第11話
少し短いです
サリーナさんの家で暮らし始めて3ヶ月が経った。
トラブルはいくつかあった。
ここにはお風呂がない、壁の中や貴族の邸宅にはあるかもしれないが、ここは掃除屋の街だ。 銭湯みたいなものもない。
体をふくだけだ。
サリーナさんも体をふく。 ワンルームな上に衝立なんかもない。
だから、イリアとサリーナさんが体を拭くときは部屋の外に出ることにした。
サリーナさんは「拭いてあげよっか」などと言ってくるが、
中身成人してるんで遠慮しといた。
読み書きを教えてもらってるときに、サリーナさんが「アズマたちってさ、どっかの国の王子様とお姫様だったりする?」って聞いてきた。
なんでも、言葉が丁寧だったり読み書き覚えが早かったり、俺にいたっては計算はできたりするからそう思ったそうだ。
確かにちょっと普通じゃないかもしれないけど、亡国の王子とかじゃない。
この国の文字は比較的覚え安かったので、その後は剣の使い方を習っていた。
イリアは読み書き覚えるのに時間かかっていたので、俺もイリアに教えたりした。
サリーナさんの剣術の教えては意外にスパルタだった。
ちゃんとした食事に毎日の剣術トレーニングで、俺の体つきはだいぶ変わってきた。
もっともサーリナさんは、食事が美味しいらしく俺たちが来てから太ったとぼやいていたが…。
薬草採りも森の出口付近のものは季節が冬ってのもあるだろうが、採りつくした感じで、最近では少し奥まで行くようになっていたし、ゴブリンも何度か倒して報酬を得たりもしていた。
武器はサリーナさんのお古を借りている。
その日は夜明け前に降った雪がうっすらと積もって、いつもと違う景色が広がっていたからか、森の奥の方まで散策していた。
「ギャギャー」
とゴブリンの声が聞こえた気がしたので注意深くその方向を確かめると、槍を持った少年が戦っていた。
かなり少年の方が押している感じみえたが、向こうからゴブリンの援軍が2匹走ってくるのが見えたので、イリアに注意するよう言ってから加勢することにした。
俺は手頃な石を走ってくるゴブリン2匹に投げ、少年とつばぜり合いをしているゴブリンの腕を切りつけた。
「おお!? ……はぁはぁ……とった!」
俺の一撃で怯んだ、ゴブリンの首を突き刺しながら少年が言った。
青い髪のなかなかのイケメンだ。
「自己紹介は後で、次来ますよ!」
「う……うん」
俺は左上から来るゴブリンの剣を腰を落としてかわし、そのままの勢いでゴブリンの首に突きを放った。首の3分の1ほどを削り取られたゴブリンは剣を落として両手で首を止血しようと押さえているところに、蹴りをいれて倒してた。
少年というか今の俺から見るとお兄さんなんだけど、なぜかまたつばぜり合いをやっている。
槍でつばぜり合い? と少し疑問に思ったけど、丁度ゴブリンを俺と彼で挟む形となったので俺はゴブリンの後ろから防具のない脚を切りつけた。
少年がとどめをさした。
「ありがとう」
あどけない笑顔でお礼をいってきた。
「とりあえずまた援軍が来たら危ないので、耳と装備品を頂いて場所を変えましょう」
と俺が言うと、
「う…うん」
とどこか頼りない返事が帰ってきた。
戦利品をとったあとに、イリアと合流した。
森の出口付近の小川の近くに腰掛け、顔を洗ったり水を飲んだりしてリフレッシュしたあと、自己紹介をした。
「俺の名前はアズマこっちがイリア、よろしくお願いします」
二人で頭を下げた。
「ちょ…ちょ、頭なんて下げないでよ、助けられたの僕なんだから。
今日初めてゴブリンと戦ってたんだ。
僕の名前はアンドレ。13歳よろしくね」
「初めてでこんな奥まで来ちゃ危ないよ」
びっくりする、余程自信があるのか何も考えてないのか……。
「え? なんで??」
どうやら
後者らしい。
「さっきみたいにゴブリンが仲間を呼びやすいし、俺たちは逃げにくいからだよ」
アンドレはちょっと考えたあと
「そうだね、キミ頭良いね!!」
「ちょっとは考えて動かないと、すぐ死んじゃうよ!?」
「じゃあ、今日から君が仲間になってよ」
アンドレは、ちょっと天然みたいだ……。
「なんでそうなるの?」
これが俺の親友、アンドレアス・ガッリーニとの出会いだった。