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悲報 御一行、呼び出しを食らう②

僕たちがキャンプ地にしていた場所から歩いて3時間くらいだろうか。ユーフォさんの案内で、廃墟街の中でもさらに奥まった場所へと僕たちは歩を進めた。

近づけば近づくほど何処からか、僕たちを見る目線が多くなっていくのを感じた。けれど

「カシラが呼んだ客だ!持ち場に戻れ!」

と、ユーフォさんが一喝すると視線は無くなった。

しばらくしてたどり着いたのは寂れた5階建てのビルだった。だけれど、窓がなくなっていること以外はかなりきちんと整備されていて、その窓も変わりの板で補強されている。割れた自動ドアから中に入ると、雰囲気がガラリと変わった。華美な装飾も、何か特徴的なものもあるわけではない。だけれど、気を抜いてしまうとこの空間に飲み込まれそうな錯覚を僕に感じさせた。

クロは色々気になるらしく中をずっと見渡していて、ルナとレイは緊張しているのか何かを話す様子はなかった。僕は、この雰囲気に飲み込まれないように息を整えるのに必死だった。

階段を登り5階に着くとそこには巨大な扉があった。(因みに、2階は会議室。3階は武器庫。4階は幹部陣の個室になっているそうだ)

ユーフォさんがドアをノックする。

「ユーフォ・スタスです。例の人物たちを連れてきました。」

暫くすると

「入れ」

と、威圧感のある老人の声がした。

ユーフォさんはこちらを向き、

「あんたらは名目上招かれている側とは言え、うちのカシラの前だ。粗相はするなよ」

と、忠告をした。

「失礼します」

扉が開きレイが先頭となって中に入る。中は思っていたよりシンプルで、必要最低限の物以外は置いていない応接室のような形になっていた。そして、長と思われる人物は正面の1人用のソファに座っていた。

「よく来てくださった。さて、こちらに」

僕たちは言われるがままに反対側の長めのソファに座る。レイさんとユーフォさんはその左右に立っていた。すると、カシラさんはレイのほうを見て

「レイ。その脚はどうした」

「なんてことありません。ただ、少し擦っただけです」

「銃槍です」

ユーフォさんがそう横槍をいれると、レイさんはなんで?というような顔をしてユーフォさんの方を向いた。カシラさんがため息をつく。

「すぐにトロンのとこに治療を受けてこい」

「いえ、応急処置はしているので大丈夫…」

「行け。」

脅すような声だった。流石に背くわけにはいかないのか、レイさんはしぶしぶ部屋を出ていった。

「ユーフォ。例の奴らは?」

「クラの方に引き渡しました。口を割らせるのに時間はかからないそうです」

無言でカシラさんは頷くと、こちらの方に向いた。

「いやはや、すまないね。わざわざ来てくれたのにこんな話をしてしまって」

「い、いえ。」

先程とは雰囲気がガラリと変わった。組織の長から、気の良いおじさんに変わったのだ。余りの変化に一瞬僕は目の前の人物が同じ人かを疑った。

「改めて…私がクリーナー総統。クロマティ・マガイだ」

優しい声。しかし、僕の背中には冷たい汗が流れていた。

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