会合〜魔法?使い〜①
暫く歩いてみたものの、周りに見えるのは廃墟、廃墟、廃墟。場所が変わっても崩れた廃墟。……旅に出て早々だけどさすがに飽きてきた。スマホを見ると、次の目的地「デムレ自治区」まではまだまだ何日もかかりそうだ。着くまでずっとこの景色というのは中々に辛いものがある。
ただ、思っていた以上にひどく崩れたものは少ない。いくつかはきちんと手入れすれば住めそうだな----そう思いながら進んでいった。
「にしても……少し壁が綺麗すぎるなあ」
そう呟いたその時。
乾いた銃声が辺りに響いた。横っ跳びをすると後ろの建物の壁に銃弾がめり込んだ。ちょうど僕の頭の高さくらいだ。
「チッ。感のいいやつめ。」
廃墟の影から3人。全員袖に赤い蜘蛛のような刺繍があり、リーダーと思われる人物は拳銃を持ちこちらに銃口を向け、残りの2人はナイフを構えている。ナイフも銃もあまり手入れはされていないっぽい
前言撤回。ここに住むのはあまりに危険すぎる。
やけに綺麗な廃墟は大体こういう奴らがいる……って師匠がいっていた。
「ここは俺らの縄張りだ。兄ちゃん。」
「とっととその荷物置いて出ていきやがれ。今なら多分、命までは取らねぇからよ」
初っ端殺そうとしてきた奴らがなにを言ってんだか。事実、小物臭い言い回しをしてきた奴らの目には殺意が漲っている。
「…嫌だ、って言ったら?」
「こうなる」
パンッ…!と銃声が鳴り響く。だけれど、僕は同時に飛び出している。素早く腰の木刀に手をかけ、抜刀。
「は?え?は?」
「遅すぎる。」
一閃。空気を裂く音と共に居合が入り、銃持ちは意識を手放した。だけれど、手はまだ緩めない。
悲鳴を出す暇もなく、残りの2人も意識を失った。
「ふぃ〜…」
実銃持ちとは初めて戦ったけど、こんなに緊張するのか。少し手に汗があるのが気になったものの、木刀を納め、伸びている3人に目線を移す。
「…末端かな?銃を持ってたとは言え、いくら何でも動きが素人すぎる…」
少なくとも、中核とは程遠い奴らだ。この辺がこいつらの縄張りだって言ってたし、長居は無用かな。
来た道を引き返そうとした時、誰かが遠くで走る音が聞こえた。一瞬増援が来たのかと思ったけれど、どうやら違うらしい。
「足音的に……誰かを追っているのかな?」
もし、僕と同じようにここの奴らに襲われているのでは大変だ。迷っている時間はない。すぐさま方向転換をして、音の方に走り出した。