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価値を知るもの  作者: 勇寛
それこそが日常
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第49話 さあ、荷を降ろそう【BREAK TIME】

誤字脱字ご容赦ください。

 孝和はぺたぺたサンダルを鳴らしながら馬車に向け、歩みを進めていた。

 その後ろにエメスが続き、おっかなびっくりとでも言わんばかりの表情でそれ以外の一団が続いている。そんな微妙な空気が続く中、目的地に戻ってきたこともあり立ちどまる。

 はあ、と生温かな息を吐き出し、孝和は振り返った。


「あの、みなさん?」

「何だね?」


 杖を突ながらゆっくりとした足取りのコーン。寄り添う妻エリステリアに姪のアリア。その後に続く武装した男たちと言う光景である。

 映画で見たどこぞのイタリアンマフィア一族を髣髴とさせる。


「何故に俺が先頭なんでしょうか?と言うか、馬車がどこにもないんですが?」


 元の場所に戻ってきた孝和の前には、先程まで忙しなく荷を積んでいた男たちの姿も、荷を積まれた馬車もない。


「ああ、荷を積んだのなら軽く動かしてみているはずだ。なにせ急な話だったからね。荷崩れするのは危ない」

「そういうわけで、今イゼルナ姉が皆と慣らしに出てるわ。敷地内で動かしてるから外にいるはずよ」

「そうですか。あれ?俺の荷物?」


 孝和は馬車のあった場所のすぐそばに、自分の荷物一式が置かれているのに気づく。

 宿に簡単ではあるがまとめておいたものと、昨晩軍基地に侵入する際に預けておいたものである。


「なにせ急ぎの出立になるからね。こっちで回収させてもらったよ」

「ありがとうございます。あ、でも俺、実はまだ用事が済んでないんですけど?」


 ごたごたで忘れるところだったが、このポート・デイにはるばるやってきたのは、食材調達にギャバンとの意見交換ができれば良いなと思ってのことだ。

 すっかり出立に向け準備を進められてはいるが、実際問題ここまで来た目的が一切達せられていないことに今更ながら戦慄する。

 まさに無駄足。ガッカリ極まりない結果なのであった。


「ふふふ。安心したまえ。お嬢からそこらへんの事情は聞いているよ。キャラバン内の顔見知りに鮮度の良い物を優先的に融通してもらえるように話はしてあるから、道中ゆっくりと選ぶいいさ。私の名前で納品後支払いにしたから金額は向こうで支払ってくれたまえ」

「す、すんません。お手数かけまして……」

「いやいや、こういった交渉事は今も昔も得意だからねぇ。たいしたことじゃないさ」

「ホントのトコはもう少し自重して、下のモンに仕事を回してくれるとこっちは助かるんですがね?」

「ククチ……。これこそが今の私の楽しみなんだよ?弁舌によって探りあい、煙に巻き、場合によってはあえて討たれる覚悟を持って交渉に挑む。先日に勝てなかった相手を打ち負かすため知識を蓄え、策を巡らす。剣を振るには不自由な身に残される最後の戦いの場だ。これだけは譲れんよ」


 お手上げとばかりに肩をすくめるククチ。横には口では負けてしまうことがわかっているのだろうエーイが苦笑いを浮かべている。

 この分ではコーンはかなり重度のワーカーホリックだ。

 ただ、本人としてはそれを十二分に楽しみ、且つ文句のないほどの業績が上げれているのは事実。

 孝和の持論ではあるが、政治家という生き物は、善人だろうが悪人だろうが世襲だろうが成り上がりだろうが、“有能でありさえすれば”後はどうでもいい。

 最悪且つクソにも劣るのはコネと血筋で世襲する“無能”だけである。

 出来た上司に有能な部下。

 コーンの生きがいと仕事が一致する環境に、羨ましさを覚える孝和だった。





「あ、キール!タカカズ!!」


 建物から外に出ると少し翳り始めたとはいえ、日の光が目に痛い。

 逆光になった側から声を掛けられたが、瞬間誰かはわからなかった。


『あ、カナちゃんだ』


 眼球というもののないキールはそうでもなかったようである。瞬時に声の主がカナエと判別した。

 徐々に慣れてきた目を薄く開けると、そこには確かにカナエの姿がある。御者台に座る彼女の横に居るのはユノであろうし、馬の轡を掴む男にも見覚えがあった。


「あれって、たしか盗賊の男じゃないか?」


 最後に見た血の染みた薄汚れた服装ではなく、旅装になってはいるがたしかアルフと呼ばれていた男のはずだ。

 馬を立ち木に括り、荷台に乗り込み、茶の詰めた木箱をしっかりとロープで括りつける男。おそらく、“本業”で培われた技術だろう。一切のよどみなく荷台に整然と荷を固定していく過程に全く無駄がない。

それはともかく、間違いない。その男は盗賊アルフであった。


「彼は、行商人のアルフ君だ」

「はぃい?」


 後ろから掛けられた声に素っ頓狂な声が出たのは仕方ないことだろう。

 二本指につままれているのはギルドカード3枚。色は赤1・黄色が2枚。

「もっとも、今日から行商人となったのだがね」

「ええと……要は偽造証明書?」

「いやいや、商業ギルドの支部長に“私が”依頼したものではあるが、間違いなくオフィシャルだよ。もちろん彼女たちの2枚も冒険者ギルド長代行の私が発行するように言った。正規の手段にのっとって作られたものだから何一つ問題は無い」


(うわぁ……。権力バンザイって感じだ)


「まあ、道中そのあたりも聞いてくれたまえ。時間はあるからね。……色々トラブルもあったのでね。急がねばならないのはそこら辺も関係しているのさ」

「トラブルですか?」

「悲しいことに、この街で起きた全てを掌握できる者は誰も居ないのだよ。かなり情報が錯綜した上に虚実あわせて報告が上がってくる。軍も、ギルド関連も、裏の連中も同じような状況だろうさ」







「……で、この状況か」


 キャンプ設営中のキャラバンに合流した孝和は、背負った自分の荷を地面に降ろすと、手に持った薄い紙を見る。

 後で合流したということもあり、孝和たちのパーティに与えられた場所は後方になっている。キャラバン本体からは大分離れていた。

 移動予定も最後であるが、それでも配慮はしてくれたのだろう。完全なドンケツというわけでなく、若干中央部に近いあたりを割り当てられている。


「まあ、まだ良い所押さえてもらった感じなんだけど」

『そーなんだ?』

「実言うとな、今ちょっと本調子じゃないんだよ。疲れが抜けてない感じするからなぁ。ぶっちゃけ、寝足りない」

「私も少し眠いかなぁ……?正直、昨日一日ってハードだったわ……」

「ははは……。それなのにこれから遠征だぜ。気が遠くなりそうだ……」

『ごくろーさまですっ!!』


 少しでも体を休めようと地面に腰を降ろした孝和とアリアとは違い、一人元気なキールはエメスの頭の上で大変上機嫌である。

 そんなエメスはキャラバンの連中からの視線を一心に集める結果を生んでいた。

 何せデカイ。

 かなり外れているはずの先頭の集まりからも、か細くではあるがこちらに向かい何かを叫ぶ声が聞こえてくる始末である。


「飯、食えるの何時頃になるかねぇ……」

「説明、大変でしょうね……」

「ああ、大丈夫さ。僕が軽く説明しておいたから」


 何気なく発した一言に望外の回答が返ってくる。

 後ろを顔を少し上げると、その人物は正対するようにして地面に腰を下ろした。


「やあ、大変だったねぇ。見てわかるぐらいに疲れた顔をしているよ、君等」

「ギャバンさんじゃないですか?どうも……」


 腰を下ろしたギャバンは、懐から布の袋を取り出すと手を突っ込む。

 どうやら炒り豆のようで、その横に音もなくすり寄ってきたバグズの口元に掴んだ豆を寄せる。

 ボリボリと咀嚼音が周りに響く。

 そのあとで自分も残りの豆を2・3粒口に放り込み、孝和にも勧めてきた。


「今回のキャラバンの護衛に推薦してもらってね。一応責任者の一人になってるんだよ、僕」

「ああ、コーンさんの配慮って」

「そういうことさ。まあ、僕自身もネチネチ絡まれるのは勘弁してほしい。とっとと逃げてしまうにはちょうどいいわけでね。祭りも近いだろ?骨休めも兼ねて久しぶりに行ってみるのも悪くない」

『そっか、バグズもいっしょにいくんだー。よろしくねー』

「がう」


 そっけない仕草ではあったが、口元の豆のかすを舐めとりながらキールにうなずくバグズ。その様子に一同の顔にふと笑みがこぼれる。


「あと、この子も一緒なんだよ。よろしくしてくれよ?」


 そう言ったギャバンの後ろ、マントでちょうど隠れてしまっていたが、ちょこんと耳が垣間見える。

 ピコピコ動くそれはなかなか上物の獣耳であった。


「くぅ……?」


 おそるおそるといった風情で、ギャバンのマントの陰から顔が出てくる。

 きゅっとマントを握りしめた手がぷるぷると震えているのはなぜだろうか。


「あら、獣人の子供さんね?ずいぶん小さいけれどこの子も一緒に行くの?」


 アリアの声にこくんと頷くその子は、そろそろと姿を現した。

 上から下まで真っ黒な毛並みは、ふわふわとしてとても柔らかそうだ。種類としては犬・オオカミ系統の顔立ち。獣人といえば人間の顔に獣耳というパターンもあるのだろうが、この子に関しては完全に獣顔である。

 大人になればさぞ凛々しくなることが予測できそうな、ハスキーなどの猟犬の遺伝子を感じさせる。

 ただ、今は子供であることもあり、子犬特有の愛らしさも同居していた。

 簡単に言うと、


(……撫でたい。ポンポンって頭撫でたい)


 ふわふわしている毛並みに、ペタンとした耳。不安に染まった表情がこう、何とも言えない保護欲をかきたてる。あふれ出るそれを止められない。


「どした、どした?」


 腰を上げその被対象物に向かい手を向ける孝和。安心させようとした善意の行動であった。孝和のふわふわを求める邪な欲望は、この善意を上回ることは決してなかったと断言できる。

 だが、


トテテテテッ


 差し出された孝和の手をすり抜け、ギャバンの横からアリアの元へとその子は駆けて行ってしまった。


「え゛?」

「あららら……」


 しっかと座り込んだアリアの腰部分に抱きつく子獣人。

 振り向いた孝和の眼に映るのは、涙目でアリアにしがみつく姿である。


「え゛え゛え゛ぇぇぇっ!?」


 あまり発したことのないような声を上げる孝和。はっきりとわかる孝和と子獣人の間の溝。何故かわからないが、孝和は拒否られていた。


「ど、どおして?」


 おとなしくアリアに頭を撫でられている子獣人をみると、人見知りをするわけではなさそうだ。

 先ほどまでの孝和を見る不安げな面持ちではなく、気持ち良さそうにそれを受け入れている。

 愕然とする孝和を尻目に、子獣人に近づく影があった。


『ねーねー。ぼくもふかふかしてもいい?』

「わう!」


ぼふん!


 了承の返事とともに子獣人にタックルをぶちかますキール。

 その勢いに押され後ろに倒れる子獣人。

 ころころとそのまま2匹は楽しげに丸くなって転がっていく。


『たのしー!このこ、ふかふかー!!』

「わうん!!」


 キールはぐりぐりとちょうど子獣人の腹に体を摺り寄せる。どうやらそのポジションが大変に柔らかでふかふかしているのだろう。たしかに見た目そのあたりが一番ベストな撫ぜポイントに見える。

 一方の子獣人はキールの体をぺたぺたとその両手でキールを撫でまわす。プニプニとした感触が心地よいのだろう。ぶんぶんと革製の腰巻から除く尻尾が揺れる。その尻尾だが、黒のベースの中、真っ白である。

 腹のあたりと、右腕、右足、尻尾の辺りだけが色という配色になっているのだ。ただし、光の当たり方によっては白というよりかは、銀色にも見える。


「……俺、なんもしてないんだけど……」


 顔見知りで、何気なく行ったことが原因となって嫌われているのならばともかく、それ以前に子獣人とは初対面のはずであった。格別嫌われるようなことはしていないはずなのだが。


「そういう訳でもないんだけれどね……」

「は?」


 ポツリとギャバンから発せられた声を拾い上げた孝和は、どういうことかとギャバンに尋ねる。


「あの子、本当に見たことないのかい?」

「いや、獣人の子供に知り合いなんて居ないですし」

「獣人以外で見覚えは?」


 にこにこしながらギャバンは問いかける。

 どうやら正解が出るまで教えてくれる気はないようだ。自力で正解を出さないといけないらしい。


「んんんんっ?」

(向こうの知り合いは、無視してOK……。こっち飛ばされてからそんな経ってないし、誰だ?居たっけこんな子?)


 じっ、と子獣人の様子を観察する。黒々とした毛並みに、一部のみ銀色にも見える白色のアクセント。

 皮の腰巻から見える尻尾がふさふさしていてタンポポの綿毛にも見える。瞳の色はルビーレッド。濁りのない澄んだ瞳である。

 その瞳がこちらを捉えた瞬間、怯えに変わる。

 グサリとささる視線の矢にさらに酷く心をえぐられる。


「……あ」


 何かカチリとはまり込んだ感じがする。大きさと一部カラーリングは違うが、こんな感じの配色に覚えがある。

 ゆっくりと子獣人に近づく孝和。

 ギュッとキールを抱きしめるその子にゆっくりと近づいていく。

 

「あー、なんかわかったから。大丈夫、大丈夫。今度は殴んないから、な?あの時、お前だって結構ヒドイやつかましてきてたからだし。今回は大丈夫、ほら、仲直りの握手しよう?な?」


 気分はウインドなバレーでプリンセスな少女であった。ゆっくりと指ではないが片手を握手の格好で差し出す。

 気になるのは隣のアリアがドン引きの顔で見てくることだった。さすがに幼児虐待癖の異常者扱いは困るので、早々に説明が必要だろう。


「わぅ……」

「やっぱ、お前あのときの【業魔】だったっけ?そういう奴なんだろ?」

「わうっ!」


 差し出した右手に、ゆっくりと子獣人の手が重なる。

 きゅっと握られた掌はプニプニしている。人型ではあるが、しっかりと肉球があった。


「よしよし、これで仲直り、な?」

『ますたーも、なかよしー。ぼくも、なかよしー』

「わぅっ!!!」


 握手した手をブンブンと振ってくる子獣人。なかなかに力は強い。

 その様子を見たギャバンがタイミングを見計らって声を掛けてくる。


「わかったようだし、説明はいるかい?」

「まあ、出来たら欲しいとこではありますけど、この子、あのデカイ奴ですよね」

「その様だね。まあ、実際僕はそのデカイ時のこの子を見てないんだよ。バグズは知ってるようだけど」

「ガル!」

「倒れてる君の横で寝てたらしいからね……。事情を知らないものからすれば、君は子供を身を挺して守ったナイスガイといったところだよ」


 あのときの【業魔】であることがバグズの反応で確定した。どうやら死地を脱したのだろうが、なぜに小型化しているのだろうか。

 若干引き気味のアリアが頭に?を浮かべながら孝和に近づく。どうやら孝和が説明をしなくてはならないようだ。


「俺にもわからないとこは色々あるんだけどさ……」






「どうしようもないくらいに、全部こっちにぶつける気なのね。おば様たち……」


 アリアを含め、ここに居る全員の手には椀があった。

 中から、湯気の上がるそれは周りにいい香りをさせている。さすがに時間をとって話し込むだけの時間は無さそうだったので、夕食と同時進行で説明を行っている。

 先程までの拒絶反応が嘘のように纏わりついてくる子獣人を膝に乗せ、さらにキールを抱えている状態のため、若干の痺れを感じ始めた自身の両足を叱咤する。このままではしびれてくるだろうことは確実であるが、動けば自身の膝に落ちてくるだろう。

 おいしそうにパンにかぶりつく子獣人と、ふかした芋をはふはふと啄ばむキールである。かなり固いはずのパンであるが、首を振るだけで食い千切る子獣人の顎の力に内心感心しきりであった。


「そうなんだろうさ。とりあえず出せるだけ出してしまいたいんだろう、あのお二方。後は、この案件は俺しか無理なんだろうか?」

「倒れた君の横に居たんだよ?それとも軍か傭兵に渡してしまうかい?」

「わう……?」

『ますたー?』


 キラキラした目で見つめてくる2匹。まあ片方は目はないのだが、なんとなくそんな感じがビシビシ来る。

 居た堪れない事限りない。


「いや、しないよ?しないけど、俺の負担大きすぎますよ?」

「そうかい?」

「そうですよ。俺、安定した収入ゼロなんすケド」


 キールと2人食費関係だけでも計算してみたが、なかなか食堂のバイトだけで食って行くには厳しい。冒険者の今回の収支ははっきり言ってあんまり旨味が少ない。

 そこにエメスとこの子獣人。

 家計簿代わりのノートは真っ赤っ赤になってしまう。言ってしまって悪いが、そこまで扶養家族が増えると支えきれない。


「大丈夫、大丈夫。今回の件で助けられた者たちは、クラーディカ家の一時預かりとすることで決着することになるはずさ。当分の間、生活費程度の金は出るから安心するといい」

「口止め料込みで、ですね」

「そうそう。物分りがいいのは長生きできる秘訣だよ」

「……うす。金が切れるまでには何とかしますよ。でもですね?」


 ちらと膝の子獣人を見る。


「この子、名前なんていうんです?」








「ああ、着いたぞ!!キール、ポポ!いい加減降りてこいよー!!」


 マドックの門が見える前で孝和はエメスの上に乗っかったままの2人を呼ぶ。


『はーい!』

「わうっ!!」


 

 名前の由来は孝和の「尻尾タンポポみたい」だった。

 本人が気に入ったのかその後で出した孝和の意見は全却下である。両手で耳をふさいで首を横に振られてしまってはどうにもならない。


(本人、気に入ってるしいいか……)


 ぴょいとエメスの上から飛び降りるキールと子獣人ことポポ。

 高さを考えると少しびびるレベルではあるが、元が元である。心配するだけ無意味であろう。

 結局、子獣人のポポは孝和が引き取ることとなった。

 暴れたときに対応できる“戦力”が必要だと言うことだったが、実際は違うはずだ。要はデカイ爆弾を自分の近くには置いておきたくないのだろう。

 汚い大人の思惑が見える決定ではあるが、実際対応できるのはエメスに孝和のコンビであるとエーイの判断が押し通された。

 最も孝和自身は二度と戦らないと決めている。そのときはエメスに丸投げだ。あんな経験はもうごめんである。

 まあ、今のところポポは孝和・キール・アリア・エメスに懐いているし、そんなに人見知りしないタイプのようで、旅の間にキャラバン内でもキールに次ぐ人気者となってはいた。大丈夫と考えるのは楽観的に過ぎるだろうか。


「さて、帰ってきたし本格的に祭りの準備始めないとな……」

「私も神殿で講話の準備があるはずだし、お互い頑張りましょう」

「僕とバグズはゆっくり骨休め、イゼルナ嬢はさっそく有力者の挨拶周りに行かれたようだよ」


 三者三様の予定である。ちなみに所払い扱いのユノ・カナエ・アルフはそれぞれ考えがあるらしい。教えてはくれなかったが、落ち着いたら挨拶には来るそうだ。

 一緒に追放されるはずだったヒアデスにトレアはコーン救出前に姿を晦ましていたそうだ。

 仮にもユノ達の父親。娘たちもヒアデスが居なくなったことには何か感じるものがあったのだろうが、それを押し殺していた。

 今後の盗賊ギルドの動きを調整するのにヒアデスが居なくなるわけには行かなかったのだろうとは、娘たちの言。

 トレアに関しては、わからないそうあるが、孝和は軍基地で感じた視線にその思惑を感じる。

 勘でしかないが、あまりあの男に関わらない生活の方が安全に生きられる気はする。


「ま、ご苦労様でした」

「本当、ご苦労様でした……」


 さて、荷を降ろしに宿に行くとしよう。


あけましておめでとうございます。


 獣・スライム・ゴーレム……。

 製作者的にはこのパーティが好きです。いや、ボスに勝てないときには勇者入れたりしましたけども。

 とりあえず満足なパーティ構成になりました。

 よかった、よかった。

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