会いに来ていた地球の神の琴線に触れ、転生させる事にした。


・そのタイミングが、俺達が観ていた夕陽の沈む瞬間だったようなのだが、地球の神が帰るときにあけた経路が繋がった時にこれからもずっと一緒にという気持ちを持った俺達の気持ちに影響を受けて、吸いこまれるように飛ばされてきてしまったとのこと。


・転生した2人は、幼馴染みとして出逢えるようにする事で決まっているのだが、完全に事故として来てしまった俺達には帰る手段もなく、この世界の基礎が無いので持っているラノベの知識と混ぜることで今の服装とステータスだけは取り急ぎなんとかした。


・地球でのピーク時の肉体記録を元にシスラの要素を取り入れて再構築したので若返っている。


・この世界で生活してもらうしかないが、向こうの事は地球の神が何とかしてくれるらしいので、心配いらない。

お互いに親は他界してるから荷物とか仕事かな?どうしようもないなら忘れるっきゃないか…


・今この場所は説明が終わるまで時間を止めているが、ここはまだ明け方らしい。


・2時間ほど太陽に向けて歩けば(マップは作れなかったので)街が見えるが、入るまでは創造神の力で魔物が寄らないようにしてくれるらしい。


大まかにはこんな所だ。


細かいところで大事なのは、寿命や老化はレベル次第であり、所謂ファンタジー種族なども存在するため、嫌でなければ冒険者になる事を勧められた。


事故の補填としてユニークスキルを資質に合わせて調整した結果が 【太陽の瞳】と 【大地の瞳】であり、 【インベントリ】は定番の機能として触れるだけで物を収納する能力がある。

この中に金貨銀貨銅貨をそれぞれ10枚、(貨幣価値は10枚で上位通貨へ、参考として宿の代金が銅貨3枚で1泊)

1000万円程度が入っており、夫婦として設定したため共有スペースに入れてあると言っていた。

この世界ではノーマルなスキルとして 【アイテムボックス】はあるが、容量はワンルーム程度で、俺達の 【インベントリ】は上限無しの時間停止があるので、使い方は気を付けるように言われている。


数値としてのHPやMPや筋力、経験値は無いが、極端な話草むしりしようが散歩しようが何かしらの経験となるので、あとは便宜上「壁」と呼ばれるものを超えればレベルが上がる。


「ありがとうございます。因みにここに来てからやけに落ち着いてるのは何かしてるんですか?」

『んー、あなた達に付いてる加護が創造神である私の一つ下の最高神クラスの物だからかもしれないわね。護る力が強いから、無意識に安心してるんじゃないかと思うわ』

「あー、何となく納得しました」

『あなた達の知識にある様な相手のステータスを勝手に見るような力はユニークスキルじゃないとないから、見られて騒がれることは殆ど無いけど、加護があれば教会で直接話せるし便利よ?』

「困った時は教会へって事ですね」




その後、シルトースさんは改めてお詫び申し上げます。と深々と頭を下げてから消えていった。



「んじゃ、街まで行きますかね」

「私達の設定はシルトースさんオススメのアレで行くわよね?」

「もちろん!まぁこの世界の神々が地球の神のせいでフラグの概念を理解したから、そう言うのに関連した面倒事も有るだろうけど、なんとか頑張ろうね」



森を抜けて更に1時間程度で要塞のような壁に囲まれた街が見えて来た。

門番も一応居るが、城壁を通過する際に犯罪歴を示す称号(称号は犯罪か偉業を成した者に勝手につく)をチェックして警報と本人へのどこからともなく注がれるスポットライト的なもので見つかって捕まらなければ通行は自由だ。


因みにスポットライトは娯楽神の管轄らしい。昼間でも分かるスポットライトとか恥ずかしすぎる。


因みに犯罪称号が付くとこの門のシステムの存在を忘れるらしく、たまに見られるらしい。



「ようこそ フランジの街へ だって」

「この国のフランジ伯爵の本拠地だっけ?」

「って言ってたね。150年前にできたダンジョンを中心に栄えているらしいけど。ミキはどうしたい?」

「17-18歳だったら旅でもしながらとか言ってたけど、21歳ダカラネ・・・」

「お、おう、早い内にまずはレベルが上がるダンジョンへ行く方向でいいか」

「ウン」


10年後を知ってる身としてはそれはそれでイイと思うけど、言ったらダメなやつだもんね、この感じ。


「じゃぁ冒険者ギルドの登録、宿確保、資料室で必須、お役立ちスキルについての情報収集が今日のお仕事かね」

「それでいいと思う。あ、絡まれるかな…」

「冒険者オススメするのに平均的な冒険者くらい(G-Sでいえば何故かC)の力だけはあるみたいだから、空手的ななにかで守るさ」

「あら、できるの?」

「いや?的なナニカでなんとかします」

「ふふっ。頼りになしてるわよ?」

「お任せ下さい。お嬢様」



やって来ました冒険者ギルド。

何故かこの世界ではギルドに時計塔が付いており、スグに分かるようになっている。

開け放たれたかなり大きな扉を通り中へ。

酒場はあるが、この時間ではさすがに飲んでるバカはいないらしい。

真っ直ぐ正面の受付へ向かう。


「いらっしゃいませ。どの様なご要件でしょうか?」

「登録をお願いします」

「かしこまりました。私は今回担当しますナールと申します。宜しくお願いします」

「「宜しくお願いします」」


ナールさんは猫耳だ。綺麗な茶色の長髪で、制服の胸元もパッツリしている。イイね!

ミキはかなりスタイルがいいが、猫耳成分が付くとどうしても目がいってしまってここの受付に来てしまった。

目線に気づいたミキが俺の横にピッタリくっついて来たので、これ以上おいたをすると俺になにか事故が起こるかもしれない。落ちつこう。


シルトースさんに聞いたとおり、依頼を受けて評価が上がれば昇格できるシステムのようで、説明を受けながら差しだされた箱に手を載せると魔力に反応して名前とランクだけが印字されたカードを渡される。



「これで登録は完了です。なにかご質問はおありですか?」

「資料室の場所とオススメの宿を教えてもらえませんか?この街に来たばかりなので」

「はい。資料室は2階の最初の部屋です。持ち出しは禁止ですが、お好きなときにご利用ください。宿は・・・アカハスと言う宿がオススメですね。ギルドを出て右側3軒目です。騒がしくするとつまみ出されますがお2人なら大丈夫でしょうし。」

「ははは。ありがとうございます。どちらもこの後行ってみますね」

「いいえ。今後とも宜しくお願いします」



さて、先に宿確保して、近いしすぐに資料室にいきますかね。


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