無力な少女
「この形見のペンダントが...」
八生は不思議そうにペンダントを眺める。
手に持っている紅い宝石が付いているペンダントが光を反射して綺麗に輝く。
「それって失踪したお父さんがくれたものでしょ?」
「ああ。俺の父さんが失踪する前に肌身離さず持っていろって言ってくれた母さんの形見のペンダントだ」
「それがどうして...」
「俺にもわからん」
俺は話したので帰ろうとしたら八生に引き止められた。
「どうした?」
「そのペンダント貸して」
俺は買い物に来ていた。
八生はペンダントを調べるのに夢中な様なので代わりに来ていた。
「今日はこれで良いや」
適当に買って帰ろうとすると。
「よっ!偶然だな」
偶然買い物に来ていた田中が声を掛けてきた。
「元気だったか田中」
「当たり前だ。それよりお前の家にテレビ無かったよな?」
「そうだが?」
「なら知らないようだな。実は軍の基地があのデカブツ共によって壊滅的被害を受けて機能していないらしいぞ」
(通りで軍が来ない訳だ)
「みんなもあのデカブツ共がいつ来るかと怯えているらしい。軍が来れないんだから当たり前か...。まっ、とりあえず気おつけろよ宰。八生ちゃんの面倒もちゃんと見ろよ」
「わかってる。じゃあな、田中」
あの正体不明の巨大ロボットの話題で一つ気になる事があった。
(そういえば奴らは何処から来ているんだ?)
今まで考えた事も無かった。
(奴らはいつも何も無い所から現れていた...いや、もしそこに"何か"あったとしたら...)
その時、人の叫び声が聞こえた。
「奴らが出たぞー!!」
奴らは全身銀色で、四角く平べったい板みたいな体に細い手足が生えた姿をしていた。
俺はアパートに向かって走りながら八生に電話する。
「八生!今急いでそっちに向かっているから待っててくれ」
銀板は何かを待っているのか動かない。
そして俺はアパートに着いた。
急いで八生のいる所に向かおうとすると声が聞こえた。
「宰!!」
八生の声だ。
二階を見ると八生が立っていた。
「八生...」
すると八生は何かを投げてきた。
形見のペンダントだ。
「戦うつもりでしょ」
俺は頷く。
「じゃあ、それ持ってあのデカブツを倒して」
「おう!任せろ。」
俺は銀板の所に向かって走ろうとする。
「待って!」
八生が引き止める。
「死なないで...」
その言葉を聞いた俺は八生を安心させる為に笑顔で言う。
「死なないさ」
俺は走り出す。
銀板に向かって何かが白い煙を纏いながら近づいてくる。
そして銀板はそれに反応して動き出すが、白い煙から出た紅い拳で殴られる。
銀板は後ずさる。
白い煙が消え、紅いロボットが姿を現す。
それと同時に紅いロボットを囲むようにいつぞやの銀色マネキンが四体、現れた。
紅いロボットは構わず銀板に追撃をしようとする。
それを止めようと一体の銀色マネキンが後ろから飛びかかる。
しかし、紅いロボットは歩みを止めない。
他の銀色マネキンも飛びかかり、遂に紅いロボットの歩みが止まる。
紅いロボットは銀色マネキンの頭を掴んで無理やり体から引き離すと、振り回して他の銀色マネキンを体から離れさせると、そのまま、掴んでいた銀色マネキンの頭を握りつぶす。
頭が潰れて銀色マネキンは爆発する。
そうしてる間に、銀板の体が光り出していた。
銀板から紅いロボットに向かって一直線に光が放たれる。
紅いロボットは腕で身を守る。
光では紅いロボットを傷付ける事は出来なかった無かった。
しかし、勢いが強く、紅いロボットは後ろに押されていく。
光が消えると銀板との距離がかなり空いていた。
距離を縮めようとするが、銀色マネキンが道を塞ぐ。
紅いロボットが銀色マネキンと戦っているうちに、銀板は筒状の物を持って構えていた。
筒状の物からおそらくミサイルだと思われる物が発射される。
ミサイルは銀色マネキンごと、爆発をした。
爆発の跡には、爆発で発生した煙が充満していた。
紅いロボットの破壊を確認しに、銀板は煙に近づく。
すると、煙からドリルが飛び出してきて、銀板の体を貫通した。
煙の間から銀板を睨みつける紅いロボットの光る目が覗いていた。
紅いロボットは銀板からドリルを抜くと、銀板を蹴り飛ばした。
銀板はなんとか起き上がろうとするが、力尽きて爆発した。
俺は八生のいる家に戻る。
「おかえり、宰」
八生は笑顔で出迎える。
八生が作った飯を食べながら八生に成果を聞く。
「何か分かったか?」
八生はその言葉を聞くと分かったことを教えてくれた。
このペンダントは俺にしか使えないらしい。
そして、このペンダントはかなり硬いらしい。
残念ながら分かったのはそれだけらしい。
八生は食べ終わると外の空気を吸いたいといって、ベランダに出て行った。
(そういえば、奴らが出る前に何か考えていた気がするが思い出せない)
だが、忘れるならそれほど重要な事ではないと思い俺は思い出すのをやめた。
私はベランダで考えていた。
(どうすれば宰の力になれるのかなぁ...)
あのペンダントを調べれば、何か力になれると思ったのだが、収穫は何も得られなかった。
私は空を見上げる。
「今日は月が見えないな...」
空には月は無く、代わりに暗闇が広がっていた。




