休話3
―七月
ここのところずっと雨が降っている。ちなみに私の誕生日は七夕。この分だと七夕の日も雨っぽいな……どうしよ、誕生日なのに。
え?小説?何だかもうめんどくさくなってきちゃったよ。こんなこと言ってしまったら私はもうだめかもしれないけど、やる気が出なくなってしまった。
雨のせいか気分が沈む。どうやら日本には台風が近づいているらしい。ザーザーt窓の外で降る雨が、心の泥を洗い流せばなぁ。なんだこれ、ポエムか。
「まいったなぁ」
授業中にもかかわらずそうつぶやいたのは私ではなく隣のモブ子。私以外の誰もそれを聞きとれない様な小さな声だったが、確かにそう言っていた。と言うか、ぶっちゃけ私もそう思う。
まいったなぁ……帰り道、どうやって帰ろう。
「よしやるぞやるぞやるやるまんだぞ‼‼」
今日という今日は新しい何かを書いてやるよ‼‼頑張るまんだぞ‼‼
―ピンポーン
「はっ!」
今、何時何分だ?眠ってしまっていたから分からない!
「げっ、もう一日過ぎてるじゃん!しかも夜だし‼」
結局私は家に帰ってから小説を書いてて、昨日の晩、ずっと小説を書いていて、そして今までずっと眠っていたのだろう。
―ピンポーンピンポーン
「はいはいはーい」
チャイムがなるので玄関に向かう。
「はいはい?おや、けんいち」
「やっ、みせか」
こんな雨の夜に来たのは誰かとドアを開けてみると、我が幼馴染健一だった。
「こんな雨の日に何の用だい?」
「ちょっと来てくれよ、みせか」
……何かいやだなぁ。家に残ろうかな。
「なぁー目的くらい話してもいいだろぉー!どこに行くんだよぉー!」
雨の中私は叫ぶ。結局私はかっぱを着て、自転車に乗らず、台風が近づいてるにもかかわらず健一と外に出てしまった。向かっている先は……方向的には山の方か、これは。
「もうちょいでつくから‼あ、聖夜、待った?」
「待ったわボケ!雨降ってる中待たせるなんてお前どうかしてんじゃねぇかぁ‼」
向かった先には、先に来ていたのか、案内された公園には聖夜が。
「なぁいったい何をおっぱじめようとしてるんだ?クッソ、こんなに外振ってるなら家の中でおとなしくしとくんが良かった」
「大丈夫だみせか!じきに晴れるさ!よし、そしたらこのまま山を登るぞ‼」
「もうやだよー!まだ登るのー‼」
正直、もう私の足は棒になっていただろう。それでも必死にペダルを踏み、ちゃんと二人について行くあたり、私は流されやすいのかもしれない。
雨が強くなってくる。
「―――――‼―――‼」
「え―!?なんだって!?聞こえないよ‼‼」
「この雨はちょっとヤバいかもっていったんだよ!!」
すでにケンの声が雨にかき消されるほどの雨。まぁそりゃ雲に突っ込んでいるようなもんだからな、今の私ら。
「よし、もうちょいだ‼計算通りだぞ健‼」
先頭を走っていた聖夜がそう言ってラストスパートをかけた後、私らはようやく山を登り終えたのだった。
「暗くて分かんないけどここが多分山頂だ‼‼クッソまだ時間じゃねぇ‼」
チャリから降りた聖夜はかっぱのフードを脱ぎながらこっちに拠ってくる。私らもチャリを乗り捨てるようにして降りた。
「何分だっけ!?聖夜‼‼」
「後2分‼‼」
ケンと聖夜は私をおいてけぼりにして話を進めている。もう帰ろうかな。理由も全然教えてくれないし。
「お、おおおい!!!どこ行こうとしてるみせか!チャリから降りろ‼」
「うるヘー聖夜‼‼わたしゃもう帰りたいのよ!雨だって強くなって……今はそうでもないけど‼‼もう家に帰りたいのよー‼」
「落ち着いてくれみせか。後一分。なるべく目をつぶって待ってくれ」
こ、この男……‼こんな夜中に女の子連れて来て(家に来たのは聖夜ではない)言うにことあろうか眼を閉じろだと!?この状況でか‼こんな山奥でか‼‼
「チックしょー腹立って来た‼‼いいよじゃあ逆に目をつぶってやろうじゃねぇか‼ほうら!これでいいんだろ!!ほら!さぁどうした!○○○でも●●●●でもやってやろうじゃねぇか‼」
「何言ってんのお前!?ちょっとけん、みせかが壊れたどうにかして‼‼」
「聖夜はそんなことを言いだしいているが、私は決して壊れたわけではないので安心して頂きたいのだがケンくん!どこにいる!?」
ちゃんと目をつぶって、さらに自分の両手で目をふさいでいる私は、ケンに助けを求める。なんせ自分がどちらを向いてるかもわからない状態だ。
「みせか、肩触れるよ」
ポンっとおかれた手は、雨が降っていたにもかかわらず一切べっちょリしてなくて逆にそのせいで分かっていてもびくついてしまった。
「こっちのほうがよく見えるよ。そのまま歩いて」
ケンに後ろから押されるようにして歩く私。あ、ヤバいドキドキして来た。
やっぱりけんって優しいな。聖夜と比べちゃあれだけど、それでも私の知ってる中でダントツに優しい。ノリにも付き合ってくれるし、面白いし……あー好き!
「いいよ、目を開けて」
眼を開くと―――――――
「うわぁぁ……………すげぇ…………………」
「どうだ、みせか」
後ろを振り向くと、そこにはかっぱを脱いだ聖夜とケンが笑顔を見せていた。雨はすっかり止み、雲もどこかへ行ってしまったようだった。
「僕達からの誕生日プレゼントは、これだよ」
そう言ったケンが指さすのは。
満天の星空だった。
そして私は翌日風邪をひいたのだった。
いや風邪ひくんか―い!ってね。何と七月になってしまいました。はっや!五回目にして七月!はっや!まだ本分の方は夏休みにも入ってないのに!つーか今何月何日なんだ!




