白色玉 オーナ: 佐藤 哲太(5)
「んじゃあ、信じたところで、本題に入るよー」
「早いわ!もっと驚きタイムください!こっちは何が何だかわからんのだから」
「まあ、使ってみないことにはその混乱も収まらんだろう。そのために、まずはこの石の所有者つまりオーナーを父さんからお前に移行させる」
父さんは案外天然というか、人の話を聞かないというか、なんだかマイペースというのだろうかこれを。
「なんとかついていきましょう。移行のためにはどうすればいいの?」
「移行の方法は簡単だ。この宝玉を皮膚に直に触れさせることまる48時間!その後お前はこの白色玉のオーナーになり、前オーナーである私は力を失う」
「ほー簡単なんだなあ」
「だが、48時間達成されるまでは片時も肌から離すことは許されぬ」
「風呂の時も!?」
「ああ」
「寝るときも!?」
「まあ、ぶっちゃけ2日間は熟睡しないでほしいねえ」
「トイレの時も!?」
「片手あれば、事足りるでしょ」
「まあ、いいや。てか、まだ俺はこの力がほしいとは一言も言ってないんだけど」
「そう来たか。お前は案外、父さんに似て、頑固というか...いやこれは慎重だというのかね。まあ、いい。なぜお前がこの力を得なければならないかを話そう」
父さんの笑顔は一転、鋭い眼光を放った。
「父さんはある人たちにこの石を狙われている」
「!? 父さん大丈夫なの!?」
「なあに、命を狙われることはない。だが、この石だけは奪われてはいけない。だから、父さんがこの石を持ったと思わせて、私自身は行方をくらませようと思う」
「そんな!!」
頭が真っ白だ。父さんが言ってる事すべて夢のようにさえ思っていた。頭が処理できる許容をはるかにこえるサプライズのオンパレードだ。
「大丈夫だ。必ず帰ってくるから。父さんの信頼できる友の予知によれば、これが最善の策なんだ。すなわちこの力をお前が持つことがな」
「そんな....」
「息子に危ない真似はさせたくないんだが...この石を守り切らなければ...」
「プルルルル...」
そう言いかけて父さんの言葉は着信音によってさえぎられた。
「もしもし、海翔さんですか。思ったより早かったですね。予定より三日早い。後でかけなおします。」
電話をきるとさらにこわばった父さんの表情がおれに向けられた。
「これ以上はよそう」
「守り切らなければどうなるの....?」
「もうすぐ母さんが帰ってくる。母さんに、このことは秘密だ」
「ちょっと待って父さん!!」
父さんは早くも支度をし始めた。
「後のことはすべて、かめじいが話してくれるよ」
「待って!かめじいってうちで代々、飼ってるあの亀のかめじい!? 亀はしゃべんないよ!」
それを聞くと父さんはにやりと笑顔になり言った。
「白色玉が聞ける声は人間だけではないんだよ」