第零話:プロローグ
「桃太郎」なのにナレーションがバグり倒してる!?
桃の中でグワングワン揺られながら、見せられたのは――近未来な鬼ヶ島!?
……あー、またこれか。
ボクのデバッガー人生、もう勘弁してほしいです……。
……目が覚めたら、知らない川にいた。
いや、正確には「流されてた」。
ボクは今、川に浮かんでる”何か”の中にいる。
巨大な……なんだ、これ、甘くてイイ匂い。
あ、これ、桃?え、マジで?
「……えーと……いや、これって、もしかして――」
はい、来ました。
まただよ。
また変なおとぎ語に放り込まれてる。
ボクは今、どうやら“桃太郎”になってるらしい。
しかも、ナレーション的なやつが脳内に勝手に流れてくる。
『昔……あルとコロに……(ガガッ)……川カミ……どん……コ……(ガガッ)……ドンブラこと、大キな桃ガ流れ――』
……いきなり、すんごいバグってる。
もうホラーじゃん。
やだ、めっちゃ怖いんだけど……。
桃の中からこのバグりナレーション聞かされるの、なかなかの地獄よ?音響的にも。
くぐもってる上に、うるさいの。
なんかグワングワンすんの。
てか、”どんぶらこ”とか擬音で流れるこの桃。
めちゃくちゃ揺れるし回るし酔うんですけど!?
マジ勘弁して……。
なんでこうなってるのかは、もう説明するのも面倒くさいけど……。
とりあえず言えるのは、ボクが“毎回バグったおとぎ話に転移させられる謎システムの被害者”ってこと。
で、今回の“桃太郎”「も」どうも普通じゃないっぽい。
ナレーションに混じって、さっきから聞こえるズンドコいう地鳴り、何?
そう思いながらふと桃の壁?を見たら、なぜかスクリーンがあった。
海に浮かぶ島が映ってる。
あれ、もしかして鬼ヶ島ってやつ?
上の方が鬼の角っぽいシルエットになってる。
でもあれ、鬼ヶ島、ていうか鬼ヶ「都市」じゃない?
岩山じゃなくて、どう見ても立派なビル。
重低音はそこから流れてきてるっぽい。
ああ、テクノポップだわこれ。
鬼、いい趣味してるじゃん。
てか、全体がめっちゃキラキラしてて、おどろおどろしさ皆無なんですけど?
え、どゆこと……!?
……あー。
今回もまた、嫌な予感しかしない。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
この短編集は、和風ファンタジー×ギャグな「おとぎ話バグってる!?」の世界ですが、
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