第5話
初めてメッセージいただきました。
ありがとうございます。
稚拙で読みづらいとは思いますがよろしくお願いします。
森にたどり着く前に、二人の男に前を塞がれていた。
「よう! チビッ子兄弟! 元気かぁ?」
背の高い痩せた色黒のカマキリ顔の奴が絡んできた。
しまった…臨時収入があって油断してた…。
イリアの手を掴み駆け出そうとするが、背の低いネズミ顔の奴に止められた。
「おっと! 出すもん出したら通っていいぜ?」
「くっ…」
俺は顔を歪める。
この二人には何度かこうやって巻き上げられている。
最近は警戒していたんだが、教会に入っていくのを見られたんだろう。
エステルは皆にやってもらってるみたいなことを言っていたんで、こいつらも金を貰ったことがあるのだろう。
「わかったよ」
10メセタをネズミ顔の奴に渡す。
「へへっ」
汚れた顔が醜く歪む。
「それじゃあな」
俺は歩き始める。
「おっと、弟くんのがまだだろう?」
カマキリ顔が近づいてきた。
「イヤだよ!!」
あれ? イリアさん?
「なんだとぉ?」
見た目17、18歳のお兄さんたちですよ??
カマキリ顔がイリアを強く押し倒された。
「さっさと出せば痛い目あわねぇえのになあ!」
倒されたイリアに近づいて行こうとする。
ヤバい
「ちょっとまってくれ」
間に入って止める。
「だせっつてんだろ!」
言うと同時に拳が飛んできて、まともに吹っ飛ばされる。
「お兄ちゃん!」
ちょっとしたリンチ状態。
「ごめんなさい、ごめんなさい。これあげるから」
二人はイリアの手から金をひっつかむと、すぐにいなくなった。
「お兄ちゃん、ごめんなさい、ごめんなさい」
イリアは泣きながら謝ってくる。
「痛てて…大丈夫、口の中が切れただけだから」
イリアは泣きながら俺の体についた砂を払ってくれた。
この世界こんなものだ。
あいつらも生きるのに必死だ。
弱いものは食いっぱぐれ、淘汰される。
そんな毎日をおくり、暫くたったある日。
森のタンス貯金してる場所に一匹のゴブリンがうろうろしていた。
邪魔だ、というかなんでこんな森の浅い所をうろうろしてるのか?
俺の体格は5歳児程度だ、まともに戦ったら負けるだろう。
だけど、不意をついて急所に決めればイケるはずだ。
ゴブリンの討伐証明部位は耳だ。サリーナさんに聞いて知ってる。
いつかは経験しなくちゃならない。
相手に気づかれていない、この絶好のチャンスにやるなら今しかない。
イリアを後ろに避難させ、俺がヤバかったら逃げるように言っておく。
適当な小石を拾ってゴブリンの向こう側の木に当て気をそらしたところを、勢いをつけて首めがけて剣を振る。
「ギッギギッヤ……」
剣はゴブリンの首3分の1程度しか入らなかった。
こっちに気づいたゴブリンが振り返り様に剣を振ってくる。
あれ? 剣は刺さってるのに倒れない。
背中を嫌な汗が流れる、その醜い顔と叫びにも似た声に足がすくんできた。
2度、3度、相手の動きも正確じゃないのでなんとかかわせたが、4度目大きく振りかぶった時
「ギッ…ゴボォ」
口から多量の血を流しながら倒れてくれた。
危なかった……。
マンガみたいにすぐには死なないのね……。
俺は恐怖で生まれたての小鹿みたいになる足に力を込め、イリアを呼んでタンス貯金してる金を掘り起こし、ゴブリンの耳を切り取る。
「場所変えるの?」
イリアがたずねてくる。
「ああ、ゴブリンの仲間が来ると思うし血の臭いに他の獣もくるから、暫くは近づかない方がいいからね」
ゴブリンの持っていた剣は、俺がもってるものより上等のヤツだった。
恐怖による疲労感で身体がフワフワする感じがするが、ゴブリンの耳なんていつまでも持っておきたくないので、すぐにギルドに向かう。
ギルドに入るなり気分が滅入る。
カウンターの奥には支店長がいるのだ。
絡まれないことを祈りつつ、サリーナさんに声をかける。
「サリーナさん、ゴブリン倒したんですが報酬ってでますか?」
「え? アズマくんが??」
サリーナさんは困った顔をし、少し考え込んだ。
そのわずかな時間に、サリーナさんの後ろから声が飛んできた。
「おい!! ここはガキがママゴトする場所じゃねぇんだ、用がねぇなら入って来んな!!
それに、ここがいくら掃除屋の街だからって臭せぇ匂いのヤツが室内に入って来たら、他の客に迷惑だろうが!」
このおっさんは変わらないね。
あ、でも確かにここ何日か水浴びしてないや。
「支店長、アズマくんはゴブリンの討伐証明持ってきてるんですよ?」
「あぁ?? じゃあさっさと買い取って報酬渡して追い出せや、臭くてかなわん」
「支店長!! アズマくんたちは日頃森の奥には踏み込まないようにしてるって言ってました。 その彼が遭遇したってことは森の出口付近のはずなんです!!」
「あ~?? それがどうしたあ?」
「最弱とはいえ、ゴブリンは知能がある獣です。人間の住んでいる地域には顔を出さないようにしているはずです。
そのゴブリンが森の出口で見つかったということは、森に異常が起きてると考えられます。すぐに依頼をだし、森を調べる必要があると思います」
いつものフンワリ雰囲気のサリーナさんらしくなく、厳し目の口調だ。
彼女は元若手ホープの冒険者だった。ネコ種族の特性を生かした瞬発力でかなり有名だったらしい。
今は獣との戦闘で負傷し、右足の膝から下を失っている。
「お前がそのガキに肩入れするのは勝手だが、なんかあったときは自分で責任とるんだな」
そう言うと奥の部屋にひっこんでいった。
サリーナさんは俺の方を見て
「今日は忙しくなるから、明日報酬を渡すから明日また来て頂戴。
それと討伐証明の耳は頂くわ、あと大体でいいのでゴブリンと戦った場所を教えて」
ギルド内の空気が変わったのを感じて、家に帰った。
家に着くと直ぐに倒れるように眠った。
あぁ…腹減った…。