第6話
次の日の朝、腹が減って目が覚めた。
まだ外は薄暗い隣のイリアも起きているようで、モゾモゾ動いてる。
「魚でも獲りに行こうか」
「おはよ~う、お兄ちゃん」
どうやらイリアは余り眠れていないみたいだ。
短い髪がボサボサだ。
運良く川の浅い所で大きめの魚が2匹を獲ることができ、すぐに食事にありつくことができた。
だいぶ日も登ってきたところなんで、ギルドに向かう。
「あら? おはよう、早いわね」
サリーナさんはちょっと派手目なピンクのエプロンをして掃除していた。
「おはようございます」
イリアと俺で挨拶をする。
「ちょっと待っててね、すぐ終わるから」
少し待つことになり、併設された食堂のテーブルに座る。
暫く待つとエプロンを脱いだサリーナさんが、お盆にパンとスープを持ってきてくれた。
「昨日はありがとう。これはお待たせしたお詫びね
はいどうぞ」
目の前に湯気がでるスープと焼きたてのパンが並んだ。
イリアの方にも同じものが並び、目を合わせた。
「いただきます」
「食べながら聞いてね、昨日すぐに森に調べに行ってもらってゴブリンのグループがいくつか見つか……」
そこまでは聞こえていた。
だけど俺もイリアも食べることに夢中になっていた。
「……しゅうのことなんだけど、ゴブリン1匹の討伐だけじゃなく情報料も上乗せしておいたわ」とジャラっと小さい袋をテーブルに乗せてくれた。
手に掴もうとした寸前、パッとイリアに横取りされた。
「すごいよ、お兄ちゃん!!」
俺のほうを見て、顔を赤くして笑ってる。
「200メセタはいってるわ」
「ゴブリンの討伐報酬ってそんなに高いんですか?」
びっくりして聞いてしまった。
「…話聞いて無かったわね? 情報料よ。ゴブリンの討伐報酬なんて10もないわ」
「そうなんですね」
「被害が出る前に防げたんだからね、っとそろそろ混んでくるから私は仕事にもどるね。ゆっくり食べていって」
と慌てた感じで戻っていった。
「お兄ちゃん、今日は美味しいもの食べられたからこれは貯金だよね??」
「ああ、でも夜ご飯に串焼きは買ってもいいかな」
掃除屋の詰所前にある屋台の串焼きは安い。
肉も固いが、それでも俺たちにはご馳走だった。
まだ1回しか食べたことがなかったからだ。
「やったーー!! 串焼きだぁ!!」
その日は森のタンス貯金も無事にできて、串焼きを食べて寝た。