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プロローグ
こんにちは、葵枝燕でございます。
新連載『救いたがりの死神』、始めていこうと思います。もっとも、今回はプロローグなので、本編に入るのは次話からとなります。
無計画なので、どう終わりを迎えるか見当もつきませんが、どうぞあたたかく気長に見守っていただけるとうれしいです。
彼女を見ていた。
つまらなさそうに町を見下ろす彼女を、退屈そうに空を見上げる彼女を、ずっと見てきた。
それでも、これは変えられない。僕では、彼女を救えない。
細すぎる手足、白すぎる肌――そのどれもが、彼女の命の残量を告げている。そして僕は、その正確な残量を知っている。
変わらない事実と、救えない命。
その生を終えようとする彼女と、彼女の命を刈らねばならない僕。
僕では彼女を救えない。それはもう、ずっと前から知っている。僕には、彼女をどうこうすることはできない。
ましてやその命を長らえさせるなんてことは、できるわけもなかった。