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第30話 イスラでの1日

次の日朝からイスラのギルドに来ている。

ここイスラはメロトニスとの交易の要所だから、街自体も大きいし人も多い。

ギルドも結構デカイ。


リナルドは「今日は休む!! お前は自主練として、ギルドポイントでも貯めて来い」

と言いはなったあと、どっかに消えていた。


自主練ったってなあ…。 朝の訓練は終わって今は10時頃だろうか。

柔軟体操(やっぱ柔軟って大切だよなあ)、剣の素振り、型、魔法のイメージトレーニング、ランニング一通り。

で、ガッツリ朝食を取ってからギルドの依頼板を眺めている。

リナルドが指名依頼の報酬を受け取って金があるのか、今は食うに困ってはいない。

文字の読み書きも難なくできろうになってきた。地面に石で書くなどして。


「んーー、人探しか。 特徴は○○の女性?」

たまに分からない単語が出てくると困る。

丁度俺と同じように、依頼板を見ていた隣の10代後半のにーちゃんに聞いてみる。

「すみません、この単語何て読むんですか?」

茶髪のちょっとチャラい系のにーちゃんはウザそうに、

「あ?お前こんなのも読めねえの?ってガキか? お前みたいな年のヤツが受けられる依頼じゃねぇだろうがよ! 帰って母ちゃんの手伝いでもやってろよ」

「あ、でもこの依頼Dランクですよね? 俺Eランクだから受けられますよ」

「はあ? お前Eランクなのか? その若さで? 俺でさえやっとFランクになったばかりなのに!」

そう言うと俺を上からしたまで見渡した。

あれ? これってテンプレな絡まれ方じゃね?

そう身構えていると、

「そうか…お前も苦労してきたんだなあ………」

にーちゃんは何か察した様に、俺の肩をポンポンと叩いてきた。

「あ、いえ……」

「これはな、兎人の女性を探す依頼だよ」

「わあ、すごい読めるんですね!」

「へっ!!当然だろう、俺はSランク目指してるんだ、読み書きはたしなんでるさ」


その時後ろから女性の声がした。


「ジャッコ君! あなたさっき私から聞いたばかりじゃないですか?

適当なこと言ってると、ペナルティつけますよ!!」

「ゲ!! ココちゃん!!」

ココちゃんと呼ばれた女性はクリーム色のラブラドールレトリバーみたいな大きな犬耳が付いた目のクリクリした女性だった。


「イスラのギルドは初めてですか? 私はギルド職員のココ=ヨークシャーです」

ヨークシャー?? 明らかにラブラドールっぽいんだけど……。

「あ………よろしくお願いします。Eランクのアズマです」

そう言うと握手をした。彼女は両手で俺の手を包む様に握手してくれた。


ここでギルドのランクについて説明しよう。


0~1000 G

1000~5000 F

5000~2万 E

2万~10万 D

10万~50万 C

50万~100万B

100万~500万A

500万~ S


となっている、もちろん高ランク者に寄生して上がっていかない様に、Dランク以上になると試験が行われる。


俺はこの旅の間に、自主練と称してギルドの依頼をうけEランクまで上がっていた。

Eランクは試験は無いものの、そのランクは初心者卒業といった位置付けだ。

俺みたいな若さでなっているものは少ない。 が少ないというだけで居ないわけじゃない。

小さなころから英才教育を受けてきた者や、生きるために強くならざるえなかった者などいるからだ。

ジャッコというにーちゃんは、Sランク目指してるだけあって、先入観を持つことがどれだけ危険か解っているのだろう。


「まったくジャッコ君はいつも雰囲気で適当なこと言って!!」

ココさんはジャッコさんの肩をポカポカ叩きながらプンスカ言ってる。


…………、どうやらノリで言ってただけみたいだ。


「じゃあ、アズマさん他に気になる依頼とかありますか? 読めないものなんかはありませんか?」

ココさんはグッと近寄って、俺と肩をくっつけながら依頼板を見てる。

「んーーあ、いえ、だいじょうぶです」

そう言って離れ様とすると、

「んーーーー?? あれぇ?」

急に腕を捕まれ顔を近づけて、クンクンしてきた。

「ちょ!? ココちゃん何してるの?? 近い!! 近いよね!?」

ジャッコさんが慌てて間に入ってくる。

クンンクン

「くっさ!? ジャッコ君!! 最近水浴びしてませんね?」

鼻とつまんで苦しんでる。

「え? だって戦いのカンが鈍るだろう? だからもう1ヵ月は水浴びしてないぜ!!」

ドヤ顔である。

おいおい……、どこの剣豪様だ?……。

「知りません!! 犬人は鼻がきくんです! 清潔にしてくださらないと、ペナルティつけますよ!!

まったく誰が言い出したんだか、水浴びしたくらいで弱くなるわけないじゃないですか

それより」

グイっとまた顔を近づけてココさんは言った。

「どっかで嗅いだことのある人の匂いがするんですよねー。

誰だったかなー」

俺を見ながら考え込んでる。

「あ! だったらリナルドのことじゃないかな?」

俺が名前を出した途端、ギルドの内のザワつき方が変わった。

「え!? アズマさんリナルド様と一緒に来たの?」

ココさんは、クリクリした目をさらに大きくして驚いていた。

「スッゴい、じゃあ爆炎様が弟子を取った噂になってる人ってアズマさんなんだ」

俺の二の腕を掴みながらぴょんぴょん跳ねてる。

「そ………そうみたいですね」

「じゃあAランクの依頼でも、Bランクの依頼でも安心ね!!」

クリクリの目が期待するように、俺に向けられてる。

ち……近い。

「いえ、基本依頼は俺一人でやるように言われていますから、リナルドはノータッチですよ。だからDランクくらいまでの依頼を受けようと思いまして」

「そっかー、じゃあ気に入ったのあったら受けてみてね」

少し残念そうにしつつも、最後はニッコリ微笑んで受け付けに戻って行った。

「あ……えーっと、」

気まずそうにジャッコさんが話しかけてきた。

「お前が爆炎の勇者の弟子ってのはわかった。Dランクの依頼を受けることも良しとしよう。 だがな!! ココちゃんと話す時は近過ぎないようにな!!!」

そう言うと、ギルドから駆け足で出ていった。

話す時の距離は俺のせいじゃないんだけどな。

初対面から、距離の近い女性は苦手だなあ……。前世でも居た気がする。



時を同じくして、イスラの中でも最も大きな屋敷の客間の高級なソファーにリナルドは座っていた。


ガチャンと重そうな音一緒に、一人の男が入ってきた。


「イヤーー、待たせちゃって悪いね。急な訪問だったからさー」

禿げ上がって白髪混じりの頭に、太った感じの60代前半ほどの男が、その見た目とは違って爽やかに言いはなった。


「また! ブラスコのおやっさんよ!! 俺の動きなんて把握してたでしょうに。

ギルドで転々と依頼こなしながらきたんだからよお」

気安い感じでリナルドは答えている。

「ククク、まあね」

執事が煎れてくれた紅茶を一口含み、ゆっくり飲み下したあと

「最近弟子を取ったらしいじゃないか、今日は紹介してくれると思っていたけどね?」

「ガハハ、いやー、出来の悪い弟子なんでよ。まだおやっさんに紹介できるほどじゃねえんだよ」

「ククク、そうかい? だとしたら……先に言っておくけど、ギオルギーについてはまだなにも掴んでないんだ。 すまないね」

「いや、そんことじゃねえんだ。これからメロトニス諸国連合にはいるつもりでいるからよ。アッチについてなんか知ってる事があるならっておもってな」

「そうかい? それならあるよ! セバスチャン!」ブラスコは紅茶を入れた執事を呼んだ。

それから話し合いは、日が傾きかけるまで続いていた。


「そうだ! 情報の提供料に迷宮行ってくれないかな?」

「んだよ?! また盗賊の根城にでもなってんのかよ?」

「そうなんだよ。あそこで悪い噂立つと迷宮にはいる者が減るだろ? 結果、税収が減っちゃうんだよ

頼むよ」

「そうか。 まあちょうどいいや。そろそろアイツにも迷宮を経験させようと思ってたところだからよ。

指名でだしといてくれよ」

「了解、助かるよ」

「なーに、お互い様さ。引き続き例の件たのんだぜ」

「あいよ」


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