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ゼノはジークをハントすることにした

前の話の続きです。

戦闘シーンはバランスがすごく難しいです。


*一部修正しました。

 ゼノと向かい合っているジークは、彼我の戦力差を感じざるを得なかった。

 スキが全くない──ジークよりも少々大きめのロングソードを肩に乗せ、構えとは程遠い。

 それでも不用意に切り込むのは躊躇われた。

 

 睨み合いが続くか、と思われたその時──


「──ッ!?身体強化フォースアップ!」


 ジークが避けられたのは全くの偶然だった。

 まばたきをして、ほんの刹那の間ゼノから目を離したスキにゼノはジークの視界から消えた。


「おお!今のをよけるか、誇っていいぞ。初見で対応できたのはそんな多くねー。これはそういう技だ」


「一体なにが……」


 ジークは混乱した。いつの間にか離れていたゼノが目の前で剣を振り下ろしていたからだ。


「さあな……始めたばっかで、答え合わせにはまだ早ぇ。来な」


「……それもそうですね。行きます!魔力付加アームズコート速力強化スピードアップ!」


 ジークはゼノに切り込んだ。

 しかし、その大柄なゼノはその見た目に反して、繊細にジークの剣に対応した。

 時に受け止め、時に受け流し、時にかわし──そんな攻防がしばらく続き、


「はぁ、はぁ、かすりもしない!」


「どうした?その程度か?だとしたら期待外れだぞ〜」


 息を切らせたジークに比べ、ゼノは汗ひとつかかずに涼しい顔をして手招きしていた。


「なら、これはどうだ!──防いだ!?」


「お、今のはいいな。並の奴なら一発アウトだ。でも残念、俺は並じゃね〜」


 ジークは切り込むと同時に的当てと同様に魔力刀を伸ばしたが、防がれてしまった。


「そんな!魔力を防ぐには……って、まさか!?」


「気づいたか?俺も魔力で剣を覆っていたぞ。それも最初から」


「そんな前から!?」


 ジークが驚くのも無理はない。

 煌々と光るジークの剣と比較して、ゼノの剣には一切の魔力光が見えなかったからだ。


「ほれ、油断しない」


「がっ……まだだ!」


「お、次はなんだ?もっと来い」


「ハッ、──閃光フラッシュ!」


「何っ!?──な〜んてな!」


「──ッ!?」


 ジークのフラッシュによる目潰しはあっさりと防がれた。タイミングとしては申し分なかったが、それ以上にゼノが上手だった。

 ちなみにジークは竜騎士時代にも日を背にした目潰し戦法を使っていた。

 え、汚い?違いますよ、戦術です。


「狙いは悪くない。だが閃光フラッシュのとき、自分でそれを避ける動作は減点だ。お前は不自然なくらい両目を瞑ったぞ。それまではそんな仕草をしてなかったから、余計に警戒してくれって言ってるようなものだったぞ?」


「えぇ〜、そんなところまで気がついてたんですか……」


「まぁ、相手の五感を削いで戦力を下げるって方向は間違ってない。特に格上の相手には積極的にやるべきだな」


「いや、あっさりと防がれたんですけど……」


「そうだな。次はもっと上手くやれ。……ほら、どんどん来い!」

 

 決まったと思われた策を難なく打砕き、その上、未だ全力とは程遠いゼノにジークは素直に尊敬の念を抱いた。

 

 だが、それと同時に悔しいと思った。片手で「カモンカモン」と挑発しているにやけ顔に一発かましたいと、そう思った。


「ゼノさん……次、本気でいきます──」


「ほぅ……」


身体強化大フォースバースト!!」

 

 身体強化を最大まで引き上げたジークは突撃した。


「ただ強化すればいいって──ッ!?」


固定スタグネートーふっ飛べ!ゼロインパクトッ!!」


 そして、放出せずに固定化させた魔力を零距離で一気に解放した。

 簡単にいえば、手に持っていた爆弾を相手に押し付けて爆発させた。

 

 ジークの魔法は射程こそ稼げないものの威力だけならそれなりに高い。

 さすがに無傷ではいられまいと思ったが──現実は常にジークの想像の上を行く。


「いや〜今のはマジでやばかったぞ?なるほどな、身体強化大フォースバーストは自分も爆発に巻き込まれることを想定してか……よし、大体わかった。そろそろ終わりにするか。少し本気でいくぞ?」


 そういうとゼノはそれまでとは打って変わって両手で剣を持ち、正眼に構えた。

 そして一撃──ジークは強い衝撃を受けると意識を失ったのだった。

 ジークにはその一撃が全く見えなかった……

 


ゼノside──────

 

 俺は退屈していた。

 

 13のころだったか……初めて冒険組合に登録してから30年。

 たまたま寄ったハックエストで今の嫁と出会って、事実上の引退をしてから3年。

 もう結構長くやってきたと我ながら思う。

 

 これでも1級の肩書きを持っていたから、引退するときに支部長から「後輩を育ててみないか?」と誘われた。

 それも面白そうだと思い引き受けたが、なんていうか……期待外れな奴ばかりだった。


 新しく入ってくる奴らはどいつもこいつも魔法の威力にばかり頼っていやがった。

 的当てはいいだろう、動かないからな。だがその後の模擬戦は、ひどいもんだ──魔法頼りのゴリ押し、無駄に威力の高い魔法のタメでスキを晒す、他にも挙げればキリがねぇ。

 しかもそういう奴らに限って助言に耳をかさねぇ……「魔法が当たっていたら勝てた」ってバカじゃねぇの?

 どんなに威力が高くても当たらなきゃ意味ねぇんだよ。

 しまいりゃ、「1級だった人に勝てるわけない」ときたもんだ。 

 そんな奴らには漏れなく10級をプレゼントしてやった。


 そんな退屈な日々が続くんだろうな〜ってうんざりしていたら、小僧──ジークが組合に来た。

 いつものように試験官として模擬戦として呼ばれたから広間行ったら、ちょうど的当てをやるところだった。

 『今度はどんな魔法で自慢してくんのかな〜』って思ってたら……

 あいつ、的に剣を使いやがった!

 いや〜思わず、顎外しそうになったぜ。しかも、その理由がまた良かった!

 初めは見栄かと思ったが、気配を消して近づいて盗み聞きすると、自分の欠点と向き合った結果ときたもんだ!

 

 つい後先考えず、突撃しちまった。そんでアネットに怒られた。

 ……なんで女ってのは、嫁もそうなんだが怒るとあんな怖いのかね?

 

 ああ、話がそれた。

 それからジークと模擬戦をやる事になったんだけどな……あいつ見所あるわ〜!

 初撃は避けるわ、一撃一撃きちんと考えて打ち込んできやがる。

 

 何よりあの目がいい。ああいう奴は強くなる……しかしどっかで見た事あるような……どこだっけ?いや、それよりもだ。

 

 目潰しなんかしてきた奴初めてだし、最後のなんか俺に本気で防御させやがった。

 楽しくなっちまって、つい俺の必殺技──今回は「必ず殺さないように手加減した技」──を出しちまったよ。

 しかも無意識だろうけど打点をずらして威力を殺しやがった……まだ荒削りだが、鍛えれば相当……

 

 よし、こいつは俺が鍛えよう!

 そうと決まれば──


「──やり過ぎです。だいた……ちょっと!ゼノさん、ちゃんと聞いてますか!?」


 とりあえず、アネットの説教早く終わんねぇかな〜……

 いいかげん足がしびれてきた。

 あ、ちょっと待てアネット、足をぐりぐりすんじゃねぇぇぇ!!


一人称に挑戦してみました。


バーストエンドの元ネタはテイ○ズオブ○クシリアのフレ○ボムでした。

→コメントで「別作品で、原理もほとんど同じ名前の技がすでに使われているよ」とご指摘いただたので、ゼロインパクトに変更しました。さすがにゴルフクラブと同名だけどセーフですよね?


stagnate (沈滞する、停滞する)→ 止める → 固定スタグネート

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