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第二話 重なる道、決意の夜

読む専から書き手側になると作者の方々の筆速にびびりますよね。

私なんてにわか物書き続けてきたせいで遅筆です(笑)





「ん、こんなご時世だ。特になにもないところだが上がってくれ。」


 色々と聞きたいことはあるがひとまずは良いだろう、上がるように促す。

 

 今夜は降りそうだ、野宿なんてさせられないし拒否する理由もない。何よりも寝覚めも悪くなるしな。


 工房の脇を抜け居住スペースのリビングへ。


「適当に寛いでくれ、俺しか住んでないからな。飯作ってくる。」


「あ、ありがとう。」


 こういうのって親切すぎると警戒されるんだっけか?と、とりとめのないことを考えながらキッチンに立つ、お師匠が一番使いやすいと豪語していた古い型のシステムキッチンだ。


「確か燻製肉がまだあったな、野菜は昨日収穫した奴があるし、煮込みでいいか。」


 工房裏手の簡単な畑は崩壊後真っ先に作ったものだ、自給自足出来る事に感謝が尽きない。


30分後...。


「お待ちどおさま。ちょっと奮発しちまったが遠慮せず召し上がってくれ、お嬢様。」


「うわっ!すっごい!もしかしてお兄さんお金持ち?あとお嬢様はやめて、文遊恋歌(ふみあそびれんか)よ。こんなナリだけどこれでも23歳よ。レンって呼んで。」


 食事効果で空気が弛んだのか口調がくだけたものになっていた。


「おっとそれは失礼。俺は月影鳳火、25だ。好きに呼んでくれて構わないぞ。早速だがレンはどうしてこんなところに?その綺麗な蒼髪をみるにインペリアの住人だろう?わざわざこんな情勢のペルフェトに来る理由が分からないんだが。」


 実際インペリアも危機的状況と言えばそうなのだがそれならなおのことこちらに来る理由もない。避難という選択肢にしても荷物が少なすぎる。


「一時期こっちに住んでいたの、と言っても崩壊前の話なんだけどね。私は所謂魔法使いなんだけどこっちにお師匠様がいて二人でお店をやっていたの東雲魔法店って言うお店。」


 その店名には聞き覚えがある、港都ヨコハマにある魔法系統の便利屋だったか。


「じゃあレンはその師匠に会いにヨコハマへ行く途中なのか。」


 表裏転位陣(ポータル)。両世界の行き来を可能にする魔方陣。世界中に一番(ウーヌス)から二十番(ウィーギンティー)まで存在している。確かにヨコハマへ行くならトウキョウ中心部にある第三転位陣(ポータルトレース)からが一般的なアクセスルートだ。


「あ、お師匠様今は行方不明なの。手掛かりが無いかと思ってお店まで行こうと思っただけだよ。」


 そう言って切なそうに目を伏せるレンの姿はお師匠が居なくなった直後の自分の姿とダブった。


「そか。悪いこと聞いちまったな。」


「ううん。鳳火は悪くないよ、気にしないで。」


 とは言うものの俺が地雷を踏み抜いちまった事実は変わらない。俺と似た境遇のレンも放ってはおけないしな。


「乗り掛かった船だ、丁度俺もヨコハマには用があるし送ってってやるよ。」


「良いの?ありがとう。正直崩壊後のこっちは初めてで無事行けるか不安だったんだ。」


 雲っていたレンの顔は明るさを取り戻し手の止まっていた食事も進み始めた。


「朝から出るからゆっくり休むと良い、風呂はいつでも入れるようにしておく。」


「何から何までありがとね、鳳火。」


「困ったときはお互い様だ。気にすんな。」


 久々の会話のある食事を終え就寝の準備を始めた。寝室のベッドをレンに譲り俺はソファーに毛布一枚で横になる。崩壊以降は気候がほぼ変化しなくなった。寒くも暑くもなく季節もなにもあったもんじゃない。時期的にはもう夏なんだが。


「お師匠、俺はレンの力になってやりたいです。まだまだ未熟者の俺ですが、お師匠が去ったように俺のこれからを生きていく理由のなるのかもしれません。自分自身この心境に半信半疑なんですがね。」


 やはり虚空は何も返さずに静まり返っている。


「お師匠の最後の刀お借りして行きます。」


 お師匠の失踪前に打ち上げた最後の作品である短刀を懐に忍ばせゆっくりと眠りへと落ちていった。

次の第三話はなるはやで上がる予定です。

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