会合〜魔法?使い〜②
足音の方に向かってみると、そこには魔法使いの同い年くらいの女の子と、その人を追いかけている5人の男がいた。
……何でその人が魔法使いの女の子だってわかったかって?あの服装を見たら誰だってそう思うだろう。
黒を基調とした服装、膝まであるスカート。そして何より体格に負釣り合いな大きさの魔女帽子がとても印象的に映った。何回かニュースでは見てるけど、だいたい普通の格好だったからあそこまで"魔法使い"してる魔法使いは初めて見た。
と、驚いてる場合じゃない。速く助けてあげないと。
顔は見えないけど、全力で走っているのは遠く目からでもよく見えた。
「この距離なら……これかな?」
そこにあった適当な石ころを拾い上げ、よーく狙って…思い切り投げる。見事に追いかけている先頭の男にヘッドショットした。
「うわ!?」
「何だ?反撃されたか?」
「違う…石か?これ?」
何やら騒いでいるけど、一瞬でも動きが止まったらならこっちのものだ。地面を思い切り蹴ってスタートダッシュを決める。
もう少しで射程内…というところで、異変が起きた。何かが5人組の方に飛んできていた。
「下がって!」
声が聞こえる前に反射的に後ろに跳ぶ。それとほぼ同時に前方から白い空気の流れと、寒気を感じた。
顔を上げると…なんということでしょう。5人のうち3人の頭以外が固まっているではありませんか。
「こ、凍ったぁ!?」
「お、おい!俺今どうなってるんだよ!」
「やっぱりさっき頭に当たったやつやばいやつだったんじゃないか!?」
あちらも混乱しているけど、むしろ好都合。
「そのまま君達も寝ておきな」
もう一度近づき、反応される前に勝負を決めた。
ふと、気絶させた奴らの袖を見るとさっきの奴らと同じく、赤い蜘蛛の刺繍が袖に施されていた。
「一旦ここから離れよう。ここは奴らの縄張りだ。」
「……?わかった。」
一瞬、女の子の白い目に困惑の表情が見えたけれど、すぐさま廃墟に避難した。