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第56話 サフィリアギルドにて

美味い!  うまいぞー!!

今日のメニューは白身魚(タラに似ている)のアクアパッツアみたいなものに、イカのソテーとパンだ。

パンを魚のソースに浸して食べるとさらにうまい。

ルイジさんの料理は地元の海鮮をベースになっていて、この街の海が豊かだということが良くわかる。

まだこの宿に泊まって2日目だが、他の店で食べようと暫くは考えなくてよさそうだ。

「あんた見かけによらず、よく食べるわね」

そう言ってくるのはアンナだ。 金髪のサラサラショートヘアで目がくりっとしている俺と歳はあまり変わらない女の子。

ときたま言い方がきつく聞こえるけど、きちんと水のお替りを注いでくれてる。

「ありがとうございます、ルイジさんの料理は本当においしいですから」

「当然じゃない! 父さんは皇帝の城で小さい頃から働いていたんだから」

腰に手を当て、満足気に説明してくれてる。

「へー、そうなんですか」

「材料さえあれば、大陸中の料理を作れるわ!」

「大陸中?  ってことはもしかしたら生の魚とか出てくるのかな?」

「はあ?  生の魚なんて魚人くらいしか食べないわよ。  なに言ってるの?」

「そ・・・そうなんですか?」

ちょっと呆れ顔で言われた。  またやってしまったか?

そこへ丁度奥から、ルイジさんが出てきた。

「イヤ!  アンナ、そうでもないらしいんだ。 東の島国に生で魚を食べるところがあるみたいなんだよ」

「え!?  しんじらんない! お腹壊すわよ」

「うん、私もそう思っていたよ。 ところが下処理の仕方や、その国独自のソースで食べればとてもおいしいらしんだ」

これは!  それって醤油のことかな?

「私も食べてみたことはないんだがね。 城にいた頃、来賓の方の専属の料理人が来たときに教えてもらったんだよ」

「それってなんて国だったんですか?」

「うーん、なんだったかなあ?  後で調べておくよ」

そんな会話を2日目の夜にした。

パンはお替りさせてもらった。


3日目の朝、晴れやかな初夏の風が南から吹くいい天気、今日から本格的にギルドの依頼を受け始める。

サフィリアの街のギルドは大きく、広い。  構造的にはメロトニスのリムーにあったのと似ている。

違いと言えば、ギルドにも帝国兵が駐屯していることぐらいだろう。

ギルドは街の便利屋みたいなところがあるし、事件も集まりやすい。  情報の流れを帝国は握っておきたいのだろう。

他の国はギルドに兵士まではおいてはいないが、やはり報告は蜜にやってるみたいだ。

俺はまずこの辺りの土地勘を養うために、薬草採りなど簡単なお使いの仕事を受けようと依頼書を持って受付に並ぶ。

朝の今の時間、依頼を受ける人で受付の3つはどれも4、5人の行列になっている。

そこへ、明らかにガラの悪そうな男3人が並んできた。

リーダー格の男は、スキンヘッドに鉢巻、返り血で真っ黒になった皮の鎧が余計に悪そうなイメージを高めている。

「ガキんちょ!  俺たちはオーガの群れを狩って疲れてんだ。  先、代われ」

言うなり俺の頭をつかんで後ろに下げようとした。

「止めてもらえませんか?」

あー・・・。面倒くさい。 俺が見た目子供だから、絡まれる。だけど俺も黙ってはいない。

「おい、お前素直に聞いとけ。  俺たちゃオーガキラー3兄弟だ」

「オーガキラー3兄弟?  知りませんね」

「なんだと?  威勢だけは認めてやるよ。 さっさと後ろ行った方が身のためだぜ?」

「あなた方のランクがいくつか知りませんが、順番も守れない様な人が上に上がれるとは思えませんね」

「おう!  ガキんちょ!  言ってくれるじゃねえか。 舐めたこと言ってると、仕事中に事故死するぞ?」

あー・・・。  ほんと面倒だ。

俺は、こいつらの後からでもまあいいかと思い、譲ってやることにした。

「わかりましたよ・・・」


「待ちな!  坊主、そこは引いちゃいけねーな」

その声のした方には、赤茶けた髪に、短い髭を蓄え黒い眼帯をつけた30後半の男がいた。

「なんだ手前は!」

スキンヘッドの男は声のした方を振り向くと同時に

「げえ!?  ダントさん!?」

あ!  あの人、宿の食堂で何度か飯食ってるとこ見たことあるな。

「依頼を受けようとしているってことは冒険者だ。 それなりの覚悟があってそこに立ってる。 子供だからって見下していいわけがないだろう。  それに彼はランクCだ」

「なんだと!?  こんなガキが俺たちと同じランクCだって?   いくらダントさんの言葉でもそれは信じられないな」

「『爆炎の弟子』って聞いたことないか?」

「な!?  こいつがそうだって言うんですかい?」

「さあ?  本人に聞いてみるんだな」

ダントさんと3人は俺を見ている。

あ~あ・・・。  本当に面倒な展開になってきた。  出来ればパーティでの依頼を受けるまで、それは隠しておきたかったんだけど。

「最近なんか『爆炎の弟子』って呼ばれることが多いんですけどね。  アズマって言います。  よろしくお願いします。 ダントさん」

「よろしく。  『潮風』で見かけたのでね」


☆ ☆ ☆


今日は朝から、おかしなもの見ちゃったの。

あのランクAダントさんと、あのアズマが一緒に朝食を取っていたの。

どういうこと?

アズマは昨日、薬草の依頼をいくつかこなしたって言ってたわ。

それって私でも知ってる、ギルドの中でも一番下のランクが受ける依頼のはずよ。

どー考えてもつり合いが取れないわ。

後でアズマに言っておかないと。

あの子、絶対危ないわ!

今日なんか買い物行くって言ってたわね。  帰ってきたらとっつかまえて、お説教よ!


お読みいただきありがとうございます。

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