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掃除屋からの掃除依頼

「フューチャーズの完全壊滅に力を貸して欲しい」

私はこの言葉を聞いてすぐにシドーの方を見てしまった。シドーが口を開く

「……なんで僕たちなのでしょうか?貴方達の戦力ならその程度の組織の解体はできるのでは無いですか?……と言ってもまだレイとユーフォさんの実力しか見てませんけれど」

と、シドーが困惑した表情で語る。

「それはそうだ」

ユーフォさんが話し出す。

「俺達が動きたいのは山々なんだが……実を言うと、奴らの本拠地の場所が問題なんだ」

「……まさか、別組織のナワバリの中にあるってことですか?」

私の方にユーフォさんとクロマティさんの目線がいく。その目を見るに、多分そういうことだろう。

「そんな所だ。まだ特に抗争が起きているわけではないが…問題はその親元の組織が急拡大を続けていることだ。」

「なんで組織なんですか?」

「"グラッド・フェイバリット"」

グラッド・フェイバリット。だいぶ独特な名前ね。関わりたくは無いけど、名前は覚えとこ。

「そこについての情報ってあるんですか?」

「全くだ。かなり強めの情報統制が行われている。うちが贔屓にしてた情報屋もやられちまった」 

「規模はどのくらいですか?」

「ざっくりウチとトントン。シマの広さならうち以上かもな」

ユーフォさんが大きなため息を吐く。噂通りなら、クリーナーですらこの地域の1/4以上を管理しているって話なのにそこと同じくらいの戦力なんて…すると、2人が少し苦い顔になった。

「ま、お察しの通り、今そんなところのシマに入って抗争になろうもんなら世界情勢が一気に変わっちまう。特に俺なんて有名になりすぎちまったからな。」

「そこで君達には私達に代わってフューチャーズの完全壊滅をお願いしたい。無論、手伝いの人員は出すし謝礼も払う」

成る程、理にはかなっているし奴らの能力を見ると私達3人+クリーナーの戦力数人で事足りるでしょうね。だけれど…

「私達は一般人ですよ?私達にその罪を背負えと?」

「そこまでしなくても良い。少し拘束してもらえればその後は私たちがやる」

つまり、私達にフューチャーズの捕獲をしてこいと。だいぶ無理を言ってくる。と、私は思わず苦い顔をしてしまった。すると、ここまで口を開いていないシドーが話し出した。

「………最終的にフューチャーズの人達は貴方達に殺されるってことでいいんですか?」

声色は硬く、何かを恐れているようだった。 

「……………………」

「沈黙は肯定と見なします。そして……ごめんなさい、そのお話なのですが、お断りさせてください」

と、シドーは木刀を取り出した。抜刀されたそれはとても丁寧に手入れがされていて、年期が入っていたけれど、とても美しかった。

「僕は人をできるだけ傷つけたくない。だけど、自治区外でそれは魚に陸で生きろと言うようなもの。ですから僕はこれで必要最低限だけの傷になるようにしているんです」

シドーは2人の目をしっかりと見る。

「………相手はもちろん悪人です。だけれど、直接手をくださないとは言え、間接的に殺してしまうのなら………自分勝手ですけれど、このお話、無かったことに。」

少しの沈黙。クロマティさんが口を開いた。

「そうか、無理を言って済まなかった。………お詫びとしてはなんだが、何処か近い自治区まで送ってやろう」

「すみません。ありがとうございます。」

その言葉とともに肩の力がスッと抜けた気がした。………そう言えばクロは?とクロをチラリとみてみると…

「………………」

目を閉じ、船を漕ぎ、口から少しよだれが出ている。

2度寝しないでよ………

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