事情
快晴の青空に暑く光を灯す太陽、ゆらゆらと白いカーテンを揺らすその隙間からそれらが見える。
病室に寝込む二人は光楽、そして青年の姿がなんとも言えないぎこちない空気を漂せていた。
空気の重さにゴクリとパイプ椅子に座る陸が喉を通す。
この状況に至る前まで巻き戻り騒動があって2日前。
光楽が爆発的に殴った青年は過剰な程に飛ばされ、骨という骨がボキボキに折れた事により全治半ヶ月の安静を医者から申し出された所存。
光楽といえば病室から抜け出した事によりナースさんからこっぴどく鬼のようにお怒りをいただき、安静にと言われたのだが光楽にとってはもう傷がない。
だからもう大丈夫ですといようとしたのだが何せ空気がダメだった。
ナースが放つ説教に凄まじさに呆気をとられ、言い訳のチャンスすら残っていなかったのだ。
そして不幸にも二人が同部屋になった訳でこの重々しい空気を誰か消してくれないかなと陸は心の内で懇願していた。
「え…えーと、私はもう済んだ話だし別にもう気にしてないよ」
意外にも鈴が最初にこの重い空気を打ち消す。
「おいそれは人が良すぎるぜ鈴、僕は殺されかけているんだから鈴自信が許せても僕はこいつを許せないよ。それに動機を追及してるのに全く答えないんだぞ」
言い終わると同時に隣のパイプベットで横になっている青年に睨み着ける。
「ひっ!」
どうやら光楽の痛恨の一撃がかなり効いたそうで光楽という存在が怯える対象になったらしい。
「ま、まぁ確かにこの人の起こした行動はあまりよろしくない行動だと思うけど、でもどんな人でも行動を起こす時には必ずしも理由があるんだよ?
私にとってこの人は何を思って悪に働いたのかは分からないけど、それを嫌がってる本人に追及するのは私達もこの人と同等に悪になっちゃうと思うの。そう思わないこうちゃん?」
「て、天使だ……」
青年が呟くと光楽ははぁとため息を吐く。
まるで親が道端で捨て犬を拾うような瞬間を見せられてはもはや言葉がない。
「……確かに鈴の言う通りだよ」
ふてぶてしい表情になるもこれ以上の追及する気はもう失せていた。
「あー、なんか君達の姿は神々しく見えてきました。
1度は敗北により死を覚悟しましたがこうして救われた身です。どうかアニキ、アネキと呼ばせてください!」
「う、うーん……それはちょっと嫌かな?」
これについては少し鈴は引いた。
だがもう決定なようでブツブツと唱えている。
「あのさ水を指すようで悪いんだけど結局の所お前らのあの力って何なの?」
「まぁ確かにそれだけは教えて貰わないとな、なにせ俺達は力を知っちまったんだから知る権利がある。
あんな力身近にあるだけで危険なんだよ」
青年は少し考えて良いとみなしたのか決意した表情で言う。
「そうですね……うーん僕が直接口で言うよりネットを見たほうが効率的です。アニキの部屋にPCは置いてありますか?」
「お前をアニキ呼ばわれされる筋合いはねぇよ……まぁPCぐらいは家にあるが」
「じゃあ明日上がらせてください、その時に説明します。」