アップーと仲間たち
第一弾 アップーとなかまたち
あるところにプニプニの町というところがありました。
そこには、アップーという名の男の子がいました。
アップーには、ミップー、リップー、ムップーという友達がいました。
みんななかよしです。
ある日、なかよしの友だちといっしょに、アップーは森の中へ出かけました。
森には、みんなで作った、ひみつのかくれががあるのです。
かくれがへ行ってみると・・・。
「あれ?」
ミップーがかくれがをのぞくと、そこにいたのは・・・。
「あれ、きみ。たしかハップーだよね?」
聞いたのは、一番年上のムップーでした。
ハップーという子はうなずきました。
「うん、そうなの」
「きみ、どうしてここにいるの?」
こんどはリップーが聞きました。
すると、ハップーはなきだしてしまいました。
「え・・・どうしたんだろう?」
つぶやいたのは、ミップーでした。
「とにかく、話を聞いてみようよ」
そう言って、アップーはハップーに、やさしく笑いかけました。
「ねえ、きみ。何でなくのかな?
わけを話してくれないか?
よければ、ここにいるみんなが、きみの力になるよ!」
力強く、はげますように言うと、みんなが「そうだよ」とうけ合いました。
それを見て、ハップーは少しおちついたようでした。
「あのね。ぼく、弟をさがしているの」
「弟?」
それを聞くと、年上のムップーは思い出しました。
「きみの弟って、チャップーのこと?」
ハップーは「知ってるの?」と聞きかえしました。
ムップーは「とうぜんだよ」と言うと、なかまたちにせつめいしました。
「この子、うちの近じょの子なんだ。
よく二人であそんでるのを見たよ。
いっつもいっしょでさ。
ぼく、兄弟いないから、うらやましいなって、思っていたんだ」
ちょっとかなしそうに言いました。
「それで、その弟がここにいると思って、さがしてたの?」
リップーがたずねると、ハップーは大きくうなずいて、またなき出してしまいました。
「早く見つけなきゃ。チャップーがこわがってるかも・・・」
「まあまあ、おちついて。
ここはせまいから、とにかく全ぶ見よう。
いなかったら、またべつのところをさがさなくちゃ。
みんな、手伝ってくれるよね?」
「うん」
でも、かくれがにチャップーはいませんでした。
「よし、外にさがしに行こう」
アップーが言うと、みんなで外に出ました。
さあ、みんなでさがしに行こう!
外に出ると、リップーが聞きました。
「よし、じゃあまず、ハップーが今まで探したところぜんぶ教えて。
そこいがいをさがそうよ」
「そうだね」
アップーもさんせいしました。
ハップーは、自分の家と、かくれがまでさがしたところをぜんぶ言いました。
「そっか、それじゃあ・・・きみの家からつながる道を、じゅんばんにさがして行こうよ」
アップーが言うと、ミップーが地図を出しました。
「え~っと・・・」
「公園と、だがしやはもうさがしてて。
学校はなんでさがさなかったのかなぁ?」
リップーはふしぎに思いました。
だって、森よりもずっと近いのに。
みんなも何で?とハップーに聞きました。
「弟のチャップーは、まだ2才なんだ。
だから、まだ学校には行ってないし。
それに、チャップーは森が大すきなんだ。
ついこの間も、白いしかをさがして、一人で森に行ったし」
「な~るほど~」
みんなは歩きながらこう思いました。
(じゃあ、何で白いしかよりもアップーたちのかくれがに来たんだろう?)
でも、それは何となく聞きにくい。
「で?まず、どこに行こうか?」
「一番近いのは・・・池だね。
次にバナナの木かな」
「よし、まず池に行ってみようよ」
アップーが言うと、「うん」と、みんなのたのもしいへんじがかえってきました。
池につくと、みんなはチャップーの名前をよんでさがしました。
が、どこにもチャップーのすがたは見えません。
「ここじゃないみたいだよ」
ミップーがつぶやくと、ふたたびハップーはなき出しました。
「え~ん。どうしよう・・・チャップー!!」
それを見たアップーは、ゆうきを出してハップーに言いました。
「しっかりするんだ、ハップー。まださがすところがあるだろう?
きみがしっかりしないと、チャップーどうするんだ?
きみよりずっとこわい思いをしているかも知れないんだよ?
いっこくも早く、チャップーを見つけてあげなくちゃ!!
そのためには、次のところへいそいで行かなくちゃ。
そうだろ?お兄ちゃん」
さいごの一言に、ハップーはわれにかえりました。
「そうだ。ぼく・・・お兄ちゃんなんだ。
チャップーの、たった一人のお兄ちゃんなんだ・・・」
「そうだよ。きっとチャップーは、まってるよ。きみのことを。
きみが見つけてくれるのを・・・」
リップーのことばに、ハップーは弱弱しく首をよこにふりました。
「・・・みんな、ありがとう。そうだね、まずさがさなくちゃ・・・」
ハップーは立ち上がると、バナナの木にむかって歩き出しました。
でも、足どりはよろめいて、顔はかなしげでした。
なんとなく、ハップーいがいの四人は、おたがいに顔を見合わせました。
(何か、ハップーはかくしごとがあるみたい)
四人とも、同じことを考えていました。
バナナの木に、やはりチャップーはいませんでした。
でも、バナナの木にいる、さるが言いました。
「チャップーはここに来たよ。
だけど、バナナを五本食べたらすぐに帰ったよ」
「そう、ありがとう」
おれいを言うと、みんなは今来た道を引きかえすことにしました。
「次は、ラベンダーの花ばたけに行ってみよう」
アップーが言うと、ほかのみんなはちょっとおびえました。
「でもあそこ・・・どくの草が生えてるよ・・・」
「やめようよ。チャップーだってどくの草があるのは知ってるはずだし・・・」
「そうだよ。もうすぐくらくなるよ。
そしたらゆうれいだって出るよ、きっと。
聞いたことあるもん・・・」
でも、アップーはくじけませんでした。
「それでも、行かなくちゃ」
みんなはゆうきをふりしぼって、ラベンダーの花ばたけへむかいました。
だれも口をききません。
それほどどくの草がおそろしかったのです。
さすがのアップーも、あまりにぶきみなけしきに、弱気になりました。
でも、あきらめるわけにはいきません。
(だって・・・ぼくたちがこわいから、さがしには行けないって、言えないよ。
もしかしたら、チャップーのほうが、もっとこわい思いをしてるかも知れないのに。
今、一番こわいのは、たぶんチャップーだ。
そしてたぶん、チャップーはお兄ちゃんのハップーが、自分をさがしてくれるのを、まってるはずだ!)
アップーは手をつないでいる、ミップーとリップーの手を強くにぎりしめました。
それを見たムップーも、はっきりとほかの三人に分かるように、ウインクしました。
花ばたけに近づくと、どくの草がザワザワとうごくのが見えました。
「うわっ・・・」
「こわい・・・」
ぶきみな草のうごきに、みんなのゆうきはくじけそうでしたが、
「走ればだいじょうぶだよ。走りぬけよう!」
と言うアップーのはげましに、ゆうきがもどって来ました。
「うん、走ろう!」
リップーがいきおいよく走り出しました。
「おう!」
と、みんなが後につづきました。
どくの草は、うにょうにょとうごいていましたが、みんながあまりにも早く走ったので、だれかにからみつくことができません。
みんなあっという間にラベンダーの花ばたけにとうちゃくしました。
「わあ・・・いいかおり・・・」
思わずうっとりするいいにおいに、しばらくクンクンしていましたが、ミップーが気がつきました。
「いけない!チャップーのことをさがさなきゃ!」
「そうだった。チャップー!!」
とよぶと、おくから「は~い?」とへんじがかえって来ました。
「あれ?チャップー?」
ムップーがよぶと、出てきたのはバナナの木にいた、さるでした。
「ちがうよ。ところで、おれをよんだかい?」
と、さるは聞いてきました。
「ううん。よんだのはチャップーだけさ」
「そうか。てっきりおれをよんだのかと思ったから、ついへんじをしてしまったよ」
「な~んだ、そうか・・・」
みんなががっかりすると、さるはラベンダーの花を一つだけつんだ。
「けど、チャップーのいどころを、知ってるやつを知ってるぜ」
さるはにやり、とわらいます。
「えっ?」
ぜんいんがさるを見ました。
「どこ?」
「だれ?」
と、聞くと、さるはハップーをゆびさしました。
「お前だよ。聞いたんだろ?白いしかに。弟のいばしょを」
「えっ?」
アップーたちがハップーを見ると、ハップーの顔色がかわりました。
おまけにブルブルふるえて、今にもたおれそうでした。
「じゃあな」
それだけ言うと、さるはどこかへ行ってしまいました。
のこされたアップーたちは、とうとうなきだしたハップーをふしぎなきもちで見ていました。
(ハップーは、さいしょからチャップーがどこにいるかを知ってた?)
ミップーはハップーのなき顔を見つめるばかり。
(何で、ハップーはチャップーのところへ行かないんだろう?)
リップーはそのりゆうを考えてみた。
けど、やっぱりよく分からない。
(ハップーはチャップーを見つけたくないんだろうか?)
ムップーはそのりゆうは何だろう、と頭をかかえてしまいました。
(白いしかに、ハップーは会っていたんだ・・・)
アップーはそれをかくしていたハップーのきもちが分からなかった。
すると、アップーのおじいちゃんがむかし、アップーに言っていたことばを思い出した。
「アップー。白いしかの言うことは、そのままのいみでないことが多い。
しかのことばには、いくつものいみがあって、それをすべて分かっているのは、だれもいない。
時には、まったくはんたいのいみに聞こえることもあるものじゃ。
しかのことばは、よくよく考えなければとけない、なぞなぞのようなものなのじゃよ」
「なぞなぞ・・・」
アップーが口を開くと、なかまたちがみんなアップーにちゅうもくしました。
「なに?」
「どうゆうこと?」
「何か分かった?」
口々に聞いてきます。
アップーはみんなを見わたすと、言いました。
「ハップー、白いしかがきみに言ったことを聞かせて。
むかし、おじいちゃんが言ってたんだ。白いしかの言うことは、むずかしいなぞなぞみたいなものだって。
だから、みんなで考えれば、答えは出るよ」
ハップーは少しためらいましたが、しんけんなアップーのために、これまでかくしていたひみつを話しました。
「白いしかは、知らないことがないって聞いてたから、聞いてみたんだ。
チャップーがどこにいるか、教えて下さいって。
そしたら、こう言ったんだ。
『弟は、お前の行かないところにいる。そして、お前は弟を見つけることはできない』
って。考えるまでもないよ。
ぼく、チャップーを見つけられないんだ」
ふたたびなき出したハップーをよそに、ほかのみんなは考え込んでしまいました。
「ハップーが行かないところって、どこだ?」
「どこだって行けるよなあ・・・」
「女子トイレ?」
「ばか。それじゃあチャップーだって行けないよ」
「あ、おれ後の半分は分かった」
ムップーが言うと、ぜんいんがいっせいにムップーを見ました。
「だって、ハップーがチャップーを見つけられないって言うんなら、おれたちのだれかが見つけるってことだろ?」
「それは、ありうるね。だって、みんなでさがしてるんだし」
みんなは頭のいいムップーにかんしんしました。
「じゃあ、あとはハップーが行かないところをさがせば、オッケーじゃない?」
おちょうしもののリップーがかるく言うと、みんなはなんとなくわらいました。
「そうだね。でも、どこだろう?」
ミップーもまたまた考えます。
「大人とか、女の子しか行けないところなら、行かないけど・・・」
ハップーもひっしに考えました。
(行かないところ・・・。行かない・・・。あれ?行かない?)
きゅうにアップーはひらめきました。
「分かった」
アップーには白いしかのことばのいみが、やっとりかいできました。
「行かないって、行くひつようがないってことだよ。
ハップー、チャップーはきみたちの家にいるんだ。
だって、家なら行く、じゃなくて帰る、だもん」
アップーはとけたなぞなぞが正しいか、かくにんするようにみんなの顔を見つめました。
「そっか・・・そうだね」
「きっとそうだよ!」
とうなずくみんなに、ハップーはとまどいました。
「・・・じゃあ、何でぼくが見つけられないの?」
「それは・・・」
ことばにつまってうつむくアップーに、親友のミップーは言いました。
「行けば分かるよ。急ごうよ。もうすぐ日がくれるよ。
くらくなる前に、行ってみようよ!」
力強いミップーの声に、みんなはいっせいに走り出しました。
「ここ?」
ハップーのあんないで、みんなはハップーの家にたどりつきました。
が、あかりはついていません。
「・・・やっぱり、チャップーはいないんじゃないかな?」
弱気につぶやくハップーに、リップーはまあまあ、とかたをたたきます。
「入ってみようよ」
アップーはハップーにうながし、とびらを開けました。
中はしーんとしずかりかえって、何のけはいもありません。
リビングまで行くと、ハップーが家を出たときのままでした。
「ぼくが家をでたときのままだ。
だれも帰って来ていないと思う。
・・・どうしよう?チャップー」
すると、二かいからもの音が聞こえます。
カタン・・・。カタン・・・。
「二かいだ」
みんなはかいだんをかけ上がりました。
すると、一つのドアから、かすかに光がもれています。
ハップーは少しもまよわず、そのドアを開けました。
すると、そこには・・・。
「・・・え~っと・・・。チャップー?」
ママのむらさき色のドレスをきて、ママのあかいハイヒールをはき、ママのきんぱつのかつらをかぶり、ママのおけしょうひんでおけしょうをし、かがみの前でうっとりと色んなポーズをきめている男の子がいました。
その子がふりかえって言いました。
「あら、お兄さま。おかえりなさ~い。
あたし、チャップーじゃなくてチャプ子よ~ん。よろしくね♡」
ごていねいに、ウインクをしてきます。
「えっと・・・」
「弟を見つけることができないって・・・」
「弟じゃなくて・・・」
「妹になってた?」
アップーたちは、かわってしまった(であろう)チャップーを、つめたい目で見つめました。
「とにかく、ぶじでよかったね」
おちょうしもののリップーが言うと、ないしんで(そうかな?)と思いつつ、みんなも
「まあね・・・」と言うしかありません。
一人わりきれないのはハップーでした。
「お前・・・何でそんなことしてるんだよ?」
と、チャップーをにらみました。
すると、かがみの前でポーズをとるのをやめて、チャップー、じゃなくなったチャプ子がふりかえりました。
「何よ。お兄さまがわるいんでしょ?」
と、にらみかえします。
「だって・・・」
「だってじゃないでしょ?」
と、ぴしゃりとさえぎりました。
「お兄さまがあたしの分のおやつを食べちゃうからでしょ?きのう、やくそくしたのに。
明日はいっしょにおやつを食べたら、いっしょにあそぼうって。うそつき。
あたしはおなかがすいて、森のバナナを食べに行ったのよ。
それなのに、帰ってきたら、またお兄さまはいないし。
あたし、さみしくなって、ママのおへやで一人であそんでたのよ!」
チャプ子もなきだしてしまいました。
「わるかったよ・・・。でも、今日はすごくおなかがすいてて。ごめん。
でも、いっしょに森のバナナを食べに行こうって、さそおうと思ってたんだ。
家を出たのは、お前をさがすためさ。本当だよ。ほら、こうして、みんなで、さ」
ひっしに言うと、チャプ子のけわしい顔が、少しだけやわらぎました。
「・・・分かってたわ、本当は。お兄さまたちがひっしにあたしのことをさがしてたの。だって、さるが言いに来てくれたの」
「え?いつ?」
「ついさっき。ラベンダーの花ばたけで見たって言ってたの」
「あいつが・・・。そんなら、教えてくれればよかったのに」
「まったくだよ」
リップーとムップーが言いましたが、アップーは首をよこにふりました。
「ううん。あいつはいつもヒントをくれてたんだよ。
ほら、さいしょ、ぼくたちがバナナの木に行ったときも、バナナを食べたらすぐ帰ったって言ってたし」
「そういえば・・・」
みんなは思い出しました。
「その後だって、白いしかのことも言ってたし。
チャップー・・・じゃなくてチャプ子にもおれたちのことを話してくれたわけだし。
それとなくしんせつにしてくれてたのに、気がつかなかった」
「そうだね。こんど、おれいでもしておくか」
「うん」
むこうでは、ハップーとチャプ子がなきながらだきあっているのが見えました。
かんどうのばめんなのに、なぜかみんなはへんな笑いが止まりませんでしたが、もうとっくに日がくれています。
帰るじかんがやってきていました。
「とにかく、いっけんらくちゃくかな?」
アップーが言うと、ほかの三人もはっとしてとけいを見ました。
「ぼくたちも、そろそろ帰らなくちゃ」
すると、ハップーとチャプ子もはなれて、みんなにむきなおりました。
「そっか。今日はみんなありがとう。
おかげでチャップー・・・じゃなくてチャプ子も見つかったし。
こんど、おれいにおかしを作るよ、みんなにね」
「おれいなんていいって」
「そう、こまってる人を見たら、たすけるのは」
「あたりまえだよ」
「ところで、おかしって何?」
まったくえんりょしないリップーに、みんなは大笑いです。
「じゃあまた」
と、笑顔でわかれると、みんな自分の家に帰って行きました。
自分のへやに帰ると、アップーはチャップーのすがたを思い出しました。
「あれ、にあってないよなあ。でも、あんなことして、おこられないのかなあ・・・?」アップーのぎもんは、それから30分後にかいけつしました。
なぜなら、ハップーたちの家から、すっっごいひめいが聞こえたからです。
たぶん、二人のお母さんでしょう。
(明日、どうなったのか、二人に聞いてみよう)
そう心にちかうと、あまりにつかれたので、アップーはそのままねむってしまいました。
おしまい
挿絵がなくてごめんなさい。




