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1.すべて君の為
物語の結末の多くには“幸福”が訪れる。
世界の支配を企む魔王がいたって
強大なライバルがいたって
全ステータスが理不尽なくらい飛び抜けたラスボスがいたって
あるいは
自分の気持ちに素直になれない幼なじみの美少女がいたって
世界は救われ
ライバルからは勝利を勝ち取り
ラスボスは死闘の果てに敗れ
恋愛は成就する。
そんな大団円が誂えたように用意されている。
僕の人生も、僕だけの物語だというのに
“幸福”はちらつきさえしない。
果たして、こんな人生の終わりには幸福が待ち構えているのか。
誰かが言っていた。
人生は幸せを目指す物語だと。
誰かが言っていた。
幸福は掴むものではない、見つけるものだと。
誰かが言っていた。
考えたように生きろ、でなければ生きたように考えてしまう。
誰かが言っていた。
幸福は貴方の手で人生に添える花だと。
誰もが言った。
人生はそんなにあまくはないと。




