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第10話

祝!! 10話突破

次の日、朝から非常に寒くトーテン山脈からの吹き下ろしにのって雪がちらついていた。


イリアはだいぶ落ちついたみたいで、朝食をペロリとたいらげてまった。

旨そうにオムレツをほうばるイリアに、俺だけじゃなく尼さんたちにも十分癒しになったみたいだった。


俺はただ飯を食べるわけにもいかなかったので、仕事をさせてくださいと願いでた。


教会周りや鶏(よく見るもとちっちゃいダチョウみたいな形だった)小屋の掃除に洗濯(注意しとくけどシーツとかだぞ!?)、尼さんの横につきながらだがやれることはなんでもやった。


特に前世では居酒屋でアルバイトしてたので料理には自信があった。

かまどかと思っていたら、火の魔石を使ったコンロになっていた。

火力の調節もできて、超便利な代物だった。

お礼にプリンでも作ってあげたかったが、流石にまずそうだったのでやめておいた。


エミリア様はいつも教会にいるわけじゃなく、炊き出しの仕込みから片付けの時に

長い時間いて、後は礼拝する時に少しの時間寄る感じだそうで、昨日の朝も礼拝のために教会に来たとのことだった。 運が良かった。


「アズマくんたちはどこで生まれたの?

いつも何を食べてるの?

どうやって暮らしているの?」

軽く尋問に近かったが、エステル様と話をすることができた。

この際、ベットに横になっているイリアとエステル様の横で無表情で立っているシルバード様の視線が痛かったが…。


3日後、イリアは元気になって俺と尼さんたちの手伝いをやれるほどに回復していた。


次の日には教会を出ていくことをオリーブさんに言うと、まだいていいと言ってくれたが長くいるとこれからの生活が辛くなるのでと丁寧にお断りした。


その日の夕方、エミリア様とシルバード様がきた。


「もう出ていっちゃうの? 外は寒いわよ? 遠慮しないでいいんだよ??」

エミリア様とは少しだけど話もしたからだろうか、寂しそうに言ってくれた。


「俺達の他にも孤児はたくさんいますから、俺達を受け入れるならほかの孤児たちも受け入れなきゃならなくなるでしょうから」

といってヤンワリお断りしていた。


「短い間でしたが、お世話になりました」

俺とイリアは頭を下げて家に戻った。


「いつでもまた来ていいからね」

オリーブさんたちが見送ってくれた。


家に着くと、そこには何もなくなっていた。


かろうじて雨を防げる屋根や、寒さをしのいでいた毛皮、

ゴブリンから奪った剣、魚を捕っていた網、全部だ。

なにも残っていなかった。


「お兄ちゃん………」

イリアのかすれた声が聞こえた


俺は泣きそうになったが、そんなわけにもいかない。


「大丈夫…また始めからやり直せばいいだけだから」

イリアの手をしっかり握ると、俺に抱きついてきて声を出して泣いていた。


とりあえず明日は採取の仕事をしよう。

そう決めた俺たちは、ギルドに向かった。


ギルドの扉を開けカウンターのサリーナさんと目が合うと、彼女は電光石火の速さでカウンターを飛び越え、俺とイリアをまとめて抱きしめてきた。

もふもふの耳が頬に当たってくすぐったい。


「心配したんだからね。いつものとこは何もなくなってるし

イリアちゃんが病気したって聞いて」


「え!? 」

イリアも俺もちょっと戸惑ってしまった。


事情を説明するとサーリナさんは少し考えたあと


「うん、今日から一緒に住もう!!」


「はい!?」

何その決断。


「私は独り暮らしだし、狭いけどなんとか3人で住めるくらいの広さあるから」


「いいんですか? 襲われますよ?」

そのもふもふの耳と尻尾触ってみたい…。


「誰に?」


「えっと……」

なんにも言えねえ。


「イリアちゃんもそれでいいよね?」

サーリナさんにはイリアが妹だということは言ってある。


「…………………うん」

あれ? イリアさん、そこは即答じゃないの?


「じゃあ、今日は夕方には上がるからその頃にもう一度来て」


「わかりました」


それから、俺たちは薬草を採りに行って僅かなお金を稼いだあと、サーリナさんと家に向かった。


サーリナさんの家はギルドから近い長屋の一部屋だった。

少し広めのワンルームって感じだ。


「オッケー、ちょっとその辺に座ってて食事作るから」

サーリナさんの部屋にも教会にあったものより小さかったが、魔石を使ったコンロがあった。


しばらくも待たずにスープとパンが出てきた。


「ごめんねぇ、料理はあまり得意じゃないんだぁ」


「いえいえ、食べられればなんでもOKですよ」

スープを口に運ぶ、カブかな? 大根かな? 根菜がはいっていた。


すみません、前言撤回。

根菜は中まで火が通ってなく泥臭い、甘く辛く塩味がしない。


うん、不味い。


これは空腹という最高のスパイスで一気にいくしかないと思い、流し込んだ。


「ふう、お腹いっぱいです」


イリアも流し込んでいる。


「何もしないで住まわせてもらうのは悪いので、明日から家事とかは俺たちにやらせてください」

少なくとも、食事は俺が作ろう!!

そう心に決めて、サリーナさんイリアの3人の生活が始まったのであった。


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