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三-四

No.31

 三人の人間は向かい合い座っていた。

 一人は男性だ。一人は女性だ。一人は中性だ。終わる事の無い会話があった。

 男性は二人に向かって自説を述べる。

 「人間にはやらなくてはならない事がある。それはとても大事なことだ。どのくらい大事かと言うと、とても口では言えないぐらいの大変さだ。口で言うのは容易いが、実際に行動するのは大変だ。それに行動するのには力が要る。力は無限に有る訳ではない。俺は色々な所から力を借りなくてはいけない。力を借りる事は、凄く難しい事だ。どのくらい難しいかと言うと、おれ自身が壊れてしまうぐらいだ。だけど、俺は壊されなくてはいけない。諸々の物を壊すことが一番大切なんだ。どれぐらい大切かと言うと、俺が、俺で、楽しく過ごす事ぐらい大事で、酒だ(男性は酒を飲んだ)。この世界はこのままではいけない。どのぐらいいけないかと言うと、吐き気を催すぐらいだ。吐き気こそ全てではないか? 吐き気の無い人生は、吐き気の有る人生に比べたら、何も無いも同然だ。だから皆気持ち悪くなりたいのだろう。俺だって常に吐き気を感じる事に生きがいを感じている。吐いたり、吐かれたり、色々忙しいんだ。全て吐き切ったら、後は掃き掃除だ。全てを掃除しないといけない。脳は取り出して、皺と皺の間を掃除しないといけない。全ては汚れているのだから。どのくらい汚れているかと言うと、この頭の中身ぐらいだ。君たちももっと綺麗好きになればよかろうものだ」

 女性は二人に向かって自説を述べる。

 「わたしが好かれないのは、だれのせいでもない。でも、だれかのせいでもある。わたしに近寄るにんげんは許されることはない。でも、許してあげてもいいとは思ってはいるけど、でも喜ばしいことではない。嫌いなことはしたくないけど、でもだれもやらないならしなくてはいけない。そこで、飛んだり跳ねたりして、さわがなくては張り合いがない。でも、好きなことをして暮らしていくのがいちばん良いと思ったり、考えたりするのはおっくうだし、疲れたり、辛いものをたべたり、甘いものをのんだりするのはいいかもしれない。でも、歩いたり、飛びこんだり、しげきが強すぎるのもどうかと思う。けど、たまにはゆっくり休んだり、話をしたりするのもいいかもしれないけど、ときには、真面目にぎろんというのも悪くはないけれども、あまり好きではない感じがするのは、ほかのひとがいやな顔をして三時間もいっしょにはいられないからだ。すべてうまくいくと思っていても、やっぱり邪魔がはいって台なしになるけど、でも、そもそもほかのひとから見れば上手くいっている様に思えるから、不思議な気がするけど、もう一人のわたしはそんなことは言わないので、代わってわたしが言わなくては、しなくてはならないことが多すぎて、逆にすることがなくなってしまって、とても困っています」

 中性は他の二人に向かって自説を述べる。

 「ジコはコノ様にあるわけだし、ソレをまるで、小さな物の様にアツカッテもらっては困る。まるで、タワシの様に使い込んではコスレて、無くなってしまう。イシキとはオノレの為の物ではなく、イシキはジコに対して単独で有るのであり、ジコの主張をミトメルべきで、そして、ジコにもそのコウドウするべき範囲を広げるべきであり、またセイカツもソレにジュンジテあるべきなのであり、且つまた、ジコに対するホカのカンネンの服従が今だなされず、このイシキの有り様が、なかんずくホカの先入観に負け、ソノ末尾に甘んじる事は出来ないのであり、またジコを高める為にスベテを犠牲にしてでも、テツガクするべきであり、ペンを持って書くべきであり、ロンブンの一つでも投稿すれば、カネとタメになったりするべきなのであり、且つソレラの在り方が、あたかもアナタガタの確かな記憶の中でのドウサと一体となり、ソレラはゆくゆく大いなるザイサンとなるべき物にして、且つまた、長くシヨウする事が出来、且つ、様々なモノを受け入れるウツワになり、ソレガ壊れるべき物だとしても、マモリたいとシコウすべき事柄なのに、アナタガタは一日を無駄にして、さらに一生をダイナシにしながら、イシキという夢を見ているだけなのに、オカシを食べながらテレビを見たりするべき事柄をシアンしているコウゾウテキ欠陥があるとテイアンする」

 三人は互いに頷き、時には賛成や反対をして、この様な会話を続けている。


 私はゆっくりと体を動かし、目を開いた。頭が重く、だるい。私は何処かの部屋にいた。この部屋には人が四人倒れている。



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