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二-十

No.27

 槌が振り下ろされるのが見える。槌の面が迫ってくる。これは何だろう。私の中に形がある。私の外にも形がある。

 ああ、そうだ、これは円だ。槌の面が円だ。何となく私は、この様な形が好きだ。私は落ち着いた気分になり、深い所に沈んでいった。

 きっと物は語られたがっている。物の中にまた形があり、形の中にまた、何かがある。何かは、何処かを目指し、何処かは、何処にあり、何処は、また、同じ様に、此処にある。全ての図形が組み合わさり、一つの形を構成する。それは分かち難く、また、その様にある為、その外見から詮索する事が出来ない。

 傷がある。大きな裂け目がある。欠けた部分がある。足りない物がある。至らない所、補うべき物。


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