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価値を知るもの  作者: 勇寛
異世界
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第14話 冒険者として

誤字脱字ご容赦ください。



 ボルドの店からギルドに向かう途中、昼の少し前だったので、入ったことの無い食堂をたずねてみることにした。来月の祭りの前までに、どんな料理がこの土地の人に人気があるのか、調査をしなくてはならない。日本にいた時の趣味は食べ歩きだったので、全く知らない店にいきなり行くことも多かった。ふと見つけた食堂に決め、中に入る。

「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ」

 店員さんに店の奥に案内される。キールの同席も許可してくれた。どうやら店長の奥さんが、昨日キールに会いに来ているらしい。店長からも直接挨拶を受けた。

 それはそれとして、昼食である。

「うーん……。なんか、今ひとつなんだよね。薄い、というよりかは旨みが足りないのかな?」

『おいしくないの?ますたー?』

『いや、そうじゃなくて。あと一味あればもっと美味いのになぁ、ってことだよ。ここの人には内緒だぞ』

『わかった~。おこられたくないもん。しずかにしてま~す』

 そんな内緒の念話をしながら、黙々とテーブルの料理を平らげていく。

 キールには果物の山盛りを、孝和は牛肉の煮込み系を一品と、スープを注文した。結果、口にした食事自体の塩味はある。ルミイ村の食事は塩の運搬の都合で入手に難が有り、ああいった極めて薄味のものとなったのだろう。

 だが、このマドックでは塩は十分に手に入る。過去、戦争中はどうだったのか、ということはわからない。しかし今現在、交易で港町ポート・デイより安価に仕入れることが出来ることが毎日の冷やかしの調査により判明した。このマドックより約5日の距離であるらしいので、海の幸を仕入れるついでに、昆布でも手に入らないものか行ってみようかと考えている。

 旨みが欲しいのなら、ダシである。シイタケがどこかに無いか調べてみたのだが、このあたりの植生はアジア方面に近いようだ。しかし、不可思議な植物や動物がいるのだ。本当にもとの世界と同じものと断言できないところが怖い。それになぜかマドック周辺は広葉樹自体が少ない土地柄のようで、シイタケやマツタケの様なタイプの、きのこ類は見つかりにくいかもしれない。きのこの栽培技術については種菌を埋め込む、湿気の多いところで育てる、くらいしか覚えていなかったため、この世界で役に立つかどうかは微妙なところだ。ただし、麹は見つけた。ここより東の地域には麹菌があるようだ。つまり、醤油・味噌の生産も可能である。さらには、日本酒や泡盛もいけるかもしれない。

 すこし話がずれたが、山のダシが無理ならば、海のダシである。あまりこの辺りには入荷しないが、この国があるフォロン大陸の北にある極寒のオクル諸島には、どうやら海産物が豊富にあるらしい。

普段の食事だというのに、その辺りの海藻類に昆布があればいいな、と考えている。

 来月のマドック祭に向け、真剣に準備を始めている孝和であった。




 ギルドに到着したのは2時を少し過ぎたくらいだった。なんだかんだで、昼食から、かなりの時間が経ってしまった。最後のデザートが常に果物などであったところに、不満感が残ってしまい、今後のティータイムのため、いろいろ作ろうと材料がどんなものがあるのか、商店街でふらふらとしてしまったのである。キールはお買い物が好きなようで、いろいろ連れまわしても文句も言わず、逆に楽しそうであった。

 

 そんな本来の目的と全く違うことをしていたが、とりあえず、今日の本題。ギルドの入り口前に到着した。

「よし!カルネさんのとこに行くぞ!」

『うん!いくぞー!!』

 と意気込んだ割には、前回と同じようにこそこそと、併設された酒場からの視線から逃れるようにカルネのいる受付に向かった。

 前と違い、今回は視線に違うものが感じられる。どうやらそれはキールに向けられるものであった。数人のおねーさんがキールを優しい眼差しで見つめている。孝和のあとをぴょんぴょん飛び跳ねながら付いて来る様子を見て、ホウ、とため息をついていた。

 一方、『陽だまりの草原亭』の「招きスライム」を知らないものは前回と同じように、新人の孝和とキールを値踏みしていた。

 どうも、このギルド内は居心地が悪いので孝和は好きにはなれなかった。ここで働いているカルネを本当に尊敬する。こんなところで毎日働けるようなカルネはやはりすごいんだなぁ、というおかしな関心を孝和は抱いたのである。

 受付にいろいろな視線を感じながら到着する。ちょうど、受付にはカルネが居た。

「カルネさん。プレイスカードの受け取りに来ました。キールの分と合わせて2名分、お願いします」

「お待ちしてましたよ。今日受け取りにこられるのに、全然来ないからどうしたのかしら、って思ってたんですよ?」

 少しだけおどけて、不満げな様子をカルネは表してみたようだ。

『ご、ごめんなさい。おかいものたのしくて、おそくなっちゃいました……』

 ジョークであると解らなかったキールが、本当に申し訳なさそうに謝る。それに、カルネが慌てた。軽いジョークだったのにキールが本気で受け取ってしまい、説明どころではなくなってしまったのだ。

 結局、キールに冗談であることを納得させるまで、プレイスカードの交付はストップしてしまったのだった。




「では、カードの説明に参ります。よろしいですか?」

 場所を受付の中のテーブルに移し、カードの交付になった。

 孝和は軽くうなずく。キールのテンションも元に戻り、うきうきしている様子が伺える。

「こちらがタカカズさんのカード。こちらがキール君のカードになります。名前の確認をお願いします」

 テーブルに名前の記載された黄色のカードが置かれる。キールも文字は読めるので、本人に確認させる。よし、間違いない。

「大丈夫です」『だいじょうぶだよ』

 二人の声が重なってカルネに届いた。

「名前が間違いなければ、次に進みます。カードを胸の前にかざして軽く念を注ぎ込んでください。そんなの解らない、って人は大体のイメージでお願いします。結構それでOKだったりするので」

 かなり適当であるが、念じるのは個人個人なので一概に「これ」というやり方は無いのかもしれない。言われたとおり二人はカードを持って念じ始めた。キールは自身にカードを立てかけ、念を送る。

 しばらくすると、キールのカードが、ふっ、と一瞬光った。そのすぐあとに孝和のカードも光を放った。

「では、これでカードの交付は終了です」

 唐突にそう言われた。これで、終わり?

「あ、交付は終わりましたけど、この後はカードの説明ですから」

「そうですよね。あれで終わりだったら困っちゃいますし」

 冷や汗が出た。もしかしてプレイスカードの説明なんて、この世界では常識なのかも知れないと思ったのだ。

「じゃあ、二人とも。カードの中身がさっきと変わっていると思うので、確認してみて」

 その言葉に従い、カードを確認する。先ほどまでは名前しか書かれていない状態であったのに、今はそれ以外に様々な項目が増えている。

「!!!?」

 孝和は「それ」を見たときに声を出さなかった自分を褒めてやりたかった。

「どうかしましたか?孝和さん」

 声はでなかったが、表情まではさすがに無理だった様だ。

「いえ、あの、聞きたいことがあるんですが。いいです?」

「ええ、どうぞ。何でしょうか」

「このカード、いきなり書かれてあることが増えたんですけど。ギルドで書かれてたのが浮き出てきたんでしょうか」

 カルネは孝和が驚いたのは、記載内容が光と共に変化したためだと思った。

「いえ、違います。プレイスカードに各ギルドが記入するのは名前のみ。新しく書き出された内容はこちらでは全く関知しません。冒険者のプレイスカードに新しく書き出されるのは、旅立ちの神ハムスと、誓約の神ホールの2柱がその人の身分と才能を記したものです。神々の保障した身分証ほど確かなものはありませんから。冒険者ギルドは仕事の関係もあって、個人的な強さや才能を明記されるんです。詳細は裏側に書かれています。後で確かめてくださいね。その辺りは魔術師ギルドや商業ギルドなどのほかのところのプレイスカードは全く違う様式になっていますから、戸惑う方もいらっしゃいますけれどね」

「あはは。そうなんですか。(いやー、よかったぁ……)」

 深く安心のため息をついた。後半は消え入るような声の大きさだった。なぜなら、新しい項目にいくつか、どう考えてもまずいものがあるのだ。

 例えば、【種族】。ここには普通、「ヒューマン」「人間」という単語が普通、入るはず。しかし、孝和の【種族】欄には、「龍血の異人」となっている。

 さらには、【スキル】の欄には「ドラゴンソウル」という項目が存在する。これは、あまりにもまんまだろう。まあ、これで孝和はシグラスの後継者になった実感を深く感じたのだ。自身が微妙に人外だ、というのは少し寂しいものを同時に感じさせた。

 カードに記入されたこれらが、ギルドの調査の結果であれば、孝和の身の上はばれている事になる。しかしこれらの項目の管理は神々のものだ。と、言うことはギルドの人は孝和のことを知らない。逆にこの世界の神々は、孝和が異世界の人間だと知っていることになる。さらに、「神様」が実際にこの世界には存在している。今のところ全くリアクションは無いが、異世界の人間をこの世界の神々は受け入れてくれるかどうか全くわからない。一応、冒険者として認められたのだからあまり心配することも無いだろうと、楽観的に考えよう。でないと、不安で仕方ない。

「では、続けます。自分の強さや能力を隠しておきたい仕事もあるでしょう。その時は、上から軽く念じながらこすってください。それで、他の人には見えなくなります。元に戻したいときは同様にすれば戻ります」

 すぐに試した。力を込めて、ゴシゴシと。すると、【種族】【スキル】の欄はぼかしたように、全く元々なんと書かれていたか見えなくなった。

 それを見て、ほっとした。これで、他の町に行ったりするときに問題は起きないだろう。異世界人です、なんて見せびらかしながら移動するなんてぞっとする。




『ねえ、ますたー。ぼくのこれ。なんかかいてあるの、ちがうとおもう』

 キールがそう孝和に言ってきた。どこのことだろう。

「あれ?ここ、変だな。確かに……」

 二人が不思議に思っているところをカルネに聞く。ただし、カルネに渡す前に、こっそり念話で、【スキル】欄に書かれていた「龍の加護」という項目はキールに隠してもらう。【スキル】欄の詳細は宿に帰ったらゆっくりと二人で確認しよう。

「あら、キール君ってスライムじゃないの?ホワイト・ジェムってなってるわよ?」

 本当だ。【種族】欄にはスライムではなく、ホワイト・ジェムと記載されている。どういうことか孝和もキールもわからず、カルネは手元にプレイスカードの手引書を取り出した。その結果、キールはスライム類のモンスターではないことが判明した。

「それって、どういうことです?キールはスライムじゃないってことですか」

「そうですね……。調べてみたら、ジェムと名の付くモンスターは鉱物系の上級モンスターです。ただ、ホワイト・ジェムという種族はギルドの登録にも無いようです。スライムも広義で言えば鉱物系ですから。キール君は新種、といえるんじゃないかと思います。まあ、こんなにお話できるスライム君なんて聞いたこと無いですからね」

 ほー、と二人して感心した。当事者のキールは『なに?なに?』と心配そうに二人の間をうろうろしている。どうやらよくわからなかったらしい。これも後で宿に帰ったときに説明してやろう。お前はすごいモンスターなんだぞ、と。とりあえず落ち着けるためにキールを抱き上げ、なでなでしてやる。しばらくなでなでして、どうやら落ち着いたようなので話の続きをカルネにお願いした。




 カードの各項目は他には力や体力、技術、魔力や知性などの項目がSS~Gまででランク分けがされている。一般の人間の平均はDといったところらしい。しかし……

(F!?俺、F!?)

 孝和の魔力はFクラスだったのである。これははっきり言うと、

「才能が無い、ということでしょうね。残念ながら……」

 カルネの孝和を見る視線が哀れみを帯びる。

 ……お願いだからそんな目で見ないでください。

『ますたー!だいじょぶだよ!ぼくががんばるから!!』

 キールが励ましてくれる。確かに嬉しいが、何でだろう。とても悲しい……。

 ちなみにキールの魔力はBであった。これはベテランクラスの熟練術者に匹敵する。さらに言えば、孝和とキールの知性は共にCである。これらの項目は今後の努力でも伸びるらしい。まだ20代なのだ。今後の成長の余地も少しはあると信じたい。

 ……がんばろう。俺。

 こうして軽い心の傷と共に、これからの勉学と修練に励むことは確定事項となったのである。


「スキルについては、個人の資質や肉体的形質が現された物といえます。具体的には裏面に説明が出ますので、確認しておいて下さい」

「はい、ありがとうございます。後は何ですか?」

 カルネの説明もこれで終わるらしい。次は……

「称号については、全て神々の気まぐれで授けられます。ほとんどの方はいつの間にか授けられていますので、気づかずそのままにしてしまう、なんてもったいないことがあります」

 カルネは、そういってカードの最後の辺りを指差す。ちなみにキールのカードには特に記載は無かった。しかし、孝和には一文が書き込まれている。

「あの、俺『食の開拓者』って書いてあるんですが」

「え?タカカズさん、称号持ちなんですか!!?」

 かなり驚いた様子で、カードをひったくられる。あまりの勢いに驚いて座っていた椅子から転げ落ちそうになってしまった。

「タカカズさん……。これ、食の神フズの称号です。何かフズに関心をもたれるようなことをしましたか?」

 カルネに尋ねられたが、どのことだろうか。調味料は何種類か作ったし、料理もかなり試作してダッチたちと話し合いをしている。そういったことをカルネに説明すると、カルネは得心した様だ。

「おそらく、タカカズさんの料理が斬新であったのでしょう。その行為が、食の神フズに気に入られたのでしょう。人の生き様のうち、神々が自分の担当する分野に大きく影響を与えた人物に与えるものが、称号です。王家・神殿の授与する称号は、その国や神殿の信仰する神の代理人が許可を与えます。ですので、この場合はかなりの功績が必要でしょうね。そんな冒険者になれるようがんばってください」

 なるほど、称号は神様が与えるものなのか。いくら自称しても認められなければ、無意味なのだろう。精進せねば。

「この称号って意味あるんですか?」

「ええ、さまざまな恩恵が受けられるのです。この場合も裏面を見てください」

 そう言われて裏面を見てみる。この称号の効果は、「料理の細かな味がわかるようになる」であった。

「な、なんか微妙……」

「そ、そうですね……。ですが!もし称号で神に選ばれれば、その神の亜神として死後天界に招かれるのです!!永久の命を得ることが出来るのですよ!!すごいじゃないですか!!」

 正直、その意見には賛同しかねる。孝和は日本人である。諸行無常、盛者必衰、形あるもの全て壊れる、というスタンスなのだ。絶対なんてものはこの世には存在しない。永遠の絶対者などあるはずが無い。当然だ。

「いや、あんまし興味ないんで。これ、次の称号が手に入ったら無くなっちゃうんですか?」

「いいえ。一度手に入れた称号は、授与した神が取り上げない限りずっとそのままです。安心してください」

 まあ、これもゆっくり理解していけばいいだろう。情報が多すぎて少し混乱してきたし。




 とにかくカルネの説明は終わった。最後にここまでの説明をまとめた書物をもらった。というか最初から渡してくれれば、中を確認しながら話が聞けたのに何でこのタイミングだったのだろうか?

 がやがやと後ろのほうが騒がしくなってきた。なんだろうかと後ろを向くと、2階から多くの人が降りてくるのが見える。

「あの人たち、2階で何してたんですか?」

「ああ、講習が終わったんですよ。今日で3日目ですから、テスト中だったんです」

 カルネはそう言った。講習?テスト?何のこと?それをカルネに尋ねる。

「一般の冒険者登録者の順序です。お二人は紹介状があったので、被紹介者と、その従魔として即席登録になったんじゃないですか」

「知らないですよ!あっちの方が安全だったんじゃないですか!?」

「そうですよ?名うての冒険者であったスパード氏の紹介があったので、最低限必要な戦闘力を確認したのがあの洞窟だったんです。スパード氏から何も聞いていなかったんですか?」

 がくり、と首が落ちる。紹介状を出さなければ、あんな危険なことしなくてもよかったのに……。

「冒険者といっても、一概に戦闘力だけが全てではないですから。戦闘が全く駄目な学者さんも結構いたりするんですよ」

 そうですか……。そうですね……。

 普通に考えればそうだ。多種多様な依頼をこなすには、頭脳戦も必要であろう。さらに聞いてみると、遺跡調査の依頼もあるらしい。そのときには考古学の知識も必要だ。多くの人材の登竜門であるギルドの成り立ちを考えるべきであった。

「大丈夫ですか?タカカズさん」

「いえ、大丈夫です。ちょっと自己嫌悪しただけなんで」

 ……がんばろう。俺。




 このあと、自己嫌悪からなんとか立ち直り、ギルドを後にした。この後はボードセンターに向かう。孝和は冒険者ギルドで依頼が受けられる、と考えていたのだが違っていた。依頼はそのボードセンターで受けるのだ。ギルドは登録と、依頼達成時の報酬の支払い、素材の引き取りの際にしか利用しないそうだ。


「すごいな……。これが依頼用のボードなのか……」

 孝和は目の前に広がる依頼の山に驚いていた。建物自体は冒険者ギルドと同じくらいなのだが、酒場のような付帯施設は全く無く、以前テレビで見たハローワークをさらに巨大にしたような施設だった。その壁や、通路の一面に依頼内容が簡単に書かれた紙が、雑然と張り出されていた。これらの依頼は、冒険者や魔術、商業ギルドや神殿、変わったところでは貴族から出されている。そのため、様々な内容の依頼をまとめてこのボードセンターで確認できる。自分の受けたい依頼を受付にはがして持って行き申請する。問題が無ければ、手付金を支払い依頼開始となる。失敗したときは手付金は没収になり、成功時は返金される。

『ねえ!ますたー!はやくGのぼーどにいこうよ!ね!ね!』

 キールがそう孝和を急かす。今日はどんなものがあるかの確認で、受注はしない。そうは言っても、キールはものすごく興奮している。実は孝和もうずうずしていたので、そのままキールと一緒にGのボード前に突撃した。初心者の2人は最低ランクのG、1ランク上のFまでしか受注できない。まあ、最初の肩慣らしではあるが、どきどきする。

「おう!楽しみだなぁ」

『そうだね!たのしみだね!』

 とことこ足早に二人はGのボードに向かうのであった。


「やっと来た!ずいぶん待ってたんですよ?」

 Gのボード前に2人が到着すると、後ろから声が掛けられた。少し不機嫌そうな声色であったので、孝和はビクンとしてしまった。

「?え、と。どちらさまですか?」

『おねーさん。だーれ?』

 2人は振り返るなり、同時にそう語りかけた。そこに立っていたのは、肩の辺りまでのさらさらの銀髪の女性であった。肌は透き通るようで、意志の強さを現す碧眼はこちらをまっすぐ見つめていた。地球では北欧系の部類に入るであろう。それを十分に生かしきる整った顔立ちに、ローブを羽織ったその姿は「美少女」の称号こそがふさわしい。もし自分が美をつかさどる神ならば迷わず、授与を決定するだろう。要するに、孝和の好みのド真ん中だった。

「私ですよ。アリアです!あの時は冒険者でなかったから、ベールしてましたけど!」

 非常に心外だといわんばかりの勢いで返答を返す。

「アリアさん!?」『アリアさんだ~』

 

 驚いてポカーンとした孝和と、嬉しそうなキールの声が重なった。


 こうして3人は再会を果たしたのである。


また、長々と伸びてしまいました。次回もがんばります。あと、お気に入り登録してくださった皆様。ありがとうございます。ご期待に沿えるよう、誠心誠意がんばらせていただきます。

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