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第45話 カブリ島

少しの間、リナルドの昔話にお付き合いください。

 俺の名前はリナルド=レンツィ、22歳だ。

ランクAパーティ『バルボアの噴炎』のリーダーをやっている。

俺は小さなころから、精霊に好かれる質で特に炎の精霊と相性がいい。

炎の魔法には自信がある。

パーティ名にある『バルボア』とは、蜥蜴人が信仰している聖アテナと共に戦って、闇を退けたとされるドラゴンの名前だ。

なぜ蜥蜴人かというと、俺のパーティには蜥蜴人がいる。

名前はダン。 その戦士としての才は、人族としての域を超えており蜥蜴人の身体能力の高さは正直、うらやましい。

次に『噴』の意味はドワーフの彼。

ペクドスだ。彼のハンマー捌きはかなりのもの、おれの剣も受けきれる。 ハンマーでだ。

それだけじゃなく、土魔法を使える。 これがかなり便利だ。 

キャンプを張るのも楽だし、簡易的な盾を作ることもできる。

彼は身長の低さを気にしてはいるが、その人柄は穏和だが一度キレると火山のごとく噴火する。

そして、ティア=ストラデルラ。 長い金髪を腰の辺りで髪留めでとめており、線の細い身体つき、回復魔法を使え「うふふ」と笑うと世界まで明るくしてしまう。 

帝国の首都『帝都ステラガウリアス』で俺がスカウトした。

彼女はこれまで、仲間に恵まれてなかったらしく、スカウトするのは苦労した。

「身体が目当てでしょ?」

そう言う彼女に、俺は実際なんて返せばいいかわからずにいた。

でも足しげく通い、何度か一緒に依頼をこなした結果。

「いいわよ、でも私より長生きしてね」そうにっこりと笑うと、この人は聖アテナに違いないと思ったことが昨日の様だ。

この4人が『バルボアの噴炎』だ。 もうすぐランクSも近い。

「ねえリナルド!  結婚しよー!!」

ふわふわの尻尾を俺の脚に絡め、腕にひっついてくるこの猫人。 忘れてた、こいつがいた。

最後の5人目。 俺は認めてねーが名目上、ダンとペクドスの弟子ってことになっている、サリーナだ。

風の魔法を使えるらしく、それで自身のスピードをあげて戦うスタイルの猫人は、サーラントでダンとペクドスが拾ってきた。 と言うと語弊があるが、実際それに近い。


 ザッカー島の東200kmほどのところに、どの国にも属していない島がある。名を『カブリ島』

島の大きさはニムアイ島ほどなので、かなりの大きさがあるが、島民は1000人ほどしかいなく、小さな集落を作って生活しているらしい。

島の気候は穏やかで、作物も良く育ち住むにはもってこいだが、どの国からも遠く属国にしようという動きは見られなかった。 わずかにギルドが島の治安などを管理するにすぎない場所だ。

そこに俺たち『バルボアの噴炎』はギルドの指名依頼を受け来ている。

依頼の内容は、古い遺跡が迷宮になっているのではないかという、調査依頼だった。

これまで、どの国も動き出さなかったが、迷宮が出来たとなれば話は別だ。どこかの国が抜け駆けするよりも前に、ギルドが動いたってわけだ。

船を降り、港のある集落で話を聞くと、その遺跡は島の真ん中にある山の、火口湖のそばにあるらしい。

俺たちは集落の人達から、調査にかかる食料や道具を分けてもらう代わりに、モンスターが増えて困っているということなので、その討伐を請け負った。

期間は3日間、その中で山から下りてきたであろうモンスターを倒してまわる。

特に大型の熊の様な奴が強く、島民だけでは無理だったとのこと。

「変じゃのー」

「どうしたんだ? ペクドス?」

「イヤー、島民は何度もモンスターとやりあっとるんだろ? なのに怪我人が見当たらんのじゃのー」

「そういや・・・。そうだな」

「誰か回復魔法でも、使えるんでしょうね?」

そうティアがつぶやいたとき島民の何人かが、過剰に反応をしめした。

「回復魔法の使い手など、この島にはおらん!!」 じいさんがわめきだした。

「おめぇたちは、回復魔法の使い手を探しにきたんだか?  だったら今すぐけぇえれ!!」

「いや・・・。俺たちは別に・・」

急に大声を出されて、サリーナは驚いて俺たちの後ろにさっと隠れてしまった。

ティアは回復魔法を使える、もちろん後から知ったことなんだが。

『回復魔法の使い手』は特に神聖視されており、それこそどの国も教会すらも血眼になって探している。

ティア自身、使えることを隠して冒険者をしていたらしく、使ってしまう度に場所を変えパーティを変えてきたようだ。

俺はもう一度はっきりいった。

「そうじゃない! 俺たちは回復魔法を使えるからな! そんなやつは探してない」

「おお??」

少しやばい賭けだったが、思いの他効果があったようだ。

「本当か?」

「ああ」

「もしや・・・・。回復魔法を使えるのは、このお嬢さんではないか?」

ティアを指さして、おっさんが震えながら言う。

「そうですよ、私が使えます」

「おおお!!  どうりで! アイダ様に似ておられる・・・」

「確かに・・・、似ておられる」

急に態度が変わった。

ティアに握手を求めるもの、お祈りするもの、土下座するものまで現れ、困惑する彼女。

「あ・・・あの?」

「どーか・・、どーかアイダ様をお助けください」

「おお!! そんだ!  アイダ様をお助けください!」

全員が急にそんなことを言い出した。

「待ってくれ! 順を追って説明してくれないか?」

俺は若干興奮気味の島民を落ち着かせ、話を聞くことにした。


この島には病院もなく、他の島までも遠いため、島民たちは島の癒し手アイダ様を長年かくまってきた。

モンスターの数が多くなってきてから、島民たちは計画的に討伐を繰り返してきたが、怪我を負う量が大変多く、アイダ様に負担をかけ続けたため、ここ最近具合が良くないとのことだった。

ティアとダンの2人で、アイダ様に会いに行ってもらうことにした。

残りはモンスターの討伐準備だ。

集落の人々は、その一件から俺たちに好意的になってくれ、寝る場所と食べ物は用意してくれるらしい。

夕方までに、集落の近くにいたモンスターはあらまし倒し、島民は驚いていた。

夕食の準備が整うころ、ティアとダンが帰ってきた。

「どうだった?」

「はい・・・彼女は・・その・・・老衰でした」

言いにくそうにティアは話し出した。

「なんと!? 寿命だって?  アイダ様はあんなに若くしてらっしゃるのに・・」

集落の島民も肩を落とす。

「はい・・・彼女は、エルフだそうで・・・」

「「「エルフ!?」」」

俺たちは驚いたが、島民は知っていたようだった。

「エルフならしかたねーわな、見た目かなり若いまま寿命がくるってはなしだしな」

「500歳ほどがエルフの寿命だそうで、彼女は今年で521歳らしいそうなので・・」

「とゆうことだ・・・、すまないな」

島民たちもは、話を聞いて落胆していた。

さあ、明日はいよいよ遺跡の調査だ。




お読みいただき、ありがとうございます。

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