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9.走れ!

 こんにちは、葵枝燕です。

 連載『救いたがりの死神』、第十話「9.走れ!」をお送りします。

 五ヶ月ほど前に投稿した前話もそうですが、今回も投稿するのに迷っていました。いや、今この段階でも、まだ迷っています。ですがやはり、迷ったところでどうにもならないと思うので、とりあえず送り出します。読み返しつつ改稿するでしょう、多分。それに、「二〇一七年中の完結」を今年の一月に掲げている手前もありますし。

 それでは、どうぞご覧ください!

 出発までまだ充分時間はある――と思った朝の僕に言いたい。そんなわけないだろ!

「こんなことなら、さっさと受付に行くんだったぁ!」

 人目も(はばか)らず叫びながら通りを駆ける。一直線に続くその道の向こうに、この世界と人間界とを繋ぐ扉を管理する建物はあった。そこで受付をしないと、僕達死神は人間界に行くことができないのだ。

「出発の一時間前には受付とか、何で説明見落としてんだ、僕の莫迦(ばか)ぁ!」

 書類には全て目を通したはずだったが、受付に関することは流し読みしてしまっていたらしい。書類には確かに〈受付は出発時間の一時間前には済ませること〉という文があった。出発予定時刻の一時間四十五分前にその文に気付いた僕は、今慌てて向かっているという状況だ。受付所のある建物から自宅まで、走って三十分はかかる。ギリギリ間に合うか、という感じだった。

 これが兄にバレたら、(げん)(こつ)だけでは済まないかもしれない。いや、僕だけがどうにかなるならいいけど、兄にまで迷惑がかかるのはいやだ。部下の失態は上司の責任、だというなら兄は色々な意味で僕の失態の責任を取ることになるはずだ。それは駄目だ。絶対に、駄目だ。

「本当しっかりしろよ僕!!」

 叫びながら通りを走り抜ける。頭の中では、ひたすらに「僕の莫迦」という言葉が回っていた。確かに前には進んでいるはずなのに、何だか一歩も先に進んでいないような、そんな変な感じがしていた。

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