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休話
これは僕らが小学二年生の時の話。
僕には生意気な弟がいた。名を、臼井へいた。思えば、あいつはよく怪我して入院してたっけ。
まぁだから、もともとあった生意気な態度か、もしくは入院ばっかしで、まともに僕と遊んでいないからか、僕の事をお兄ちゃん、なんて呼んではくれなかったのだ。ケン、と呼ぶのは、当時、近所のガキ大将だった聖夜の影響だろうか。
そんなある日。弟が退院してその二日後。僕は、いつも一緒に遊んでいる友達の所に、弟を連れていった。とはいっても、すでに病院やその他の場所で、その友達と弟は面識があったが。
僕らはいつものように遊んでいた。弟の事を気遣いながら、それでもハチャメチャに、元気いっぱいに。
だが、今はもう弟はいない。
その時からもう弟には会えない。
僕は、もう一生、弟に『お兄ちゃん』と呼ばれない。呼ばれなくなってしまった。
そう、思っていた。
『ああ、もう僕は兄のことを、お兄ちゃんと呼べないんだな』
甘えたかった。もっと話がしたかった。
また、会いに――-




