連れて行って
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淋しいと感じた事が一度もなかったとは言わない。
しかし、だがしかしだ!
こんな、こんなにも愛くるしい兎族を前に……。
ジニア「んー! んんー~!」
これから、B級に上がる為の合同試験があるというのに、連れて行けと頑固に主張する。
ダチェラは、ジニアの面倒がないと仕事に没頭しているのである。
オリホック「ジニ……どうせ帰ってきたらまた忘れているんだろう?」
哀しいような切ないような気持ちに苛まれる、悩めるオリホック。
抱き上げてしまったら、もう出掛けられなくなってしまうからと、忍耐を強いられていた。
オリホック「ジニア。お前を守る為に強く成りたいんだ。だから、私を行かせてくれないかな?」
ジニア「ピギャー」
優しいオリホックが自分の気持ちを優先してくれなかったから、ジニアはとうとう泣き出した。
ダチェラ「うるっせえな。オリー! てめえガキ泣かすんじゃね……お、出掛けんのか」
ダチェラは、ジニアを抱き上げて頭の上に乗せてやる。
ダチェラ「ほら、たんと稼いでこいって手を振ってやれ。ん?」
ジニア「あう、あうっ」
ダチェラ「ほら、早く行って来い。どうせすぐに忘れちまうんだからな」
ニヤニヤするダチェラ。
『クッソオヤジ!』
そう、心の中で言いながら、オリホックは後ろを振り返らずに出掛けて行ったのだ。
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