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オレオレ詐欺にまつわる、極めてくだらない話

作者: 紺野総二

短い実のない話です。

 私は、地方に住む母に電話をする時に、防犯対策として必ず合言葉というか、ある事を強要される。

母親に電話をすると、必然的にラクラク・ホンには私の名前が表示される。

電話に出た母は、もしもしも言わずに「えなりかずきのモノマネ」と言うのである。

 常に「えなりかずき」のマネを強要される訳ではない。

その時その時、アドリブを要求されるのである。

私が「え~っ、イヤだよ」と言おうものなら、電話を切られてしまう。

仕方ないから、もう一度電話をかけると、「えなりかずきの決めゼリフ。さんはいっ」と強要してくる。


 どうしても、えなりかずきのマネをしなければ、次の会話が成り立たない。

したがって、私はイヤイヤ、マネをする。

「母さん、しょうがないじゃないか~っ」

すると、母は「まだ、あんたかどうだか分からない・・・にしきのあきら、やって」と第二の矢を放ってくる。

「え~っ、知らねーよ」

私は面倒臭いと断ると途端に電話を切られてしまうので、しぶしぶ知る限りのにしきあきらの歌マネをする。

しかも、年齢相応に要求も古い・・・。

「え~っ、古りーから知らねーよ」

私は面倒臭いと断ると途端に電話を切られてしまうので、しぶしぶ知る限りのにしきあきらの歌マネをする。

「あいしてる~っ、とても~♪」

「で、何の用?」

評価もないままやっと本題に入るが、イヤイヤとはいえ客観的に、あまり知らないにしきのあきらのモノマネをする私が情けないと思う中、この姿を彼女に見られドン引きされた。

「違う違うっ、マザコンじゃないっ」

彼女に言い訳をしているのだが、母にもこの言い訳が聞こえたらしく、「なんなのマザコンって?」と理由を求められ、二人に何が何だかわからない説明をした事があった。


 一昨日も、母に電話をかけた時、唐突に「ちあきなおみ」と言われてしまった。

「俺はコロッケじゃないんだっ!もっと新しい芸能人とかいるだろうっ」と言い返した途端に、「コロッケが電話かけてくる訳ないでしょ」と電話を切られてしまった。


今度は、どんなモノマネを強要されるのかと思うと頭は痛いが、確実に防犯対策にはなるだろう・・・。




                                      (終)

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