虹色パラダイス5
「み、見つけたわよ!」
フロア最前からステージに向かって叫ぶ緑髪の少女。その目は明らかにリサに向けられている。
「だ、誰よ。あんた」
「昨日、広場でレイとアンシャしてたでしょ!私見てたんだから!」
ああ、あの時集まっていた観客の中に。
…てかこれ今ライブ中だよな?自由がすぎるような…やりたい放題じゃん。
「それで次はなに。ステージで共演?ふざけないで!
…私の方が。私の方が、あんたなんかよりこのステージに相応しいわ!」
「はあ?言わせておけば…。登ってこいよ!白黒はっきりさせてやる!」
「お、おいおい。リサ…」
「ハーッハッハ!」
聞いていたシャインが高笑いする。
「面白いじゃねえか!上がってこいよ。奏でたいやつを俺たちは拒まないぜ。」
ブライト君が柵の前まで行って少女を担ぎ上げ、ステージの上に乗せる。
緑髪の少女が連れて行かれるのを、後ろで心配そうに見守る少年。
「おい女。名前は」
「アヤよ。レイとは…腐れ縁ってやつ?一緒のステージに立とうって約束してたのに…誰よこの女」
「ア、アヤ落ち着いて。えーっと、僕たち幼馴染なんだ。
アヤがバンド組んだら一緒のステージでって話だったんだけど。なかなかバンド組めなくて、アヤってご覧の通りの性格だから。」
幼馴染だったんだ。そんなレイ君もお困りの表情で。
うんうんと、頷きながら聞いてるシャイン。なにか良からぬことを考えている顔だ…直感がそう告げる。
「よし。お前らで白黒つけてみな!
…って言いたいところだけどよ。一応ここは俺たちのイルミナスのステージなわけだ。
だから、俺たちの全力の演奏に最後まで耐えた奴が勝ちってことでどうだ?こっちは四人、昨日の比じゃないぜ!」
「…(イルミナスも、このアヤって女もぶっ潰せるって訳ね…)
ふふ!…受けて立つわ。」
「この女がやるなら私もやるわ。」
そういうとアヤさんが背中のケースからミューティアを取り出す。白く輝くそれは、俺と同じ六弦式ミューティアだった。
素早く音を確認し、準備を整えている。
「よーしよし、そっちにはヒナも付けてやるから、三人でまとめてかかってきな。」
(ええ…なんかいっつも俺こんな扱いじゃ…)
ため息をつきつつ、俺はミューティアを構えた。
◆
「さあさあ、そういうわけなんだが、みんな踊る準備はいいかー!」
\Foooooo!!!/
相変わらずイルミナスのファンはノリのいい人たちばっかりで。ふと見るとフロアの向こうの大通りまで人だかりができている…。これだけ大声で騒いでれば当然といえば当然なんだが。
「OK。それじゃいってみよう。」
「「アンプリファイド・シャウティング」」
◆
まずはシャインのターン。
♪見上げた夜空に ぼやけた星
「もう少し」 届かないこと
わかってるのに 繰り返す
夜空にマッチした、綺麗で暖かいリリック。それは攻撃的ではなく、感情を揺さぶって涙腺に響く歌だった。こういう使い方もあるのか…!
♪体が火照って 眠れない
「会いたい」キャパオーバー
この夜の闇 抜け出そう
アヤさんが食らいつく。聴きやすいクリーンボーカル、リサとは真逆の女の子らしい声がフロアを包む。
イルミナスが驚いた顔をしている、どうやら彼女の歌は予想外に効いているっぽい。
「踊れー!!」リサが客を煽る。
♪光線の 様さ 交差 しては そうさ 行き違い
相違 不揃い? 共に奏でたい 想い 忘れない
光線の 様さ 交差 しては そうさ 行き違い
相違 不揃い? 共に奏でたい 想い 忘れない
リサ…!お前は相変わらずだな。
自分の歌いたい気持ちに正直に、尊敬するほど真っ直ぐなリサのシャウトが響く。
♪巡り会えた この瞬間 一瞬なら 全力で
巡り奏でる この刹那 届けよう 光を超えて
仲間の声を聞いて、ボーカル以外のメンバーも負けられないという思いが歌となり口から響く。
息が切れそうになる。イルミナスの演奏に圧倒されたからだけではなく、このフロアの声援と観客の熱気が伝わってくるから。
誰もが察していた…次のサビで決着がつく、と。




