虹色パラダイス3
『ライブ』というと、どういうものを想像するだろうか。
行ったことのある人はピンとくるだろう。薄暗いライブハウスにバンドメンバーを照らすスポットライト。より近くで!と、最前列で揉みくちゃになりながらその歌に聞き入る観客
非現実とも思える、あの空間が俺は大好きだ。
だがここは異世界。
予想はしていたがライブハウスなんてものはなかった。
例えるなら、野外に学校の体育館の舞台を設置したかのような簡易的な会場だった。柵で囲まれているとはいえ、目の前の通りを歩く人から見られ放題だ。
イルミナスからもらったチケットは、この柵の中に入る為のものらしい。
「すごいすごい!こんな広いところでやるんだ。」
大きさは一般的な体育館の6分の1くらいだろうか。キャパ300人くらい。よりわかりにくいかな?
まあつまり駆け出しのバンドとしては贅沢なステージだということ。イルミナスが駆け出しかは知らないけど。
柵の中にはまだ開演の時間まであるというのに、すでに200人ほどの観客が今か今かと、開始を待ちわびている。
そのどこを見ても女女女…。男性アイドルのコンサートだなこりゃ。しかもほとんどがハーフパンツのところを見るとフィッキ族が多数を占めているようだ。寒いのにご苦労なこって。
「俺たちも入ろっか。」
リサがチケットを袋から取り出し、係の人に見せる。すると受け取ったとたん、俺らとチケットを何度も見比べる。
問題発生…?と思ったその時。
「こちらへ」
なぜかステージの裏へ案内される俺ら。表情が?になり、リサと顔を見合わせる。
案内されたのは、テントが張られた楽屋のような場所だった。
「お、来た来た。」
レイ君が椅子から立ち上がり、俺らを中へ招き入れる。よっ!っとシャイン。
「何仕組んだのよ。」
「話があったからよ。チケットに魔法でちょっと細工をな。」
「さっき言えばよかったじゃない」
「忘れてたんだって」
リサとシャインは相変わらずだなあ。
「は、はじめまして。」
俺がそう言ったのは、初めて見る人がいたからだ。
綺麗な白髪…。
思わず見とれてしまうくらいの銀色に輝く髪に、黒縁の眼鏡をかけた青年。それとその後ろで煙草をふかす黒髪短髪の無愛想な人。おそらく残りの2人のメンバーだろう。
先に話しかけてきてくれたのは、銀髪眼鏡君だった。
「はじめまして、僕はコロナ。二人の話はシャインから聞いてるよ。シャインがメロメロなんだってね。」
「コロナてめー。あとで覚えとけよ。」
リーダーのはずのシャインの扱いにちょっとツボる。
煙草の火を消し、立ち上がってこちらへ近づいてくる短髪君。
…で、でかい。俺が縮んだせいもあるかもしれないが2メートル近くありそうだ。
「俺はブライト。よろしくな」
そう言ってリサに右手を差し出す。
「…よ、よろしく。」
リサが子供に見えるほどの身長差に、握手するその手が少し震えているように見えた。
一瞬だったが、体をビクッと震わせるリサ。何が起きたか分からないがブライトを睨みつけている。
「…何したのッ!」
「!! ブライトお前、初対面の人の魔力を量るのはやめろってあれほど!」
「はぁ…またか。ブライトはね、触れた相手の魔力とか力量とかを感じ取る能力に優れてるんだ。ごめんね不快な思いさせちゃって。」
代わりにレイ君が謝ってる。
ブライトはというと、不敵な笑みを浮かべていた。
「…お前相当デキるな。戦える日が楽しみだぜ。」
「…へえ。わかってるじゃない。」
バチバチッと火花が飛ぶのが見える。
一悶着あった後。改めて名前を名乗り、自己紹介を済ませる。
「さーて、それじゃ本題だ。」
シャインのセリフで思い出した。リサも同じようだ。
「そうよ。なんなの話って」
「実は今日のライブ、なーんか面白いことやりたいなって話になってよ。」
「お前ら、スペシャルゲストとして出てくれねえか?今日のライブによ!」




