一-四
No.10
今、少し寂しい感じの通りを歩いている。ここは昔家族で来た。横には私の友人が歩いている。私はこの人の名前を知らない。夢で一緒に遊んだことがある。中学生かな。
「昔の遊びをしようよ。また夢中になるぜ。例の遊びだ。他の奴らも呼んでさ」
「ああ、あれか。痛いからやだな」
「じゃあ、占いのほうがいいか? 当たっただろ?」
私は以前彼らに占われた事がある。私は頼んでないのに。
「さあ、どうだろうな。当たってんのかな。占いはあまり信じてないんだ」
「お前は途中からどっかに行ってたみたいだけど、どうだった?」
「う~ん、何処に行っても変わらないんじゃないかな。とりたてて、何も無かったよ」
「そうかい。色々楽しかったけどなぁ。まあ、これから行く所あるんだろ。俺は友達と待ち合わせしてるから、じゃあ」
「じゃあな」
彼は行ってしまった。
そして私の目の前には長い階段がある。私は上っていった。上には本屋があった。本屋は好きですか? 割と好きなんだ。
立ち読みをしている人がいる。これまた見知った人だ。私の苦手だった女の人だ。
「どうも、こう、直接会うのは初めてですね。はじめまして」
女の人はビクッとしてこちらを向き、はじめましてと言って頭を下げた。そして読んでいた本を慌てて戻した。私は気になり、ついその題名を読んでしまった。ところでこの本屋の棚は子供向きの本を置く様な棚で、全て表紙を向けて置いてある。だから立て掛けてある感じです。ガブリエル・バンサンの『たまご』という絵本でした。彼女が私の方を見ている中、私はその本を手に取りパラパラとめくった。巨大な卵があり、人間がその周りに群がり、街を造る。やがて巨大な卵から巨大な雛が孵り、その雛は死ぬ(人間に殺される)。その後また巨大な鳥は巨大な卵を産む。そんな筋だった。
「これ、おもしろいの?」
「え? 別に」
「え、ああ、おもしろいね。絵本とか読むんだ、意外だなあ」
「あ、そうですか」
うまく話が進みそうにないので、以前の話をすることにしました。
「あの、病気のほうは大丈夫?」
「さあ? 病気なのは私ではなく〇〇さんではなかったですか?」
「そうだっけ? 何か勘違いしてるな。あれっ、どちら様でしたっけ?」
彼女の表情が少し変わる。その後目線は本棚に向かい、本を見てる。
「何かおもしろいものあるかな」
私は声をかける。彼女はそれに答えず、本の表紙を見たまま、
「あの、あれは持っていますか? これから必要ですよ」と言った。
「いや、何の事だかわからんが、それは持ってないかな」
彼女は笑い、それじゃ地獄行きだと言った。その後私を妙な目つきで見たあと、別の本棚に行ってしまった。この本屋は広い。私は別の階段を降りることにした。




