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白色玉 オーナ: 佐藤 哲太(4)
「あれれ?僕は夢でも見てるのかな? お父さん!もうエイプリルフールは3か月と15日前に終わってますよー」
「冗談ではない。この力は本物だよ」
父さんの顔は一点、俺の目を見つめていた。
俺はわけのわらなぬまま机の上にある卵ほどの大きさの白い石を見つめた。
「これってあの家宝の....」
「ああ。うちに代々伝わる家宝、その正体はあの伝説で語られている宝玉なのだよ。」
父は君が悪いほど淡々と説明した。書斎の古いにおいがやけに鼻を刺激する。
「そんな...本当に...?」
「まだ信じられないようなら、何度でもこの石の力を試してやろうか?おまえも宝玉の伝説は何度も聞いただろう。色によって異なる力を与えるのが宝玉だ。 この宝玉、白色玉は人の心を読むことができる力を持ち主に与える」
興奮と混乱とでわけのわからぬまま俺は不意に頭に言葉を浮かべた。
(父ちゃんのでべそー)
「でべそではなーい!!」
「まじだったーーーーーーーーー」
思わず叫んだ俺の声の振動に合わせて、書斎の戸棚は軽く響いたのだった。