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価値を知るもの  作者: 勇寛
祭りが、はじまる
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第81話 古天地未剖、【ANCIENT MYTHOLOGY】

誤字・脱字ご容赦下さい。


 ああ、と思ってしまった。


 目の前一面に煌々と月が輝き、星々がきらきらと光を放っていた。

 今までのどんな時のものよりも明るく、それでいて澄んだ夜空が広がっている。


 どうっと地面に背中がぶつかった音がする。

 吹き飛ばされた瞬間に悟ったのだ。

 

 ああ、負けたなぁと。


 地面を背が削る。

 しかし、もう起き上がる気力がなかった。

 まだまだ続けることはできる。

 すぐに起き上ってそのままの勢いでぶつかっていっても誰も止めはしないだろう。

 何せ体は動き、相手に向かっていくことができる状態なのだから。


 だが、自分は負けたのだ。


 それはしっかり感じた。

 心が負けと叫んでいる以上、続けられない。

 むくりと上半身を起こす。

 視線の先には、顔面を押さえながらもしっかりと二本の足で立つ"奴"がいた。


 ああ、あいつに負けた。

 そう思った。





 ちゅんちゅんと小鳥が鳴いている。

 日はすでに昇り、昼とは言わないまでもすでに早朝と言える時間帯は過ぎている。

 風になびくのは真っ白なシーツや毛布類。

 宿の裏手にあるスペースには宿泊者の使ったシーツを干すためのスペースがある。

 朝のチェックアウトというか寝ぼけ眼の冒険者どもの叩き出しを行った後に、簡単ではあるが清掃をする。

 晴れていればこうやって洗濯を行ったり、日干ししてみたり等も行われることになるわけだ。


「わうっ!」


 ふんすと鼻息荒く一面にたなびくそれらを見やり、ポポは足場にしていたシメジからぴょんと飛び降りる。

 彼らの今日のお仕事はこの日干しを行うことだった。

 器用に洗濯物を詰めていた籠を自身の笠の上に乗っけると、シメジはぴょんぴょんと宿に戻っていく。

 ポポは愛用の棍棒を孝和に作ってもらった布団叩きに持ち替え、洗い立てのシーツ以外の毛布類をぱんぱんと叩きはじめる。

 結構、この作業に関して言えばポポは好きな部類だったりする。


「~~♪~~♪」


 特に歌詞もないのだが、鼻歌を振りまきながら作業を続けていた。

 一通り庭中の毛布をはたき終え、さてこれから何しようかと考えていた瞬間に気付く。


「くぅ?」


 庭の奥の日陰になっているところ。

 あまり日が当たらず、たまにシメジがぼけーっとそこにたたずんでいることが多い場所にいる"それ"に。


「む、ポポか」

「わうわう、わぅ?」


 言葉にすると"なにしてんの?"となる。

 胡坐をかき、組んだ足に肘を立てて頬杖を突いたエメスが、顔を上げる。

 先程までじっとただ一点を見つめていた自分の考えを漏らす。


「夜の一件について、考えていた。あれで、よかったのか、と」

「ぐるるっ……」


 布団叩きを掴んだままポポも腕組みする。

 唸り声を上げたのは"なるほど、その件でか"という意味である。


「結果は、出た。それが全てであるが……」


 再び頬杖を突き、思案に暮れる。

 実際のところ、ポポやシメジが洗濯を始めようと準備するよりも更に前からエメスはここで悩んでいた。

 つまりは、夜のあの試合が終わってから、ずっとだ。


「それを飲み込めるほど、我は強くないということだろう……」


 頬杖と逆の手を目の前にかざす。

 木漏れ日に深い蒼色の腕が光を反射させる。

 ただし、そこには昨日までなかった濃紺の筋が走っている。

 それを見ながらゆっくりとエメスは力なく拳を握りしめた。





「で、何でここに来たんです?飯は神殿でフレッドに作ってもらった方が、うまいんじゃないかと思いますよ?」


 苦笑いしながらひくひくと痙攣しそうな頬を抑え込む孝和。

 その前に座るのは神殿関係の皆々様。

 アリア、フレッド、ミコン、槍使いの男、メイス使いの女、老戦士、オロ、そしてディアローゼに御付きが数人。

 分かり易く言えば勇者パーティーとアリア、神殿のお偉方連中である。


「いやのぉ、キールの坊に会いに行こうと思うたんじゃが、道を知らんもんでの。知っとる奴に聞いて回ったらこうなったっちゅう訳じゃな」


 オロはひゃひゃひゃと笑いながら、まだ昼前だというのに干し肉を齧りながら葡萄酒をくぴくぴ飲んでいる。

 かなりの老齢であるが旅をしている分健康には問題なさそうで、もうすぐ一瓶を空にしようというのに顔を赤らめる素振りすら見えない。

 神殿関係者の中では変わり者の神官だという認識が強いのであるが、どうも結構な重鎮らしいのだ、この酔いどれの爺は。

 まあ伊達に年を食っていないということである。

 そのオロの酒杯のあるテーブルの上には、件のキールがちょこんと乗っかっており、ハーブと花弁に細かく刻んだ植物の欠片が浮かんだ水を、木の椀に注いでもらい、同じくくぴくぴとやっている。


『くはぁぁっ!おいしいっ!』

「そうじゃろそうじゃろ。あまりみつからん薬木の種を割って柔らかい芯を浮かべとる。まんまで食うても、焼いてみてもイケるがの。坊はこういうのが好きというし。まあ、飲め飲め」

『じーちゃん、ありがとー!』

 

 こちらの世界に来て初めて見るデキャンターでキールの器に更に水を注ぐ。

 透き通るガラス製のそれは間違いなく地球と違い、けた違いに高価なはずで、ちょこまかとキールが動くたびに孝和は気が気でなかった。

 それに言わせてもらえば、たしかキールの今日のお仕事は店の前で呼び込みをすることだったはずなのに、外であった彼らと一緒に戻ってきたのである。

 まあ、客を連れてきたという意味では呼び込みは成功だ。

 ただその後に自主的な休憩になっているのである。

 思うのだ、働けよ、と。


「今回の騒動はあれで完全に終わらせることができたし、色々ありがとうっていうのも言っておかないとね?」

「いえ、ただ単にディア様は抜け出す口実が欲しかっただけでしょう。ここにいるみんなが解っていますよ」


 キールとオロに内心突っ込みを入ていた孝和にディアローゼが話しかける。

 ほんわかとそういうディアローゼに、アリアが冷水をぶっかけるように暴露して場を冷やす。

 ただ、それを見てコロコロとディアが笑う。


「フレッド君、フレッド君。アリアちゃんが冷たいわ、私悲しいぃ」

「アリア、ディア様にも安らぎを得る時間は有ってしかるべきだと僕は思うよ。こういう市井の生活の中で一息つく瞬間。そういう癒しを必要とされているのならば、最大限努力するのが部下の役目だと思うが?」


 よよ、と笑いながらフレッドによりかかる彼女を抱きとめ、間髪入れずにフレッドが反論する。

 ただその表情に喜びを隠しきれないのを見て取ると、流石にアリアも苛立ちが募る。


「皆から働いて下さいと言われる前に逃げたくなったんでしょう!昨日の件で騒ぎが収まったのは事実でも、それ以外にどれだけの残務が増えた事かっ!」

「え?マジで?」


 孝和は初耳でその情報を聞いた。

 確か夜に会った時はある程度采配がおわったわぁ、という感じで話していなかっただろうか。


「増えたの、増えたのよ。すんごい量がね」


 ははは、と笑うアリア。

 ただしその目からハイライトが消えかけている。

 救いを求めるがごとく、オロの前で水に浮かぶハーブなどをもしゃもしゃとしているキールを抱き上げる。

 いつもの定位置である胸元に抱き寄せると、すうとその香りを嗅ぐ。

 キールはハーブとか花とかそういうものをご飯にしているもので、言い方は悪いがすごいいい感じのアロマみたいなときがある。

 パンとか果物とかも食べたりするときはそうでもないのだが、ハーブ水とかだった場合には非常に落ち着く香りを放つのだ。

 体組織が恐らく水分が多い関係なのだろうが、つくづく不思議な生き物であった。

 ちなみにそういったハーブ類は近くの店からもらったり、キール本人がどこかから採取してきている。

 コスパも非常に良い。


『アリアさん、たいへんだねー。みんなおしごと、おーいそがしなんだ!』

「そう、大忙しなの」


 ぷよぷよとキールをつまんだりして、若干の精神安定を図りながら顔を上げる。

 先程までよりほんの少し瞳に輝きが戻っているだろうか。


「あんなに大々的に神々に申し立てて、奉じて、締めてみたりしたら神殿が動かない訳に行かないでしょう?いま、あの辺りにどれだけ人が集まっていると思う」

「……その言い方だと、とんでもない感じになってる?」


 こくりと頷くアリア。

 周りの人々もそれに苦笑を浮かべている。

 どうも説明は完璧にアリアに任せるつもりのようだ。


「あなたのあの裁定、見に行った神殿の中でも結構意見が分かれててね?ものすごい熱量で討論してる人もいるわよ」

「まあ、そうでしょうなぁ。ありゃあ、街んなかでああいうの好きな奴は結構ざわついてますね」


 ことりとアリア達のテーブルにスープ皿が置かれる。

 ベースはこの店発祥扱いになっているスイトンスープだが、昨日までと違いごった煮風から、肉・野菜の量も計算されているタイプの販売用にアレンジされている。

 皿を配膳するダッチが手際よく最初の前菜を片しながらそう話す。


「マジですか?」

「おうよ、結構色んなとこで話題にはなってるみたいだぜ。仕入れ先の奴らがそう言ってたしな」

「俺には聞かれてないんですけど?」

「そりゃ、お前。神さんの前でケリつけた決着にアヤ付ける奴はいないさ。なんせ、お墨付きを貰ったんだろうに、あいつら」


 ふとその時の光景を思い浮かべる。

 確かにあの決着を言い放った時に、それで良し、とばかりにあいつ等が"お墨付き"を貰っていた。


「そうよぉ。天に地に海にそれ以外の全てに坐給う神々の裁定を下したのに、それに文句言う度胸があれば、私がすぐにお話しに参上仕ってさしあげちゃったりしてもよろしくてよぉ」


 うふふふ、と笑うディアローゼ。

 この神様がマジに実生活に深く影響する世界において、神様に目をつけられるのはなかなか怖いものがある。

 クソッタレ、と文句を言って理不尽な天罰を食らわないと断言できない。

 ここはそういう世界なのである。


「まあ、俺はあの裁定でいいと思うんですよね」


 孝和はふむ、と腕組みする。


「どうしてだい?」


 尋ねるフレッド。

 それに孝和は迷いなく答えた。


「だって、あれが一番滾るだろ。二人が、さ?」






 さて、少し時間を遡る。

 空に浮かぶ月が煌々と地を照らし、その反射で少しの湿気でぬれた草地も輝く。

 最後の一撃。

 両者が渾身の力を込めた刹那を以て、勝負は決した。


「双方、そこまでッ!これにて、決着とさせていただくッ!!異論有るならば、直ちに抗弁を!」


 孝和が決着を告げる。

 だが、これはどうなのだろうか。


「ぐむ、ぅぅ……」


 地面に派手に跳ね飛ばされたエメス。

 振りぬいた拳をそのままに苦悶の表情を浮かべるオーガ。

 遠目では弾き飛ばされたエメスが負けと映るだろう。

 しかしながら近くで見ているフレッドやアリア、少し距離はあるがディアローゼやミコンも気づいている。

 オーガの拳が砕けていることにだ。

 ひしゃげ、砕けた拳からは白い骨が覗く。

 完全に開放骨折をしているそれはどう見ても、再度振りぬくことが可能な状態ではない。

 ゆっくりと起き上がるエメスは青天井をかまされたわけではあるが、以前戦闘の継続には全く支障なく動けるだろう。


「各々意見も有ろうが、本試合に於いて采配を任ぜられた我が権限により此度の決着とする!」


 場が静まる。

 雲を運んでいた風の音、ぱちぱちと爆ぜた音を立てるたき火の音、虫の声、人の動く衣擦れのかすかな音さえもが、消える。


「勝者、在らずッ!!!本試合に於ける武の、剛の優劣は無しと!引き分けと致したい!!如何や!!?」


 どっ、とざわめきが広がる。

 「何故だ」「ゴーレムの勝ちだ」「何を言う、オーガが最後に立っていただろう」「そうではない、実際続ければゴーレムが」「それ以前になぜ引き分けに」


 ざわざわと、広がる困惑の声。

 それを受けても孝和は全く動じた様子はない。

 それどころか、うっすらとした笑みが浮かんでいるのを隣に立つアリアが見つける。


「タカカズ?」

「再度、お尋ねする!!如何や!?神々よッ!!!」


 ざわめきが消える。

 全員が気付いたのだ。

 "これ"は我々ではなく神々に尋ねている。

 勝負の裁定の如何を、何と"神々に"問うているのだ。

 それに人である自分たちが異を唱えるのならば覚悟が必要だ。

 相応の力と理と信仰を賭けての覚悟が。


(見てただろ、少なくとも戦神と力の神様は。それにこういうの好きな神様って結構いるんじゃあないか?)


 若干の間。

 しかし、それに焦れる孝和たちに向かい、月明かりがぽぅと落ちる。

 昼に雨上がりの雲間から指す光の線、所謂"天国の階段"というあれに似た月の光が、エメスとオーガを包む。

 何らかの意思が介在するその現象に人々は息を飲むしかない。

 間違いなく、これは"神々が答えた結果"であるからだ。


「グ、ァァ?」


 柔らかな光を浴びたオーガの拳が見る見る間に癒えていく。

 ぱきぱきと音を立てながら甲を破っていた骨が見えなくなり、今までは無かったはずのくっきりとした紋様が浮かび上がる。

 綺麗な対称形のそれ。

 盾を象る紋様に3本の爪を立てて引き裂いたような意匠のタトゥーじみたそれをアリアが凝視している。


「蛮勇のトライバル……。認められた?」


 少しの困惑を含んだアリアの呟き。

 苦笑いに近いフレッドの笑みを横目に、事態の推移を見守る。

 未だ、月光は両者を照らしている。


「何だ、これは?」


 こちらはゆっくりと起き上がるエメス。

 右腕の肩から肘までをエメスの蒼の本体色よりもより濃い紺色が紋様として浮かび上がる。

 オーガと同じく、だがその意匠は波涛を思い起こさせるものであった。

 中心に火を表しているだろうデザインに、周りの波を模した筋が囲むようにして描かれている。


「むう……」


 さすがに自分の肌に急にあらわれるそれに、どこか気持ち悪さを感じる。

 だが、本人の感情とは別に浮かび上がった紋様はきれいにエメスの右腕に蒸着してしまう。


「あれは船守のトライバルだろうな。これもそういうことなんだろう」


 フレッドが孝和の横で独白する。

 孝和は分からないが、どうも神殿関係者ならわかるレベルの何かが起きているようである。

 つまり、両方共が神様連中の御眼鏡にかなったということであろう、と孝和は判断した。


(なんか思った以上にすごい評価されてるし。結構皆、ミーハーなのかなぁ?)


「有難く。エメス、並びにオーガ"スクネ"の両勝者・両敗者に最後に拍手を!!それを以て、此度の試合の終幕と致します!!!」


 双方に対し、拍手を求める。

 少し戸惑いが混ざりながら、ぱちぱちと拍手が鳴り始め、その音が大きくなっていく。

 最後には、全員が隣りの者と今回の試合を語り合いながら万雷の祝砲と変わる。


「今回、我々と共に最後までご覧頂いた皆々様、有難うございました!!!」


 最後に孝和がカーテンコールの役者然とした大仰な挨拶を行う。

 深々と頭を下げる。

 いつの間にか拍手の間に孝和の横に来ていた、水玉と白と黒の丸っこい連中もぺこりと挨拶している。

 フレッドとアリアに関しては自らの剣や杖を掲げ、それに彩りを加えてくれた。

 彼らに目掛け打たれる両の手の音は、なかなか鳴りやむことがなく、再度感謝を述べ、その場を辞去することとなったのであった。





「うん、結構思い返してみると恥ずかしい……」


 やった後にうわぁ、と頬が赤くなるパターンのやつであった。

 ある方面の人々はそれを"黒歴史"とも呼ぶのであるが。


「でも、よかったわぁ。ああいうのは中途半端にやると逆にどうしようもなくつまらなくなるから」

「わからんでもないですがね」


 空回りしたイベントほどさみしいものは無いものだ。

 あれはあれで正解だったのだろう。


「ところで、あのスクネって名前はどっから来てるの?キールくんはしらなーいっていってたわよ?」

「おお、ワシも聞きたいの。あの場所で声高々と名付けるなど、何ぞ由来もあろうて。というか適当な意味じゃとお主、エエ事ないぞぃ?」


 神殿関係の重鎮2名から聞かれる。

 困ったことに、ただの酒飲みのジジイと何でも首を突っ込むのが好きな女上司ではないのだ。

 あんな場で適当な名付けでもしようものなら、確実に天罰覿面であろう。


「ああ、こっちもオーガオーガ言ってる訳にもいかないなぁと思ってたので。種族名で呼称するのは違和感がありますし。元は俺の知ってる闘士の名前ですよ。霞むほど古く、たどり着けないほど遙か彼方の、ね」

「ふぅん?結構私、古典や神話には詳しいのだけど、知らないわぁ」

「ワシも知らんの。まあ、そんなおかしな由来ではないのじゃろ?」

「ええ、ああいった試合をした戦士が名乗るのに、これ以上ないってくらいいい名前を選んだつもりですよ。皆さんが知らないってことは、マイナー扱いになっちゃいますかね?」

「いえ、大丈夫よぉ。有名無名が大切なのではないから。あなたがそういう意図を込めているのであれば、何一つ恥じることなく、あの子はスクネと名乗るべきだわぁ」

「そうじゃの。先達の勇士が元であるのなら、それは良い名であろう。うむ、そこだけは気になっておったのでな、すっきりしたぞい」


 仕方ないことではある。

 ぶっちゃけると地球発祥の神話とか伝記物は、ビリオンクラスで信仰されていようが、読まれていようが、全部この異世界では認知度が孝和の1票のみの超ド級にマイナーな物語となってしまう。

 しかしこの世界で一番最初に、"地球の武術"をベースに戦いを行ったのだから、この名前がいいと思ったのである。

 それを分かってくれる人がいないのは、少し寂しいものは有るには有るが。


「相撲とかわかんねぇだろうしなぁ……」

「なぁに?」

「いえ、なんでもないです」


 少し寂しさを感じてしまい、ぼそっと声が漏れたようである。

 ディアローゼの突っ込みを躱すと、にこりと笑ってごまかす。


「まあ、飯食いに来たんですし、食べてってください。次の皿ももうすぐ仕上がると思いますので」


 他の料理人に任せたハンバーグの焼けるにおいが少しだけ漂う。

 難しいことは後にすればいい。

 しがない料理人風情、自分の仕事をするしかないのだから。

 ディアローゼ達に背を向けると、自分の職場へと孝和は戻っていくのであった。


これを書いてて思い出す。サガ●ロの三種の神器好きだったなー。


以下 蛇足につき読み飛ばしても可。


エメスに光当ててる神様たち

→A「俺が祝福を」B「いやいや私が」C「何をおっしゃいますやら……」※そのほか多数

がやがやする(中略)→海の神サマ「いや、俺んとこに貰う筈のやつだぜ、アレ。そしたら俺の一門が祈ってやるんが筋じゃね?」→神サマ多数「……くそぅっ!」


スクネに光当ててる神様たち

→大体エメスとおんなじ流れ→決まらず、がやがやする→エメスにあぶれた神サマ合流→さらにがやがや→力の神・戦神が最初に呼ばれたので「こっちの顔立ててよ。一人くらいは祝福しないと」→神サマたち「仕方ないか、ちぇっ」→力と戦に関係するのと、スクネと相性のよさそうな神サマが選出。


 という製作側脳内設定でした。



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