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せこく、ありきたりな作戦

ドラゴン退治

ついにその日がやってくる。

太陽の強い日差しが大地を照らし、俺の新たな門出を祝うように

町全体を輝かせる。


対照的にいい案が浮かばなかった俺は、卑怯な手で行くことに決めた。

捕まえることさえできればいいんだろ、

と半ば投げやりなスタイルでいくことにした。




ところで、わが王国は、大きな城壁に囲まれている。

父上が国王になる目までは、いくつもの大戦があったらしく

脅威から国民を守るためにできたらしい。

そういった戦火を乗り越えてきたということもあり非常に堅牢な壁だ。

老朽化で、所々にほころびや傷跡が見られるものの、

いまだ現役で簡単には破ることはできないだろうと思える、そんな城壁だ。


そして、その城壁には東西南北それぞれの方向に大きな門がある。

門は本当に大きく、兵士が四人がかりで押してやっと開くくらいだ。

だから、めったなことでは、門は開かないし、国民は王国から出ない。

それは自給自足が成り立ってるから、食料など困ることがないというのも理由だろう。


まぁ、国民の中にも、穴を掘って、ひそかに外出しているものもいるらしいが。

そして、その門の上部には、うちの王国の紋章が大きく書かれている。

父上は

「王家の守り神が書いてあるんだぞぉ~」

なんて小さい頃に話してくれた記憶があるが、

「どんな生物なの?」

なんて聞いたら、

「わしにもわからん」

なんていわれた。


まぁ、確かに俺が見てもよくわかんないんだけれども。

なんかあったらこいつが守ってくれるんじゃないか

なんて俺はわずかながら信じてる。



王国から出発するときには、国民全員が見送ってくれた。

手を振るもの、手を握って「頑張ってください」なんていうもの、で、なぜかわからないけどサインを求めるもの(需要あるのか?)など、様々な人がいたけど、全員応援しようとしているのは間違いないだろう。


俺はヘタレだけど、応援には答えなくちゃいけない。

無理だとしても行かなきゃいけない時がある

と、よくありがちな感じではあるけど自分を奮い立たせる。

「皆様、行ってまいります。立派な姿を見せてまいります」

といったん敬礼のポーズをとってから

その後、手を国民に向けてふる。

そして、門の前に待たせておいた馬車に乗り込む。


馬車の中には先に乗り込んでいたサラさんがいる。

いつもの姿とは違って、動きやすい服装、つまり、騎士の服装をしている。

この服は、サラさんだけの特別な服装になっている。


サラさんは、この国では一番の騎士と言って過言ではない。

そのために父が勲章として、彼女にだけ特別な服装を

プレゼントしたのだ。


とまぁ、サラさんはそんな服装をしているのだが、

どんな服装をしていてもきれいだな、と俺は思う。


「さぁ、目的地へ行きましょう」

サラさんは、強い言葉で、馬使いに指示を出す。

結構強い言葉で命令された、馬使いは、一瞬びくっとしてから

「へぇ」

とだけいって、両手に持った、馬の手綱を、上下に揺らし

「ハイドウ、ハイドウ」

と言って、馬を動かす。


馬たちがヒヒィーンと前へと歩みを進め始める

ゆったりと、馬車は動きを始める。

車や、電車に乗っていたころからすると、かなりおそく感じる。

だからこそ、流れる景色は十分に目で追える。

さぁっと馬車の隙間から入ってくる風が、サラさんの髪を揺らす。



「ほんとに気持ちいいですね」

思わず、心の中で思っていることを口にする。

「そうですね。メリル様の今後を暗示しているようですわ」

とにっこりと微笑みながら返してくれる。



あぁ。そうだった、俺ドラゴン退治に行くんだ。

なんだかピクニック気分になってたけど

あまりにもいい天気だったから和んじゃってたよ。


しっかし、サラさんて天然でいつもきついこと言ってくんなぁ。

悪気はないのはわかるんだけど。

もしかして買いかぶりすぎてない?俺のこと。


馬車の小さな窓から顔を出し、外を見続ける俺にふとサラさんが

「そういえば、先ほど、馬車に積んだものは何ですか?」

と不思議そうに聞いてくる。


俺はよくぞ聞いてくれたというように、ドヤ顔で

「あれはですね。僕の秘密兵器なんですよ」

と答える。


そう、俺の秘密兵器こそ罠だ。

元の世界では罠なんてのは当たり前だったけど

こっちの世界では罠というものはまだないらしい。


どんな罠かっていうと仕組みはいたってシンプルだ。

まず、寺の釣り鐘を想像してほしい。

あれのようなものを、この国でとれる一番固い鉱石から作ってもらった。

そしてそれを、地面に建てた棒の上にのっけて、

その棒にはえさをのっける場所を作って、そこに餌をのっける。

えさを食べようとしたら、罠が覆いかぶさって万事解決って感じだ。

えさには高級なものを使っているからドラゴンも満足だろう。


この世界にはまだ、罠という概念がないから、サラさんには、真新しく感じられたのだろうか。かなり感心している様子で俺の話を聞いてくれる。


「単に剣を振るだけが、力じゃないってことを見せつけてあげますよ」

と、また見栄を張る。


目的の場所には意外と早く着いた。

道は平たんだったし、天気も最高だったから

何の足止めもくらうことなく行動できたのが貢献してくれたのだろう。



時間がなくて大きな罠が作れなかった。

だからでっかいドラゴンが来たら俺の作戦は失敗だ。

小さなドラゴンが来てください。ホントに。

どうにかお願いします。

と祈りながら俺の戦場へとむかう。



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