犯人
初投稿です。
本当に短いですが、読んでいただけるとうれしいです。
気が付くと、日間推理ランキング3位に入ってしました!
ありがとうございます!
「犯人はこの中にいる!」
そう高らかに宣言したのは小柄な少女。パイプはもちろんのこと、探偵を想起させる帽子やコートは身につけていないが、状況と彼女の言葉を考えてみればこの場において彼女が探偵であることは確かだろう。
さて、そんな少女探偵に容疑者候補として挙げたのは三人。
容疑者候補Aは頭から足にかけてをオレンジ色に染めたファッションをした体型が細めの者。
Bは中途半端に日に焼けたのか茶色い肌に丸い顔をしており、目つきのせいかどこか粘ついた雰囲気のある者。
最後にCはゴツゴツとした顔立ちに見るからにガッシリとした体型をした者。
少女探偵の言葉に何一つ反応しない容疑者達を見て少女は事の顛末を少女らしくない口調で語り始める。
「事件はほんの十分程前にこの家で起きた。被害者はカレーライスを食べた際に喉を抑えて苦しんだ後倒れた。命に別状はないものの意識不明の重体だ。詳しいことは分かっていないが、原因は恐らく毒の可能性が高い。」
ここで一度話を切り、容疑者達の顔を一瞥すると大きく息を吸い込んで再び話し始めた。
「さて、ここからが本題だ。そう。『誰がやったのか』ということだ。カレーライスに混入することができたのはこの家の中にいた者だけ。──つまり、君たちの中にいるということだ!」
少し考えてみれば当然のことなので、少女探偵の言葉に容疑者達は何を言うわけでもなく、続きを言えと言わんばかりの沈黙が訪れる。その沈黙に耐えかねたのか、少女探偵はさらに口を開く。
「今ならまだ間に合うぞ?殺人未遂に終わっているし、自白すればもっと刑罰は軽くなる。」
暫く時間が経つも、少女探偵の呼びかけに誰も応じないため相も変わらず沈黙が続く。どうも少女探偵は気が短いようでため息を一つ吐くと沈黙を破った。
「非常に残念だ。私には犯人が誰なのか既に分かっているというのに。それじゃあ、ズバリ言い当ててあげましょう。犯人は──あなただ!」
「いや、どう考えてもお前だろ!」
少女探偵が決め台詞と共に容疑者候補Bを指した瞬間、背後から声がした。
「む?この声はおにーちゃ……被害者じゃないか!無事でよかった。」
どうやら声の主は少女の兄なのだろう。兄はため息と共に髪をポリポリと掻くと呆れたように少女に対応する。
「誰が被害者だってんだ、あまりのカレーの酷さにトイレに篭ってただけだろうが……ったく、カレーに納豆なんて入れんじゃねーよ。」
「私のせいにしないでよね!悪いのは納豆なんだから!」
「そもそも納豆を入れたお前のせいだろうが。」
口論の末に少女は口で勝つことを諦め、「ごめんなさーい。」と謝った後、笑顔でぺろりと舌を出した。
その後すぐに兄から戒めの拳骨が少女の頭に落ちてきたのは言うまでもない。
しょうもない話でしたが、どうだったでしょうか?
個人的にはカレーライスという言葉が出た時点で容疑者候補三人の正体に気づかれてしまったのならば僕の負け、といった感じの作品でした。
ちなみに容疑者候補Aは人参、容疑者候補Cはじゃがいもでした!