再び寝ぐせと雪山探索へ
以外と寝ぐせってつきますよね
玉座の間へと行くとやはりいつもと同じように父上と母上が座っている。
俺は臣下の礼をする。
すると俺のその行為を制止するようなそぶりを見せてから
「お前はこれから王位を継承するのだからこれからは礼をしなくていいんだぞ」
といい
「一週間後に王位継承の儀式を執り行うことにしたから、心の準備をしておくように」
と続ける。
あれっ。
父上もなんか変じゃね。
いつもびしっと髪型を決めているのに…。
どうして父上にまで寝癖がついているんだぁーー
とツッコミを心の中でした後、寝癖に二回も続けて遭遇したから
寝ぐせって感染するものだったっけ?
となぜか疑心暗鬼に俺はおちいる。
「父上、つかぬ事をお聞きしますがその髪型はいったいどうしたのでしょうか?」
父上は自分の髪を触るようにして確認する。
「あ、あぁ。気づかなかった。直さんといかんな。ははは」
なんていいながら、椅子から立ち上がり、玉座の後ろに位置する父上と母上の暮らしている部屋へと入っていく。
水を流す音が聞こえるから髪を整えているのだということは容易に想像できる。
父上が完全に遠くへ行ったことを確認してから、残された母上が、小さい声で俺に耳打ちをする
「あの人、ちょっと体調がすぐれないらしいの。直すには…。ちょっとたいへんなのよねぇ」
といって、左手を左ほほに軽く当てはぁと言う。
「母上、私にできることがあるならばやりましょう」
まぁ、俺が国王になることは確定したし恩返しでもしないと少し気分が悪いからな。
「薬が必要なんだけど、ちょっと手間がかかってねぇ」
「それはいったい…?」
「薬っていうのがあるところでしか取れないものから作るのよ」
「ほら、この国の北に雪がずっと降っている場所ってあるじゃない」
いや、知らないよ。俺はあんたらに甘やかされてきたからこの国の中のこと以外この世界のことよく知らないんだよ。
「で、その雪山の頂上で生える草、スノーマウンテントップリーフっていうのがあるんだけど、これが必要なのよねぇ」
いや、名前単純すぎるでしょ。雪山の頂上にあるからスノーマウンテントップリーフって。
もっと頑張って名前つけてあげてよ。
「呼ぶのめんどくさいからスノーリーフとか雪草ってふつうは呼ぶけどねぇ」
じゃぁ最初からそれでいいじゃん。
ツッコミすぎて疲れたよ
「わかりました。そのスノーリーフをとってくればいいんでしょう?」
「そうそう、でもね、雪が積もってるから馬は使えないのよ。だから歩きで行くことになるわねぇ」
荷物持つのめんどくさいなぁ。
部下でも連れて行けばいいか?
「あっ、あと大人数で行くのはよくないわね。まとまって移動してると重さで、雪が崩れたりすることもあるからねぇ」
お、おふぅ。
行くなんて言わなきゃよかった。
しかし今更後悔しても遅いので、
「頑張ります、母上」
と言って部屋へと戻る。
ターナーが部屋に帰るなり
「俺、今回はパスだぞ、行きたくない」
と言って俺の毛布をかぶって部屋の隅に縮こまる。
「なんで?」
「俺、寒いの苦手なんだよ。元の世界でも苦手だったのにこの姿だとさらに寒さに弱いんだよ」
もしかしてドラゴンって変温動物なのか…?
「おまえ、今失礼なこと考えただろ?」
ターナーは何かを察したのか、ちょっと怒ったような感じで聞いてくる。
「俺は、寒がりなだけで変温動物じゃない」
と、ひねくれてしまった。
まぁ、いやだといってもつれていくんだけどねぇ
なんて思いながら自分の部屋を後にしてサラさんのもとへと向かう。
「メリル様、どうかしましたか?」
サラさんはいつでもきれいだな、と感心してから
今までのことを話す。
「では、私がメリル様についていくという認識であってますでしょうか?」
やはり、わかってくれている。
「そうです。多分今回は草を取りに行くだけですので、危険はなさそうですからね」
「誰でもいいのですがやはり信頼のおける人についてきてほしいです」
「えっ」
サラさんは驚いた素振りを見せる。
なんか、見たことあるパターンだな。
「どうかしましたか」
と俺は聞く。
「いや、その雪山、ゴーロ山っていうんですけど、ゴーロ山には魔物が出てきますよ」
えーー。魔物なんているのか?
設定があとから出てくるなんてせこくないかこの世界?
「とは言っても、ほとんどは害のないものばっかりなんですけどね」
「いざとなったら私が守りますから」
とサラさん入ってから、壁に飾ってある剣を持ち
ビュンビュンと振り回してほらっと嬉しそうな顔を見せる。
俺の顔のぎりぎりを剣が通る。
いや、こわいよ。
多分サラさんは俺を安心させたいんだろう。
サラさん天才なんだけど天然でこういったことやってくるからなぁ。
と思ったけども
「ありがとうございます、頼りにしてます」
とだけ言って再び自分の部屋に戻り冒険の準備をする。
嫌がるターナーを無理やりずるずると引っ張りながら外へ出るための城門の前へと行く。
そして先に待っていたサラさんと俺たちは合流する。
「じゃぁ、行きましょうか」
そういって俺たちはゴーロ山へと出発した。