第23話
次の日、ギルドにワームを持ってきた。
「おはようございます」
ワームは結構デカイし、重い。
長さ4メートルほど、全体的に蛇腹になっており皮は硬い。
「ワーム2匹ぶんですね、ありがとうございます。これで安心して種まきができますよ、あとこれ旨いんですよ」
「え!? そうなんですか? 」
「ええ、しっかり中を洗って、一番外側の皮を一枚剥いでからしっかり火を通してあげれば、とてもおいしいですよ。なので討伐報酬は1000メセタになります。」
「へー」
ちょっと取っておけばよかったな。
「ノートン、今日はコボルトのほうだ」
「コボルトも一人で、ヤらせるつもりですか??」
「俺が手伝ったら修行にならねぇじゃねぇか」
「いや、そうでしょうけど……」
ノートンさんは俺のことを心配してくれている。
「いいかいアズマくん、コボルトはゴブリンよりも知能はないので、武器なども使わない、だがスピードに優れいているんだ。 常に囲まれないように戦うんですよ」
「はい、ありがとうございます」
「ちぇ! いいんだよ、余計なことは言わなくて」
「アドバイスくらい、いいじゃないですか」
俺はノートンさんにお礼を言ってからギルドをでた。
森は村から出て更に東にいったところにあった。
綺麗な小川があり、木の高さは全体的に低い。
草も繁っていて見通しが悪い。
小川の近くで昼御飯をとったあと、リナルドは村に帰っていった。
さすがにこの森の中に一人は寂しい。
人の声に聞こえる動物の鳴き声、明らかに大きい獣が動いた様な木々の揺れる音。
心細さからつい、声を出してしまう。
「たしか、小川の上流で目撃したんだったよな…」
しばらく上っていると、
バチャバチャ!!
と水の音がした。
見ると50センチほどの魚が浅瀬に入り込んで、出られなくなっていた。
「うはー、デカイ魚だ。 今日はご馳走だ」
魚を掴んで岸に上げたとき、
ガウァ!!!
狼と人間を合わせたよう獣が襲いかかってきた。
一見すると狼男だと思われるが、その身長は1メートルくらい、腕も足も細め。
なんとかかわせたが、気づいたら4匹ほどになっていた。
「囲まれないようにって、フラグだったか……」
と思もっていたら、連携もあったもんじゃな。
爪の攻撃に噛みつき攻撃、どれもスピードだけは速かった。
だがリナルドの剣ほどじゃない。
かわしつつ、すれ違いざまに切り込んでいく。
囲みを抜けた頃には、もう3匹増えていた。
「不味いなぁ 、だけど勝てないわけじゃない」
顔が狼なんで強そうだが、そうでもない。
皮は毛皮に覆われていいるが、関節部分に剣をいれるとスルリと斬れていく。
そう思いながら4匹目を片付けたとき、木の上から予想外の奇襲を受けた。
焦った俺は思わず、無詠唱で炎を使った。
ギャワン!!
顔面に炎を受け、苦しむコボルトの首を即座に斬った。
残りを片付け、討伐証明の部位を切りだそうとナイフを取り出したとき。
パチパチパチ
「いや~見事!! 神力による剣技だけじゃなく、まさか無詠唱で魔法を使えるとはよぉ? その歳でお前本当に何者だぁ??
答えによっちゃぁ、今ここで斬って棄てる」
そう言いながらリナルドは、剣を抜いた。
今までの稽古の時とは、比べ物にならないくらいのプレッシャーだ。
殺気だ、本物の。
全身が泡たつ。
「ちょっ!! ちょっと待ってください!!
何者もなにも、俺は俺ですよ。
サリーナさんにも、無詠唱で魔法を使えるのは魔族だけって聞きましたけど。
そもそも魔族を知らないのに……」
「魔族を知らんねぇ……。まあ、普通の子供で街の中で暮らしてたら知らんかもなぁ まあいいや、嘘は言ってねぇみてぇだし、話してやる。
とりあえず討伐証明部位を切り出して村に帰るぞ」
リナルドは剣を納めてくれた。
コボルトの討伐証明部位は尻尾だ。
意外にコイツら、ウ
サギみたいな尻尾がついてる。
全部取って、さっきの魚も持って帰った。
ギルドに付き、換金してもらう。
「凄い! アズマくん!! 7匹一人で狩ったんですか? コイツらの皮堅くてなかなか斬れないんですよ」
「え?? 堅くなかったですけどね……」
「ちょ!!」
ノートンさんはリナルドさんに目で合図した。
「あぁ、神力が使える。 しかも本人その事に自覚ねぇみたいだな」
「そのしんりきって確か巫女が使えるやつだよね? 俺は使った覚えがないんだけど……」
「あのですね、アズマくん。 一般的にキミくらいの年齢の子が、ワームやコボルトを斬ったり噛みついたりしたところで、傷もつかないと思いますよ」
「そうなの?」
「まあ、そうだな。ましてや、その何処にでも売ってるような剣ではむりだろうな」
「神力ってのは巫女が使える能力とされるが、巫女ってのはどうやって選ばれていると思う?」
「さあ?」
イリアが選ばれた理由なんて、まったく思いつかない。
「そう! だれもわからんのよ」
「家系とじゃないの?」
「違う。誰もが成る可能性がある、しかし誰もが成れない可能性もある、だから学者は、全ての人に神力が備わっているっていってるなぁ
備わっていたところで、使いこなせなきゃ意味ないからな」
「ちなみに、勇者って言われている人たちは皆、神力を使えますよ」
「神力の使い方は、明日からの稽古でやるとして。
まずはてめえの魔法のことからだ」
言うと、ギルド出て宿向かった。
しばらくゆっくりして、夕食をとった後に自室にて話だした。
「魔族ってのはなぁ、簡単に言うとそんな生き物は存在しない」
「えぇ!?」
「ゴブリンや、コボルト、オークやらガルートなど、基本的に人型の獣、または人に憑依した悪い精霊のことよ」
「ガルート? 精霊!??」
「あぁ、ガルートってのは北の寒い地方に住んでる、鳥と人間を合わせたような獣だ。 そう精霊って説が学者同士の間では一般的なんだよ」
「じゃあ魔法とかを司ってる精霊と同じってこと?」
「正確には同じじゃない、やつら魔族のほうが、普通の精霊より立場は上なんだよ。 だから無理やり精霊を働かせ魔法を使えるってわけだ」
「その魔族って何処からきたの?」
「さあね、ちょうどいい、北の方の国で出てるやつがいるらしいんで、会いに行こう」
「北?」
「俺のとこに来てた指名依頼、そいつの討伐なんだよ。
出発は明後日だな、寒い地方だからしっかり準備しておかにゃならんし」
「え?? 寒い地方って、どれくらいかかるの?」
「馬車で2カ月ってとこかぁ?」
「ちょ!? イリアのことは??」
「心配いらねーって、エミリアが付いてる。」
こうして、北向けて旅立つことになった。
すみません、暫くは更新に時間がかかります。
お読みいただきありがとうございます。




