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狐灯り 〜一つ多い灯は、誰のために〜

作者:Right
失業した桐生悠真は、祖母の葬儀のため5年ぶりに故郷の水凪村に帰郷する。山間の小さな村の中央には「狐池」と呼ばれる湖があり、湖畔には村人の数と同じだけの石灯篭が並んでいた。夜になると青白い狐火のような光を放つ灯篭たち。しかし村には古くから二つの禁忌があった——「灯篭の数を数えてはいけない」「湖面に映る自分を長く見てはいけない」。

葬儀で再会した同級生の中に、悠真がまったく記憶にない白石涼がいた。爽やかで人当たりの良い青年だが、村人は皆「昔からいた」と証言する。さらに湖畔で、10年前に溺死したはずの幼馴染・水野結衣と再会。彼女は15歳の頃と変わらない姿で、まるで昨日も会ったかのように振る舞う。

困惑する悠真に、村長は村に伝わる古い伝承を語る。狐池は「現実世界」と「影の世界」をつなぐ境界であり、時として二つの世界の住人が入れ替わることがあるという。灯篭は村人一人ひとりの「魂の灯」で、その数の変化は異界からの来訪者を意味していた。

やがて悠真の幼馴染の一人が、まるで最初から存在しなかったかのように皆の記憶から消える。悠真だけがその人物を覚えているという異常事態。湖から聞こえる呼び声、記憶の混乱、現実感の喪失——悠真の精神は次第に追い詰められていく。

そして涼が告白する衝撃の真実。自分は「影の世界」の住人であり、結衣もまた10年前の事故で影と入れ替わっていたのだと。さらに驚愕すべきは、悠真自身も既に影の存在だったという事実。本物の悠真と結衣は10年前から影の世界におり、現実世界にいたのは彼らの「影」だったのだ。

愛する結衣を救うため、悠真は究極の選択を迫られる。しかし影の世界と現実世界を隔てる境界で、愛は存在の形を超えて永続することを知る——。

美しく神秘的でありながら、どこか不安を誘う水凪村を舞台に、記憶と愛、現実と幻想の境界を描いた現代和風ホラー。

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