表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/58

第33話 迷宮での救出

「ジャッコさんとりあえず、紐を探してきて縛りあげましょう」

「ああ、そうだな」

俺はギランが出てきた場所からバリケードの中に入った。

そこは物が乱雑して、足の踏み場も無いような状態だ。

魔石コンロにの上には汚れたままの鍋、その横には切りかけの干し肉。

他の冒険者から盗んだものなのか、服や装備品などもごちゃごちゃに置かれ、臭いもしていた。


「ヒモ、ヒモっと……」

知らず知らずに声が出る、やっぱり身を守るためとはいえ初めての殺人……。

動揺してないわけがない。

ガタガタン!!!

探しながら奥に行くと、物音がした。

奥の少し開けた場所に、魔方陣が敷いてありその中に2人、人がいた。

一人は仰向けに倒れており、もう一人は子供みたいでそのすぐ側でうずくまって泣いている。

「大丈夫ですか?」

俺は剣を鞘に納めながら、魔方陣の中に入れるか手を入れてみた。

「お? なんだ? 精霊陣じゃねぇか!」

「え?」

後ろを向くと、赤髪の大男が立っていた。

「リナルド!! どこ行ってたんだよ!!」

「わりぃーわりぃー! ちょっと道に迷っちまった」

「嘘つけ!!」


「ヒィー!!」

ガタン!! バチバチ!!!

精霊陣から黄色い雷状のものが上がり。バッタリと倒れてしまった。

「おい! デカイ声出すから、ビビらせちまったじゃねぇか」

うずくまって泣いていた子供が、ビックリして精霊陣の外に出ようとして、魔法が発動した。

「リナルド、精霊陣ってなんですか?」

「ああ、精霊に文字や記号でお願いすることで、魔石を触媒にして色々な魔法効果をだすことができる道具だな。

この場合、この陣外にコイツらを出さないよう契約されている」

「精霊ってそんなことで使うことできるんですね」

「ああ、制約は多いみたいだがな、今ではいろんなところに使われている。

基本的に魔石を使った道具にもこれが使われている」

(へー、基板みたいなものかな)

「俺たちは、この中に入れるの?」

リナルドは俺の質問には答えずに、精霊陣の中に入り倒れている人へ駆け寄った。

「こりゃ…………」

倒れている人は、腰の当たりに汚れた布がかけてあるだけでほぼ裸だ。

リナルドがなぜ言葉をかけられないか……それは見るも無惨な状態だったからだ。

お腹から胸にかけて、紫色に変色して腫れ上がっており、顔もほぼそんな感じだ。

頭の上部にウサギ状の耳がついていたが、片方はちぎれかけていた。

「酷い………」


「ウウウウォォオオオオアアアアアーー!!」

精霊陣の魔法をくらって倒れていた子供が、リナルドに襲いかかってきた。

ビシィ!!!

リナルドはソイツの頭ごと地面に倒し気絶させた。

「ふう……兎人は動きが速ぇわ」

俺はその時リナルドと冒険してから初めて、彼が血を流しているのを見た。

「リナルド、口元から血がでてるよ」

「お!? くらってたか?ガハハ」

(俺は全く反応できなかった………アイツがリナルドじゃなく、俺を狙っていたら………)

「我、リナルド=レンツィは精霊たちに願う。彼女の体の傷を治したまえ」

リナルドの手から黄緑色の光が溢れ、大人の方の体を癒している。

俺は彼女の顔を覗きこんでいた。ふと彼女は目を覚まし俺と目が合った。

「・・・どなたか存じ上げませんが、盗賊から・・助けて下さったんですね?

私はもう長くありません。・・・・これを我が主人、ドメニコに・・還していただけませんか?

そして、2人は死んだとお伝えください、せめて・・・娘のラヴィには・・・じ・ゆ・う…………」

「ダメだ、間に合わなかった。傷は治せても体力が持たなかった」

リナルドは首を振った。

彼女は『これ』と言って、首にかけていたペンダントを握ったまま、逝ってしまった。

そのペンダントは、葉っぱの形をしていて、真ん中に黄色の魔石がはいった焦げ茶色のものだった。

「これって………?」

「ああ……奴隷章だな。

それも小さな精霊陣になっていて、奴隷の証であり、罰するためのものでもあるな。着けている本人が死ねば外れる。娘ってのは、まあコイツだろうな……」

俺は地面に伸びている子供の兎人を見た。

彼女もまた母親と同じように、腰に薄布しかしておらず体中が薄汚れていた。

歳は14才ほどだろうか………。

「ッチ、奴らこんな子供にまで…………」

リナルドは珍しく怒っていた。

パッと見ただけでも、何が起こっていたのかわかるほどに、彼女たちの身体は汚されていた。


「アズマ……その辺にスクロールがないか探してみてくれ」

「ああ…、あったありましたよ」

丸めた羊皮紙に魔石がくっついている物が、近くに落ちていた。

「魔石ごと踏んずけて、壊せ」

バギャ!!

黄色の精霊陣はゆっくりと、明滅しながら消えていった。

「さてと俺はギルドに届けなきゃならねぇから、ギランの首外してくる。

おめえは、他に何かないか探してみてくれ」

「わかりました」

更に奥に行くと、男性が1人と女性が2人寝かされていた。

全員がほぼ裸ではあったが、外傷はなく眠っていた。

盗んだ宝も1ヶ所に置かれていて、整理はされていなかったがまとめて回収できた。

バリケードを出てきてみると、まだ生きていたはずの盗賊2人が息絶えていた。

その側でジャッコさんが、血の付いた武器を持って立っていたので、何が起きたか分かってしまった。

「ジャッコさん……」

「縛るよりこっちが早いし、仲間の仇でもあったからよ。お前には悪いとは思ったが…………すまん」

「いえ………」

それしか言えなかった………。


「よーし、全員近く寄ってくれ。胡椒使うぞ!!」

俺たちはリナルドの周りを囲むように寄り沿った。

俺、ジャッコさん、ジャッコさんの仲間2人、兎人2人、眠ったままの男女3人と戦利品も近くにある。

大体半径2メートルほどの範囲で外にまとめて出られるらしい。

リナルドはバックから出した親指ほどの小瓶を地面に叩きつけた。

すると、俺たちのいる地面がゆっくりと下に下がったかと思うと、周りの壁まで一緒に収縮し始めた。

ググーー!!

まるで周りの景色がゴムのように縮こまり、勢いよく地面ごと地上に排出される感じ。

「わぉっと!!!!?」

物凄い速さで周りの景色変わって次の瞬間、地上に立っていた。

「わ、眩しい!!」

もう夕方近くで日も大分傾いていたのに、久しぶりの太陽はとても眩しく感じた。

割りと遠くに迷宮の入り口が見える。

「すごい! 迷宮って確かに生き物みたいだ、くしゃみみたいに吐き出された!!」

俺は無駄に感動してしまっていた。

「でも地面はそのままでだったよな? 吹っ飛ばされたって感じじゃなかったぞ?!」

その時はっと気づいた、廻りのみんなはそんなテンションじゃなかった・・。


「とりあえず、戦利品は入り口の奴らに預かってもらって、ギルドに向かうぞ」

「はい、ああ! ジャッコさんは??」

するとジャッコさんは

「俺は後で行くよ、仲間を弔ってから」

「入り口の奴らに言うと火葬してくれるぞ?」

「はい………知ってます。頼んでみるつもりです」

ジャッコさんはリナルド相手にかしこまった言い方をしてる。

「そうか……気をつけてな」

「はい」

こうして俺たちは荷物を預け、ギルドに向かうことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ