第2話
「おはよう、イリア」
「おはよう、お兄ちゃん」
朝の日差しに透けて、少しごわついた髪が金色に光る
くるっとした茶色の瞳が、俺の方を見てにっこりと微笑む。
妹とはいえ、かなりかわいい方だと思うが、
髪なんて洗えるはずもなく、埃なんかでパッサパサ。
髪型なんかは、ギルドの廃棄場に棄てられてたなまくらの小刀で俺が短く切ったものだ。
ちょっとみただけじゃ、女の子に見えない。
もちろんわざとだが。
ここは剣と魔法の世界
文化レベルなんて、中世にもみたないかもしれない。
もちろん、俺も転生の記憶があるから魔法の練習なんかもやってみた。
でもできたことは、マッチ程度の火を出すことと小さい氷を出すことくらいだった。
それでも火の方は役にたってる。
火を起こすには時間かかるからな。
さて、今日は西の森の罠をみてこないとな。
2番目の罠には兎っぽいものがかかっていた。
「よかった、今日も食べられるぞ」
「2日続けてなんて、久しぶりだね」
直ぐに逆さに吊るして絞める
適度に血がでたとこで移動する。
血の臭いで、ヤバいの来たら困るからな。
森の出口付近で解体。
妹に薪を集めてもらい、早速焼き始める。
食べられるうちに食べとかないと。
保存する事もできないしな。
毛皮はギルドに持っていく。
少ないけど、買い取ってくれるからだ。
妹を家(?)に戻らせ、周りを気にして見つからないようにギルドに入る。
時間はお昼前くらい、一番空いてる時間だ。
「サリーナさん、毛皮買い取ってください」
「あらアズマ、また捕れたの?」
この人はサリーナさん、20代半ばネコ耳のギルド職員だ。
「30メセタね」
「ありがとうございます」
茶色の硬貨を30枚受けとる。
「いつも通り裏口使う?」
「はい、お願いします」
出るときも、見つからないようにする
直ぐに巻き上げにくる奴らに見つからないためだ。
家にはすぐに戻らず、森にタンス貯金にいく。
持ってたら危ないからな。
前世の記憶があっても、これくらいしか知恵がまわらないとはなんとも情けない話だ。