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バレンターイン

「バレンタインですな……」

これは中学三年生の時のことだった。

そのひ、せいやは言ってはならない禁句を言ったのだった。

「まぁお前ら落ち着け」

「うるぜえ”え”え”え”お前はどうせいっぱい貰ってんだろぉぉぉお!!」

「へいじがこわれた!」

「いや、俺は一個ももらってないんだ」

「………え!?」

あの……人気者の聖夜くんがひとつもチョコをもらってないだと!?

「いや俺は別にチョコの話をしようと思ったわけじゃないぞ?」

「……何が言いたい」

「だから言っただろ、れい。バレンタインですな、と」

ほう……つまりチョコ以外のバレンタインの話をしようというわけか。すまんが僕にはひとつももらえなかったから拗ねてるようにしか見えない。ちなみにここにいるよ人はまだ誰一人としてもらってない。

「バレンタインといえば……やっぱりあの人の誕生日だな」

「……ヒロシか」

「いや違う」

「は○めしゃちょーにゃ」

「違うな……」

「聖バレンティヌスとかいうんじゃないだろうな」

「全然わかってねぇなケン」

なぜ僕だけ罵倒されるんだ……

「そうだにゃ……小神あきらとかにゃか?」

「いや……違うなぁ」

「……やはりリゼちゃん」

「そうだけど!違うんだよ……」

「まりもっ〇り?」

「けん、冗談はいいから。ボケんのなしだわ」

「いやマジでまり〇っこりの誕生日だかんね?二月十四日」

「嘘だ……(カタカタカタ)マジやん」

「あとは……ゼノヴィアとかにゃね」

「ハイスクールDxDな」

「……フレデリカたそ」

「アイマスな」

「ひめすぺっちとか」

「お前なんでたまごっち知ってんだよ!!笑うわ!」

お母さんがすごい見てたんだよ……笑えねぇ。

「作者だよ!作者!この世界の創造主である天野星の誕生日なんだよ今日は!」

「「「え"え"え"え"え"え"え"え"え"」」」

「驚きすぎだろ!」

「いやだって、びっくりしたから……」

「俺はお前らの2月14日についての知識量にビックリしたわ!」

やんややんやと騒ぐ僕達。結局その時チョコの概念は頭からなかなっていた。


※零の場合

結局学校にいる時はもらえなかった……。正直作者とかどうでもいい俺にチョコをくれ……頼む……あいつらと同レベは嫌だわ……せめてひとつぐらい……あ、俺んちついた。

「……うおっ」

「あっ!零先生!あなた宛にファンのみなさんからチョコ届いてますよ!ま、中にはキャラあてもあります、がっ!」

「……これ全部?」

「そうなんっすよー、モーわたしゃつかれました!担当変わりてぇー!これ毎年続くんすか?」

「……いや、今年は異常」

「あー良かったー!流石にこれが毎年来たら怖いっすもんねぇー」

……食べ切るのに半年はかかったという。


※丙而の場合

「チョコ?」

「はいっ!私へいじさんのファンで!」

「いらんにゃ」

「ええっ!!!(ガーン)」

「気持ちだけにゃ~」

「あ、え、あ、その………えぇー………」

……………………………………。

俺は一人からしかもらいたくない。


聖夜ファンの場合

「今年もこの季節がやってきた」

『はいボス!』

「馬鹿な1年共は聖夜様にチョコを渡すだろう」

『阻止せねば!!』

「そうだ!聖夜様はみんなのもの!」

『抜けがけは許さない!』

「抜けがけをしようとしてる奴がいたら、即刻コロせぇぇぇえええ!!!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

「ボス!何者かが聖夜様に近づいてます!」

「なにやつっ!」

「お~い聖夜~」

「あれは……健一さんですね」

「健一さんかぁ」

「聖夜これ友チョコ」

『!?』

「おっサンキュー!…ん~んまいっ」

「……ボス、涙が止まりません」

「彼は……特別だからしょうがないのよ」

『臼井健一になりでえ"え"え"え"え"え"え"え"え"!』

※聖夜ファンにとってケンは憧れの人に付きまとうゴミではなく、憧れの人に認められた神の子(習うべき人)なのである。


※健一の場合

「あ、あのっ!」

放課後。

薄暗くなった廊下で誰かが僕を呼び止める。

「よよよ良かったらこれ!」

振り返った途端差し出されたそれは、丁寧にラッピングされた箱。今気づいたが、その箱を渡した彼女は同じクラスの女子生徒であった。

「これって……もしかしなくてもバレンタインチョコだよね、ハハ……どうしよ」

正直このような場面はこれまでもたまにあった。もちろん受け取って、お礼をしてたのだが、この女の子はあの顔だ。

僕に恋をしている。

「受け取って……くれますか?」

ここで受け取ったら、彼女はこれから僕にしつこく迫ってくるだろう。これから受験シーズンになる。本当に申し訳ないが、かなり邪魔になりそうだ……

「アハハ……えぇと………」

返答に困ったその時。廊下の奥から足音が聞こえ始めた。

「あれ?誰かきたってもう姿見えてうわ足はやっ!あの子足早くねこっち来た!!うわ全速力あれ後からも来てねうわみっちゃ人来てんじゃん!!と、とにかく逃げよう!」

「え、あ、いや、あの人達私の知り合ーーー」

「ちょっと未華子!あんた聖夜様押しじゃなかったの!?」

「抜けがけは許さないって言った途端に神の子を好きになる人は昔からいたのよね」

「あんたそれは……違うじゃん!なんか違うじゃん!」

次から次へと取り囲まれてしまう未華子さんとやら。

「ちょ、ちょっとちょっと!」

「…………ア゛ア゛?」

「あ、いや……。んん”ん”。その、事情はわからないけど……さぁ。彼女は僕のことほんとに好きになってたんだよ。人を好きになるのってさ、若い頃は結構簡単に出来るんだよ。まぁあの、だからあまり彼女のことを責めないでほしいかなー……なんて」

シーーんと静まり返る辺り。あ、あれー?ちゃんと伝わったかなぁ。

しばらくみんな棒立ちになってたけど、結局、おってきた人達と一緒に帰ってしまう未華子さん。

頬が赤いのは夕焼けのせいに違いない。

うん、違うね。はい。完全に落としちゃったねうん。ごめん未華子さん、僕にはまだまだ恋はいらないよ……!


※サイドストーリー

「私は作らないわ」

「夜宙がそうならわたしもー」

「や、看世化は作ってもいいのよ?」

「私はー、そらちゃんに譲ったのですよぉ?」

「私が作らないといけない系ジャンそれ!」

「まっ、私も頑張るから一緒に作ろー?」

「しょ、しょーあないあねーーえへへ」

「やそら、かお、かお」

ー1時間ー

「これはあげない方がいいわね……」

「なんでこんなものが生まれちゃったの……?」

二人が料理していたのはチョコである。

……出来たのは卵かけご飯であった。

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