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小さなドラゴンは意外とグルメ?

ドラゴンにも、好きな焼き加減があるらしいです

俺は戦場と表現したものの

そこは戦場とは程遠いものだった。


戦場っていうとさ、例えば毒の沼地があって

そこを超えなきゃ、敵に会えないとか。

砂漠で流砂に足を取られる、とかみたいなのを想像する。


でも、今回の場所は全然そういったことはなく

むしろ、足場は盤石、ぬかるみに足を取られるなんてこともなければ

がけ崩れみたいなイレギュラーが起こることもなさそうだ。


そして、その場所で、奴が来るのを待つ。

微妙にそわそわしてくるのを感じ、尿意も感じる。

けど、トイレなんかないから何とか我慢する。


あたりがいきなり暗くなる。

日食か、なんて思ったけども、

そんな予想は全くなかったはずだ。


じゃぁ、

暗闇をもう一度確認する。


角のようなものも見える。


これは…。

ドラゴンのかげじゃないか。


でかい…

でかすぎるぞぉお。

俺の罠作戦が、もうお釈迦になっちゃったよ。


ゆっくりとドラゴンはその自らのいる高度を下げていく。

その降下に合わせて、陰が、ドラゴンのいる地点へと収束を始める。

太陽を覆ってたドラゴンの体が、太陽を隠すのをやめ始める。


ああ、ついにやらねばならんのか

おれは、だんだんとちかづいてくるドラゴンに

心臓をバクバクさせる。

手にはだんだんと汗が染み出てくる。

なぜだか、体温が下がっていくのを感じる・


これが、俺の最後かもな。

なんて考える。


しかし、影は小さくなってるのに一向にドラゴンは降りてきてるようには見えない。


あ、アレ。

ドラゴンまだ来ないの?

遅くね。


っていうか、結構遠いところにいるのか?

近づいてきてるのに、全く大きく見えないぞ。


バサッ、バサッ

羽を上下に動かす音が聞こえ始める。


えっ。嘘っ。

音が聞こえる暗いところまで来てんの?


あっ、俺の前に降りてきた。


ドラゴンは、地上へと降り立つ。

影は大きかったが、そのドラゴンの大きさは小さい。


「えっ、えぇぇええ~~。ちぃっさぁー。ナニコレ。こんな小さいの。

俺の腰くらいしかないじゃん」


そう、ドラゴンは高いところにいたせいで影が非常に大きくなっていただけであって

本体は小さかったのである。


「うわぁ。ちっさいなぁ。なんかかわいいんだけど。ちょっとかわいすぎて触りたくなってきちゃった」


俺は、小さなドラゴンに不用意にも近づく。


「かわいいやつめぇ。うりうり。ほら、つんつんしちゃうぞぉ」


おれは、ドラゴンのほっぺをつんつんする。

ほっぺの部分はよく動かすところということもあって、見た目以上に柔らかく

俺は感動を覚える。


そんな俺に、苛立ちを感じたのだろうか、ドラゴンは俺の手をカプッと噛んでくる。


指先に鈍い痛みが走る。

昔にもこんなことがったような。


そうだハムスターにかまれた時だ。

だから思ったよりはいたくない。


やはり、これだったら俺でもできる。

罠を使っちまえば一発だぞ。


「ほうら、こっちへ来るんだ、おいしいごはんがあるぞ」

俺は設置した罠へと誘導する。


ドラゴンは、罠へとゆっくりと歩みを進める。


こいつ、ほんとにドラゴンか?

警戒心とか、なんも感じられないんだが。


みたいな感じで、現状を楽観的に考え

先ほどの緊張感を忘れ少し舐めた態度をとりだす。


「そのまま、ほら、行ってくれ」


ドラゴンはえさの近くへ行くと、歩みを止め

少し罠の周りを歩き始め観察しだす。


「いけ、いけ」


でも、何か分かったという風にドラゴンは手をポンとたたく。

そして、周りの木を探し、枝を折り、二本の木の枝を持ってくる

そして、あろうことか箸のようにうまく持ち、

自分の体が罠に入らないようにして罠からえさを取り出す。


「いや、おかしいでしょ。そこはガブっと行くでしょ、普通ドラゴンだったらさぁ。

なんで箸をそんなうまく使ってんだよっ」


「しかも、なんで好き嫌いしてるんだ?一番高い肉ばかり取りやがって。

さてはおまえ、グルメか、グルメなのか?」

俺は思わずツッコミを入れる。


そう、あろうことか、ドラゴンは、箸を使い、しかも、特定の肉――それはわが国でとれる一品の肉――だけを上手に取り出している。


これじゃ、罠で捕まえるっていう単純な計画が丸つぶれじゃないか。

どうにか次の方法がなにかないか…?



そんな風に悩む俺をよそに

ドラゴンは取り出し、回収した肉を自分の口から出る炎で

調理し始める。


ここで俺は、理解が追い付かなくなってきたので一旦、

ドラゴンをしばらく観察することにした。




あれ?生のままで行かないのか?

最近はドラゴンも健康とかを気にしてるのか?


あ、肉の表面が程よく焼けてきた、もしやレアで行くのか…?


ドラゴンは、いったん自分の炎を止めて肉の状態を確認する。

焼き色はいい感じで、肉の中央部分にはきれいな赤色が残っている。

肉の焼ける程よい香りが隠れてみている俺のほうまで漂ってくる。

その香りが鼻から入り、脳を刺激し、腹がぐぅうと返事をする。


それくらいが一番おいしいもんなあ。

と心の中で俺はドラゴンに同意をする


しかし、もう一度ドラゴンは焼き始める。


ああぁ。ドラゴンは

ウェルダン派だったかぁ~~


俺はなぜかわからないけど、肉の焼き方を外したことに悔しさを覚える。

ドラゴンはウェルダンが好きだったのか。

と無駄な知識を頭にしまい込む。


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