どんなことでも起こりうる
レビュー執筆日:2022/7/21
●より軽い雰囲気の楽曲が増えたが、それゆえに「典型的なJ-POP」化している印象も。
【収録曲】
1.コエノチカラ
2.PLEASE SUMMER BREEZE
3.DOWN TOWN
4.言葉
5.敗戦の夜に
6.上を向いて歩こう
7.時代
8.We are not afraid
9.青春FOREVER
10.雪物語
11.Let's get together ~ウカスカクラスター~
12.Hi-Five
13.また会う日まで
<ボーナストラック>
14.勝利の笑みを 君と ~日本サッカーのために~
前作から約7年半ぶりとなるウカスカジーのフルアルバム。前作の『AMIGO』と比べるとよりミスチル色が薄れ、力が抜けた感じのポップナンバーがさらに増えた印象を受けました。『DOWN TOWN』『上を向いて歩こう』といった有名楽曲のカバーも収録されており、「自分達のことをよく知らなくても聴いてもらいたい」とリスナーの間口を広げようとしている様子もうかがえます。
歌詞に関しても、「自分にドンマイ 明日になればスマイルアゲイン」(敗戦の夜に)や「どんな時も 前を向け 未来を向け」(青春FOREVER)といった「前向きな応援歌」を意識したものが増えた印象があるのですが、先程挙げたような「力が抜けた感じのポップナンバー」に乗せると、どうも軽く聞こえてしまう点が否めませんでした。いわゆる「J-POP」を否定する際によく「歌詞が薄い」という論調が用いられますが、今作はそういった悪い意味での「典型的なJ-POP」に片足を突っ込んでいるように思えます。
もっとも、カバー曲に関してはそういう印象はありませんし、オリジナル曲でもノリの良いモータウンビートを聴かせる『Hi-Five』や複雑でポップなメロディを聴かせる『勝利の笑みを 君と ~日本サッカーのために~』のように歌詞の「ベタさ」が気にならないようなものもあるのですが(後者は前作の収録曲のリメイクですが)、全体的に見るとどうも「軽過ぎる」印象を抱かざるを得ないアルバムでした。まあ、あえて軽いコンセプトでやっているような感じなので、そういう作風自体を否定する気はありませんが。
評価:★★★