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初めて

「おいお前、鈴から離れろよ」

「そうですね、君が来たからにはもうこの子は必要ないし良いですよお好きなように。その代わり自分で手錠をとってあげてください」


ニタニタと嫌な笑みをみせつける青年は、いつでもと言わんばかりにポケットに手を入れていた。

恐らくあのポケットにはたくさんの小石が詰まっているんだろうと経験積みな光楽はそう思う。


「陸、僕が先にあいつをけしかけるからその間に鈴を頼む、絶対にこっちに交わるなよ」

「そんなに危険なのかあいつ、見た所ただヒョロイ優男しか見えないんだが」

「お前も見たんだろ、僕のすごい重傷な姿を」

「まぁ見たけどさ、それでも」

「今に分かるさ、あいつがどんな危険人物なのかが」


じとりと頬に1滴の汗が流れる。

目の前にいる青年は躊躇なく襲ってきたことを思い出し無意識に言葉を吐く。


「あいつはもう人間の域を越えてる」


ゴクリと喉を鳴らす音が隣にいる陸から聞こえた。


「どうしたんです? 来ないなら来ないで暇ですし退屈しのぎにこの子でも痛め付けてしまいましょうか?」


プチッと光楽のこめかみに血管が浮かび上がる。

気がつけば俺は青年の立つ位置に全速力で駆け出していた。


クハッと前から笑い声が聞こえてくるがそれは青年の笑い声だろう。


ゴソゴソと青年はポケットから1つの小石を取りだし投げる。

一直線に進み空気抵抗を無力化に切り裂き、歪みも見せずに飛びかかるその小石を光楽はギリギリの所で避けた。


小石はまるで猪のように獲物にぶつからないと止まらない、そんな感じに黙々と突き進みやがて柱にぶつかるとキギギギーッと耳障りな音を鳴らす。


「なっ…!」


陸は驚愕に表情を見せる。

柱に穴を開けたのだ。

貫通とまでは行かなかったものの真ん中ぐらいまでは突き進み、穴の回りにはたくさんの亀裂が走っていた。


「嘘だろ……」


そんな声が後ろから聞こえた。

鈴は開いた穴を見てはあり得ないという唖然な表情作り光楽は顔を歪ます。


「陸!」


ビクッと陸は背筋を伸ばす。

光楽は走り続けているが、その背中を見て陸は頷く。


「早く鈴の元へ、か。分かってるよ」


せっせと二人の距離を遠回りしながら鈴の元へ掛け走る陸。

幸い青年は陸の姿に眼中になくスムーズに行けた。


「大丈夫か、鈴!」

「りっ君……」

「今手錠を外してやるからな」


とは言ったものの素手でなんとかなるやわものでもないし、捕まると言ったら普通縄だろと内心思うが思った所で状況もが変わる訳でもない。


とそこで丁度陸は手の平サイズ石を見つけた。


「……これで壊れるものか? でも他に方法がないしこれでやるしかないな」

「ね…りっ君」

「なんだ、もうちょっと待っててくれ今これで」


そこでポタポタと地面が濡れていることが陸の目に映る。

紛れもない鈴の涙だと気づいた時、陸は無意識に鈴の身体を包むように抱いていた。


「怖かったよな、大丈夫大丈夫。俺達が来たからには鈴に指一本も触れさせないから」

「ありがとう。でも違うんだよりっ君、この涙はそう意味じゃない」


怖さで涙を流した事を否定する鈴の姿を見て陸はまたまたーと言葉を掛けるが反発するように鈴は話を続ける。


「確かに怖かったんだけどそれはこうちゃん達が助けに来てくれて凄く安心感に包まれたのは事実であって、でもそれで涙を流したって訳でもなく、更に言うとこうちゃんが傷ついた身体が綺麗になっている動揺で涙を流した訳でもないんだよ。……ごめんなに言っているんだろ私」

「うん?」

「ただ私は嬉しいんだよ。だって見てこうちゃんの表情を」


言われ陸は必死に石つぶてを避けている光景が見える。

険しい表情を作り怒っている光楽。

人と言える感情を表している光楽の姿が。


「ああ……」


陸は呆れ笑みになりフンと鼻を鳴らした。


「初めて見た私、こうちゃんがあんなに怒ってる表情をしてるの、しかも私のために怒ってくれてるんだと思うと嬉しいんだよ。私おかしいかな?」

「別におかしくなんかないと思うが」


この状況でよくそんな思いを抱けるなとは伏せておいた。

しかしそんなことより、このままいけば避けてばかりの光楽はやられてしまうんじゃないかと不安が過る。


「光楽……」


勝てと言う気持ちを込めて呻くように呟いた陸だが、どうやらその願いほど遠いいらしい。


「よく避ける……君はなかなか動体視力が優れてますね、じゃあ次はこうしましょうか!」


手に持っていた1つの小石を宙で離す。

そのまま重力に従って落下するところで赤いパーカーをきた青年はサッカーボールを蹴るかのように大きく脚を振りかぶり小石を蹴った。


パコーンと蹴った瞬間に響く。

まるで弾丸のように鋭く走り、光楽の右腕を貫いた。


「しってます?脚って腕の2.3倍のパワーがあるらしんですよ、スピードも重ねてね」


その威力に何故小石は粉砕しないのか謎に包まれながら、ましてや腕に貫通する威力を持ちながら何故蹴った本人の足には傷1つ着かないのか光楽にはわからない。


「っ……!」


痛さで呻き、顔を俯かせる光楽にはもういっぱいいっぱいだった。


「痛って……なんなんだよ本当によ。あり得ないだろ石が身体を貫くなんて」


青年はその言葉を欺くかのようにニヤっと笑みを見せるが次の瞬間にその笑みは一変にして代わり驚愕な表情へと変わる。


そりゃそうだ。

今さっき腕につけられた傷はもうどこにもないんだから。


あるのは綺麗に元に戻った素肌だけ、それでも傷口から溢れた血は消えないが。

痛みも当然のように消えている。


「きみ……傷は?」

「治った」

「……はぁ?」


そのあとの言葉は詰まったがつかの間に、ああと納得した感じに声を出した。


「それが君の能力ですか、意外に大胆でまか不思議能力だ。でも」


回復の力を目にしても青年は揺るがない。

それどころか目の前で宝石でも見つけたかのように目を輝かして言う。


「そんな力じゃあ僕との相性が悪いですよね!」


必須的に回復しても攻撃されれば傷が出来る。

更に貫かれた痛みが無くなるということもなくむしろ傷が癒えることで無限に攻撃されることで火に(あぶ)らされているような感覚を味わうだろう。


それは光楽も知ってること。

ここに来たからにはそんな覚悟もしていた。

だから。


「ああ全く分かってるよ、痛いし痛いしでもう嫌だよ、でもなこんな痛みや苦しみ手錠で監禁されてた鈴と比べれば全然何だよ……お前、なんで鈴を巻き込んだ? 答えろよ!」


「それは君も知ってるように君を誘き出すためですよ」


「まぁそんな所だろうよ、でもだからってお前は鈴を巻き込んだのか? もしそれ以外の理由もなくその本当の答えだけで鈴を巻き込んだんなら僕は絶対にお前を許さない、痛め付けてから鈴に謝ってもらう」


言うと光楽はゆっくりと足を前に運ぶ。

静かに光楽の回りだけが音が無になる。


「口だけでしたらなんとも言えます」


光楽の言葉を聞いて少し怒りを覚えた青年でだった。








4話目終わりました。

展開についていけない人がいたらすみません!

自分でもなんか展開早くね? とかぶちゃけ思ってます。

それでも完まで読み終えてくれると嬉しいです!

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