第13話
レビューありがとございます。
更新が不定期になることもありますが、よろしくお願いします。
今日は朝からアンドレと走っている。
「はぁ…はぁ…、なあ! アズマ!! いくら勇者が見たいって言っても、こんな朝から走らなくてもいいんじゃないの?」
「なにいってんの? 勇者だぞ!? 見逃したらいつまた見られるかわからないじゃん!
」
昨日アンドレが西の正門近くに勇者が来てるって噂を聞いてきた。
やっぱりファンタジーに勇者はつきものでしょ。
一目見たいと思ってしまった。
それで、朝から西の正門に向かって走っている。
イリアは今日は裁縫の勉強に行ってる。
サリーナさんは裁縫が出来なくて困ることが多かったらしく、
裁縫の上手な知り合いのばあちゃんにイリアのことをお願いしてくれたらしい。
サリーナさんはちゃんと俺たちのことを考えてくれている。
もっとも、お礼にプリンはしっかり要求されたけど。
「はぁ…はぁ…なに言ってんのはこっちのセリフだよ!」
アンドレは走りながら悪態ついてくる、身体能力は高い。
「この前教会でお会いしたエミリア様は、キャスティロッティ公爵の次女で聖女エミリアって言われてるんだぞ!!」
「聖女ってのは知ってたけど、へー公爵様かー」
正直、現代日本の知識があるからといって公爵って言われてもピンとこない。
「へー…、じゃないよ!! それに!!
そのお付きのシルバード様はヴァンロッソ侯爵の次男でこの国でも5指にはいるほどの剣の使い手で[雷光]って呼ばれてるんだぞ!?」
「ほー」
まあかなり強いんだろうと思ってたけどね[雷光]ですか…。
プリン作らなかったら、稲妻のごとく斬られちゃうんですね。
「ほーじゃないよ!! ってかちょっと休憩しよ……はぁ…」
立ち止まって肩で息をしてる。
「アンドレ、しゃべり過ぎ!」
あ!! そういえば聞きたいことがあったんだ。
俺も立ち止まって、アンドレに近寄って水筒の水を一口飲んでから聞いた。
「ところで、ガッリーニ家ってのも貴族なんだろ?」
「う!?」
なんだか言いにくそうにしてる。
「そうだよ、僕は、ジャンノット・ガッリーニ準男爵の三男だよ」
「なんで言わなかったの?」
「自慢できないからだよ!!、準男爵って言っても拝領してる土地は掃除屋の街だけだからね。 それに三男だし」
「三男ねぇ…どんな病気を治す薬も魔法もないんだから、アンドレが家を継ぐことになってもおかしくはないんじゃない?」
「確かにそうだけど」
「それとも、親父さんは尊敬できないダメな人?」
「そんなのことないよっ!! 先の戦争で槍の名手としてかなりの戦功を上げて準男爵の爵位をもらったんだから」
「じゃあ、自信もってればいいじゃん」
「う……うん」
「よし!! ここからは競争だ!!」
俺は言うとダッシュし始めた。
「え!? ちょっと!! 待って…ズルい!!」
アンドレが掃除屋の街を仕切ってる家の息子だってことが一番驚いたけどな。
掃除屋の街から王都メレセディアの西の正門までは10キロ近くある。
俺たちは修行がてらに走っていった。
正門に着くとそこは長い行列ができていた。
「なんだ? あの行列?」
「あ! アズマ来るの初めてか…、あれは入都審査を行ってるんだよ」
「入都審査?」
「荷物検査と簡単な質問、あと入都税の支払いかな」
「やっぱお金かかるんだ、 いくら?」
「確か、50メセタだったかな。 僕が通るときは父と一緒だから払わないでいいんだけど」
「そりゃ、そうだよな」
部下が通るのに金払えってどんなパワハラだ?
でもそれじゃあ中にはお金払わないと入れない。
「中に入らないと勇者に会えないよね?」
「う~ん、多分ね」
「じゃあ、いいや。 屋台でなんか食べよう」
「え? いいの??」
「いいもなにも、50メセタもだして中に入っても確実に会えるわけじゃないし」
そう言いながら正門近くに何軒か並んでいる屋台を覗きこむ。
串焼き屋にサンドイッチ屋に飲み物屋が並んでいた。
俺たちは、サンドイッチを手にして木陰で行列を見ながら昼食をとることにした。
串焼きは猪っぽい獣を焼いて味付けしただけのもの。
サンドイッチは野菜の酢漬けに干し肉をトウモロコシの粉を練ってから焼いたパンに挟んだもの。
どちらも炎の魔石を使ったコンロがあるんで熱々を出してくれる。
飲み物屋は水、ハーブティー、トウモロコシのお酒の3種類で魔石を使った冷蔵庫で冷やしてある。
サンドイッチを方張りながら
「魔石って便利だよな」
冷蔵庫はサリーナさんの家にもあるのだ。
そう思ってつぶやいた。
「うん、魔法がだれでもは使えないぶん魔石が普及してるからね」
アンドレがそう言ってきた。
「え!?」
素で驚いてしまった。
「え!?」
アンドレと目が合う。
「まさかアズマ………」
「えっと………実際、人が魔法使ってるの見たことないんだよね
だから、これが魔法かどうか分からないけど……」
そう言って指先にライターほどの炎をだした。
「え!? え!?!? 詠唱なし?!?」
「え!? 詠唱??」
サンドイッチが冷たくなるまで、2人して固まってしまっていた。




